1. 企業情報

  • 事業内容

ダブル・スコープ株式会社は、リチウムイオン二次電池用セパレーター(絶縁材)の専業メーカーです。主に韓国子会社を通じて生産を行い、韓国電池大手(特にSamsung SDIグループ)への販売が中心です。製品はEV(電気自動車)向けを含め、韓国、米国、欧州などグローバルに展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内ポジション

リチウムイオン電池セパレーター市場は、旭化成、東レ、住友化学などの大手と競合する中、ダブル・スコープは韓国市場での強みと、Samsung SDIグループ向け高い販売比率(2024年度87.1%)が特徴です。
競争優位性・課題

韓国大手との取引関係が強みですが、特定顧客依存度が高く、販売先の多様化が課題です。また、原材料価格や技術革新のスピードへの対応も重要です。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営ビジョン・戦略

EV・蓄電池市場の拡大を背景に、グローバル展開と生産能力の増強を推進。韓国工場の増設や新規顧客開拓、コスト競争力強化が重点。
中期経営計画の施策
– 生産設備の拡充による供給力強化
– 主要顧客以外への販路拡大
– 技術開発による高性能・低コスト化

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル

主力製品であるセパレーターの販売が収益源。EV市場拡大により需要増が見込まれる一方、特定顧客依存度が高い点はリスク。
市場ニーズ適応力

EV・蓄電池の成長市場に対応した製品開発・供給体制を強化中。顧客基盤の多様化が今後の持続性向上の鍵。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発動向・独自性

高性能・高安全性のセパレーター開発に注力。韓国生産拠点を活かし、コスト・品質両面で競争力を維持。
主力製品・サービス

リチウムイオン電池用セパレーターが売上の100%を占める。EV向け需要が収益を牽引。

6. 株価の評価

  • EPS/BPS等による評価
    • 予想EPS: -132.91円(赤字)
    • 実績BPS: 902.47円
    • 株価: 274.0円
    • 実績PBR: 0.30倍(業界平均1.6倍)
    • 予想PER: 赤字のため算出不可

現状、赤字のためPERによる評価は困難ですが、PBRは業界平均を大きく下回っています。

7. テクニカル分析

  • 株価推移・位置
    • 年初来高値: 296円
    • 年初来安値: 174円
    • 直近株価: 274円
    • 52週高値: 603円、52週安値: 174円
    • 50日移動平均: 239.8円
    • 200日移動平均: 306.23円

直近は年初来高値圏に近く、50日移動平均を上回っていますが、長期的には下落基調からの戻り局面です。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益推移
    • 売上高(過去12か月): 31,047百万円(前年45,100百万円から減少)
    • 営業利益: -1,008百万円(前年7,829百万円から赤字転落)
    • 純利益: -3,713百万円(前年4,413百万円から赤字転落)
    • 営業キャッシュフロー: 4,010百万円(黒字)
    • フリーキャッシュフロー: -15,390百万円(大幅赤字)
  • 収益性指標
    • ROE: -7.20%
    • ROA: -0.55%
    • 営業利益率: -536.6%
    • 自己資本比率: 82.5%(財務健全性は高い)
  • 過去数年の傾向

2022年度までは黒字転換していたが、2024年度は大幅な減収・赤字転落。Samsung SDI向け販売実績訂正による影響もあり。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り: 0.00%
  • 配当性向: 0.00%
  • 自社株買い等: 自己株式保有あり(0.54%)
  • 方針: 近年は無配。業績回復が優先されている状況。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価変動傾向
    • 直近10日間で上昇傾向(4月末248円→5月15日274円)
    • 52週では大幅下落(-44.67%)
    • 出来高は安定しており、信用買い残減少・売り残増加傾向
  • 影響要因
    • 業績悪化・販売実績訂正による不透明感
    • EV市場拡大期待
    • 特定顧客依存度の高さ

11. 総評

ダブル・スコープは、リチウムイオン電池用セパレーターの専業メーカーとして、韓国市場・Samsung SDIグループ向けに強みを持つ企業です。EV市場拡大の恩恵を受ける一方、2024年度は販売実績訂正や特定顧客依存による大幅な減収・赤字転落が課題となっています。財務体質は自己資本比率が高く健全ですが、収益性・キャッシュフロー面で改善余地が大きい状況です。株価は直近戻り基調にあるものの、長期的には下落トレンドが続いています。今後は顧客基盤の多様化、収益力回復、業績の安定化が注目されます。


企業情報

銘柄コード 6619
企業名 ダブル・スコープ
URL http://w-scope.co.jp
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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By シャーロット

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