1. 企業情報
企業名: ワイエイシイホールディングス株式会社
所在地: 東京都昭島市武蔵野3-11-10
設立: 1973年5月11日
従業員数: 803人
事業内容:
ワイエイシイホールディングスは、メカトロニクス、ディスプレイ、産業機器、電子機器などの自動化機器を開発・製造・販売する中堅企業です。主力はパワー半導体関連装置や液晶関連装置で、医療・ヘルスケア分野の育成にも注力しています。製品群は、半導体製造装置、LED・OELディスプレイ関連機器、精密研磨装置、検査装置、自動包装機器、アパレル仕上げ機器、FA機器、医療・電力関連機器など多岐にわたります。
連結事業構成（2024年3月期実績）:
– メカトロニクス関連 42%
– ディスプレイ関連 22%
– 産業機器関連 5%
– 電子機器関連 32%
海外売上比率: 22%
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: ワイエイシイホールディングスは、半導体・ディスプレイ製造装置分野で中堅の位置付けです。大手と比較すると規模は小さいものの、特定分野での技術力や製品群の幅広さが特徴です。
- 競争優位性: 独自技術を活かした装置開発や、医療・ヘルスケアなど新分野への展開が強みです。また、カスタマイズ対応力や多様な産業へのソリューション提供も評価されています。
- 課題: 市場の景気変動や半導体・ディスプレイ業界の設備投資サイクルの影響を受けやすい点、グローバル競争の激化が課題です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「技術と信頼で社会に貢献」を掲げ、既存事業の強化と新規分野の育成を両立。
- 中期経営計画の施策:
- 半導体・メカトロニクス分野の拡大
- 医療・ヘルスケア分野の育成
- 環境・社会インフラ分野への展開
- 海外市場での売上拡大
- 研究開発投資の強化と新製品開発
- 重点分野: 半導体装置、医療機器、環境インフラ関連機器
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 主力の半導体・ディスプレイ装置は設備投資サイクルの影響が大きいものの、医療・環境分野など景気変動の影響を受けにくい分野への多角化を進めています。
- 市場ニーズへの適応力: 顧客ニーズに応じたカスタマイズや新技術の導入で変化に対応。海外展開や新市場開拓も推進しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向: 半導体製造装置の高精度化、省エネ化、AI・IoT技術の導入など、技術革新に積極的です。
- 独自性: 精密加工や検査技術、アパレル仕上げ機器など独自のノウハウを持つ分野が複数存在します。
- 主力製品・サービス:
- 半導体製造装置（バーニッシャー、分級機、スライサー等）
- ディスプレイ関連装置（LED/OEL等）
- 医療・ヘルスケア機器
- アパレル仕上げ装置
6. 株価の評価
- EPS（予想）: 65.15円
- BPS（実績）: 916.36円
- PER（予想）: 12.85倍（業界平均16.6倍）
- PBR（実績）: 0.91倍（業界平均1.4倍）
- 株価: 837円
評価:
PER・PBRともに業界平均を下回っており、株価は割安水準に位置しています。BPS（916.36円）に対して株価（837円）は1倍を下回っています。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間は800円台前半〜860円程度で推移し、やや下落基調から持ち直しつつある動き。
年初来高値: 1,053円、年初来安値: 615円
50日移動平均: 822.78円、200日移動平均: 953.53円
– 現在の水準: 株価は年初来安値（615円）からは上昇していますが、年初来高値（1,053円）には届かず、200日移動平均も下回っています。短期的には50日移動平均付近で推移しており、中立〜やや安値圏といえます。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益の推移（年度別比較）:
- 2021年3月期: 売上24,195百万円、純利益337百万円
- 2022年3月期: 売上22,796百万円、純利益1,107百万円
- 2023年3月期: 売上24,114百万円、純利益921百万円
- 2024年3月期: 売上26,809百万円、純利益1,417百万円
- 2025年3月期（直近決算）: 売上23,041百万円、純利益559百万円（減収減益）
- 直近の財務指標:
- 営業利益率: 5.9%（2024年3月期）
- ROE: 3.3%（2024年3月期）
- 自己資本比率: 41.1%
- 流動比率: 210%
- 有利子負債比率: 100.1%
- 営業CF: 2,670百万円（黒字）
- 分析: 2024年3月期は減収減益で、特に純利益が大きく減少。自己資本比率は40%超と財務健全性は維持していますが、利益率はやや低下傾向です。キャッシュフローは堅調。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2024年3月期: 75円（特別配なし）
- 2025年3月期: 55円
- 2026年3月期（予想）: 40円
- 配当利回り: 4.78%（会社予想）
- 配当性向: 93.6%（直近実績）
- 自社株買い: 自己株式保有比率は5.63%と一定規模
- 分析: 配当利回りは高水準ですが、配当性向は高く、今後の業績次第で減配リスクも意識されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価動向: ここ数か月は下落傾向が続き、年初来高値から大きく調整。直近10日間は800円台前半で下げ止まりつつある印象です。
- 信用取引状況: 信用買残は1,313,900株、信用倍率4.13倍と買い残が多め。売残は318,000株。
- 投資家関心: 配当利回りの高さや割安指標を背景に一定の関心がある一方、業績減速や減配見通しが株価の重しとなっています。
11. 総評
ワイエイシイホールディングスは、半導体・ディスプレイ製造装置を中心に多様な自動化機器を展開する中堅メーカーです。直近決算では減収減益となり、特に純利益が大きく減少しましたが、財務基盤は堅調で自己資本比率も高い水準を維持しています。
株価指標（PER・PBR）は業界平均を下回り、配当利回りも高い一方、配当性向は高く、今後の業績動向には注意が必要です。株価は年初来高値から大きく調整し、直近は安値圏で推移しています。今後は、半導体・医療・環境分野での成長戦略の進捗や、業績回復が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6298 |
| 企業名 | ワイエイシイホールディングス |
| URL | http://www.yac.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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