1. 企業情報
- 企業名: フォスター電機株式会社
- 設立: 1948年6月
- 所在地: 東京都昭島市つつじが丘1-1-109
- 従業員数: 16,103人
- 事業内容: 主にスピーカー、オーディオ機器、電子部品の製造・販売を手がける。
- スピーカー事業: 車載用スピーカー、オーディオ機器・テレビ用スピーカー等
- モバイルオーディオ事業: ヘッドホン、ヘッドセット、イヤホンドライバー、バイブレーションアクチュエータ等
- その他事業: マイクロ音響機器、警報ブザー、FOSTEXブランド製品、物流サービス等
- 特徴: 全量海外生産。Apple社への供給実績あり。共同開発型の研究開発ビジネスに注力。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 世界的なスピーカーメーカーの一角。特に車載用スピーカーに強みを持つ。大手自動車メーカーやグローバル家電メーカーとの取引実績が豊富。
- 競争優位性:
- OEM/ODM供給力とグローバルな生産体制
- 音響技術の研究開発力
- 大口顧客（Apple等）との関係
- 課題:
- EV市場の成長鈍化や米中貿易摩擦等による外部環境リスク
- 価格競争激化、コモディティ化への対応
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略:
- 「モビリティ関連ビジネス」と「コンシューマ関連ビジネス」の2本柱で成長を目指す
- 車載ビジネスではブランデッド・プレミアムレベル製品の拡販と新規顧客獲得
- 1台当たりの搭載製品数拡大と収益性向上
- 中期経営計画:
- 売上高1,500億円
- 営業利益90億円
- 営業利益率6%
- ROE8%
- 収益性重視の製品ポートフォリオ強化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: OEM/ODM供給による安定した受注と、研究開発型の共同開発案件での収益拡大
- 市場適応力: EV・コネクテッドカー・高音質志向など新たな市場ニーズに対応。グローバルな販売・生産体制で為替や地政学リスクも分散。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向:
- 車載向け高音質・高機能スピーカー、アクチュエータ技術
- マイクロ音響デバイス、ワイヤレスオーディオ技術
- 主力製品:
- 車載スピーカー（売上高の大半を占める）
- ヘッドホン・イヤホン
- FOSTEXブランドの高付加価値製品
6. 株価の評価
- 株価: 1,334円（2025/5/16時点）
- PER（予想）: 7.49倍（業界平均24.2倍）
- PBR（実績）: 0.49倍（業界平均1.6倍）
- EPS（予想）: 179.14円
- BPS（実績）: 2,726.13円
- 配当利回り（予想）: 5.22%
- 評価: 業界平均と比較してPER・PBRともに大きく下回っている。株価はBPSの約半分、PERも割安水準。配当利回りも高い水準。
7. テクニカル分析
- 株価推移:
- 年初来高値: 1,660円
- 年初来安値: 962円
- 直近終値: 1,336円
- 50日移動平均: 1,254円
- 200日移動平均: 1,520円
- 直近動向: 5月に入り反発傾向。50日線を上回るが、200日線を下回る。年初来高値からは下落しているが、安値からは大きく反発しているため、現状は中間圏～やや安値圏。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2025年3月期: 137,607百万円（前年比+12.4%）
- 2024年3月期: 122,447百万円
- 営業利益:
- 2025年3月期: 6,796百万円（前年比+54.0%）
- 2024年3月期: 4,412百万円
- 当期純利益:
- 2025年3月期: 3,902百万円（前年比+69.3%）
- 2024年3月期: 2,304百万円
- ROE:
- 2025年3月期: 6.56%
- 自己資本比率:
- 2025年3月期: 57.0%
- キャッシュフロー:
- 営業CFは安定してプラス。投資CFは縮小、財務CFはマイナス（借入返済・配当等）。
- 傾向: 売上・利益ともに回復基調。財務安全性も高い。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2025年3月期: 年間60円
- 2026年3月期（予想）: 年間70円
- 配当性向: 21.92%（直近）
- 配当利回り: 5.22%（予想）
- 自社株買い: 自己株式保有比率10.35%
- 方針: 安定配当と株主還元を重視
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 直近10日間で1,200円台前半から1,300円台半ばまで上昇。出来高も増加傾向。
- 信用取引状況: 信用買残が大きく、信用倍率高水準（156倍）。売り残は少ない。
- 投資家関心: 配当利回りの高さや業績回復を背景に関心が高まっている様子。
11. 総評
フォスター電機は、車載用スピーカーを中心にグローバルな音響部品メーカーとして安定した地位を確立している。近年は車載分野の拡大や原価改善により、売上・利益ともに大きく回復。財務安全性も高く、配当利回りも高水準。株価指標は業界平均に比べ割安で推移している。今後はEV市場や世界経済の動向、為替リスク、米中摩擦など外部環境の影響に注意が必要だが、事業モデルの持続性や技術力、株主還元姿勢などは強みといえる。
（本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨するものではありません。）
企業情報
| 銘柄コード | 6794 |
| 企業名 | フォスター電機 |
| URL | http://www.foster.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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