1. 企業情報

会社概要

株式会社トクヤマは1918年創業の化学メーカーで、化成品、セメント、電子先端材料、ライフサイエンス、環境事業など多様な事業を展開しています。主力は半導体用多結晶シリコンで世界有数のシェアを持つほか、苛性ソーダ、塩ビ、セメント、ファインケミカルなど幅広い製品群を有しています。製品の大半は山口県徳山工場で製造されています。

2. 業界のポジションと市場シェア

競争優位性

  • 半導体用多結晶シリコンは世界大手の一角。
  • 化学品やセメントなど国内外で安定したシェアを確保。
  • 電子材料分野で高い技術力を有し、グローバル展開も進展。

課題

  • 原燃料価格や為替変動、米中貿易摩擦など外部環境リスク。
  • 一部事業(セメント等)は成熟市場で成長鈍化の懸念。

3. 経営戦略と重点分野

経営ビジョン・戦略

  • 「事業ポートフォリオの転換」「地球温暖化防止への貢献」「CSR経営の推進」を中期経営計画の重点課題に設定。
  • 半導体・電子材料分野の拡大、環境・ライフサイエンス分野の強化を推進。

具体的施策

  • 電子材料(多結晶シリコン、ICケミカル等)の品質・供給体制強化。
  • 環境対応型セメントやリサイクル事業の推進。
  • 医療診断システムや歯科器材の拡販。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル

  • 化学品・電子材料・セメントの安定した売上基盤。
  • 半導体需要拡大に伴う電子材料分野の成長期待。
  • 環境・ライフサイエンス分野で新たな成長ドライバーを模索。

市場ニーズへの適応力

  • 半導体・電子分野の需要変動に柔軟に対応。
  • 脱炭素・環境規制強化にも積極的に取り組み。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向

  • 高純度多結晶シリコンやICケミカルなど、半導体製造プロセスに不可欠な高付加価値材料を開発・供給。
  • 乾式シリカ、放熱材料など新製品の開発も進行。

主力製品・サービス

  • 半導体用多結晶シリコン(世界大手)
  • 苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、セメント
  • 医療診断システム、歯科器材、プラスチックレンズ材料

6. 株価の評価

  • PER(予想): 6.90倍(業界平均20.4倍より大幅に低位)
  • PBR(実績): 0.76倍(業界平均1.1倍より低位)
  • EPS(予想): 403.09円
  • BPS(実績): 3,635.62円
  • 株価: 2,780円

評価

  • 業界平均と比較して割安な水準に位置。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値: 2,970円
  • 年初来安値: 2,232円
  • 50日移動平均: 2,737.99円
  • 200日移動平均: 2,703.48円
  • 直近株価: 2,780円

現状

  • 直近株価は50日・200日移動平均線をやや上回っており、年初来高値圏には至っていないが、安値圏からは回復傾向。

8. 財務諸表分析

売上・利益の推移(過去3年)

  • 売上高:2023年3月期 351,790百万円 → 2024年3月期 343,073百万円(微減)
  • 営業利益:2023年3月期 25,637百万円 → 2024年3月期 29,968百万円(増益)
  • 当期純利益:2023年3月期 17,751百万円 → 2024年3月期 23,388百万円(増益)

収益性・効率性

  • 営業利益率:8.7%
  • ROE(実績):9.16%
  • ROA(実績):4.01%

安全性

  • 自己資本比率:54.9%
  • 流動比率:2.57
  • 総資産:476,207百万円
  • 総負債:202,349百万円

キャッシュフロー

  • 営業CF:52,368百万円
  • フリーCF:24,510百万円

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想): 4.32%
  • 1株配当(予想): 120円
  • 配当性向(予想): 29.51%
  • 自社株買い: 直近で大きな動きは確認できず
  • 過去5年平均配当利回り: 3.27%

方針

  • 安定配当を基本としつつ、業績連動も意識。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間の株価: 2,800円前後でややもみ合い傾向
  • 出来高: 平均40万~50万株台
  • 信用倍率: 110.33倍(買い残が多い)
  • 52週変動率: -10.38%(TOPIXやS&P500に対し劣後)

影響要因

  • 半導体市況、原燃料価格、為替動向、政策リスクなど

11. 総評

トクヤマは、半導体用多結晶シリコンを中心とした電子材料分野で強みを持ち、安定した収益基盤と高い財務健全性を有しています。直近は半導体関連の堅調な需要に支えられ、利益率・キャッシュフローともに改善傾向です。株価指標は業界平均と比較して割安感があり、配当利回りも高水準となっています。一方で、外部環境リスクや一部事業の成長鈍化には注意が必要です。今後は、半導体需要の動向や新規事業の成長、原材料価格の推移が注目ポイントとなります。


企業情報

銘柄コード 4043
企業名 トクヤマ
URL http://www.tokuyama.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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