1. 企業情報
株式会社ディー・エル・イー（DLE）は、東京証券取引所スタンダード市場に上場しているエンターテインメント企業です。アニメーション、実写、音楽、モバイルアプリ、ゲーム開発、イベント企画・運営、音声収録など、幅広い事業を展開しています。代表的なIP（知的財産）には「秘密結社鷹の爪」があり、朝日放送グループホールディングスの子会社です。
2. 業界のポジションと市場シェア
DLEは、独自のキャラクターIPを強みとするエンターテインメント業界に位置しています。特に「秘密結社鷹の爪」のような自社IPを活用したビジネスモデルを展開しており、一定の競争優位性を持っています。しかし、エンターテインメント業界は競争が激しく、常に新しいコンテンツや技術革新が求められるため、市場シェアを維持・拡大するには、継続的なIP創出と多角的な展開が重要となります。
3. 経営戦略と重点分野
DLEの経営戦略は、自社IPを活用したファスト・エンタテインメント事業の展開に重点を置いています。具体的には、アニメーション制作、キャラクタービジネス、K-POP関連事業など、多角的な事業展開を通じて収益の最大化を目指しています。中期経営計画の詳細は今回の情報からは不明ですが、2026年3月期の業績予想では増収増益を見込んでおり、IPを活用した事業展開の強化が示唆されます。
4. 事業モデルの持続可能性
DLEの収益モデルは、自社IPを活用したライセンス収入や、関連商品の販売、イベント開催など多岐にわたります。市場ニーズの変化への適応力としては、アニメーション市場の成長や「推し活」需要の高まりを追い風に、コンテンツの多様化や海外展開を進めています。しかし、IPの寿命や、競合の激化、制作費の高騰などのリスクも存在し、持続的な成長のためには、新たなIPの創出や、収益源の多様化が不可欠です。
5. 技術革新と主力製品
DLEは、アニメーション制作技術や、キャラクターデザイン、イベント企画・運営など、様々な技術を有しています。主力製品としては、自社IPである「秘密結社鷹の爪」をはじめとするアニメーション作品や、関連グッズ、イベントなどが挙げられます。また、K-POP関連事業も収益に貢献しており、多角的な事業展開が特徴です。
6. 株価の評価
- 株価: 147.0円（2025年5月19日終値）
- PER（会社予想）: (連)17.86倍
- PBR（実績）: (連)3.46倍
- EPS（会社予想）: (連)8.23円
- BPS（実績）: (連)42.51円
PERは業界平均（17.6倍）とほぼ同水準ですが、PBRは業界平均（1.6倍）を大きく上回っています。これは、現在の株価が割高であることを示唆している可能性があります。ただし、EPSの改善や、今後の成長期待によっては、評価が変わる可能性があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年5月9日に114円まで下落した後、5月16日に147円まで上昇し、その後も140円台を維持しています。5月19日の終値は147円であり、年初来高値（169円）にはまだ距離がありますが、年初来安値（90円）からは大きく上昇しています。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月 (2025年3月期) | 2024年3月期 | 2023年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,978百万円 | 1,705百万円 | 2,020百万円 |
| 営業利益 | -489百万円 | -658百万円 | -344百万円 |
| 当期純利益 | -728百万円 | -562百万円 | -582百万円 |
| 売上高成長率 | 16.0% | -15.6% | 23.2% |
| 営業利益率 | -24.7% | -38.6% | -17.1% |
| 自己資本比率 | 68.7% | 77.3% | – |
| ROE | -31.62% | – | – |
- 売上高は増加傾向にありますが、営業利益と当期純利益は赤字が続いています。
- 自己資本比率は高く、財務基盤は安定しています。
- ROEはマイナスであり、収益性の改善が課題です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 0.00%
- 1株配当（会社予想）: 0.00円
DLEは、現時点では配当を実施していません。今後の業績回復と、株主還元の強化が期待されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、出来高も増加しています。これは、業績改善への期待や、新たな材料への期待によるものと考えられます。信用買い残は多く、信用倍率は7.09倍と高い水準にあります。
11. 総評
DLEは、独自のIPを強みとするエンターテインメント企業であり、アニメーション市場の成長や、K-POP関連事業など、多角的な事業展開を進めています。しかし、赤字決算が続いており、収益性の改善が急務です。株価は割高感があり、テクニカル的にも高値圏にあるため、今後の業績動向や、新規IPの創出、株主還元の強化などに注目する必要があります。投資判断にあたっては、リスクを十分に考慮し、ご自身の判断と責任において行うようにしてください。
企業情報
| 銘柄コード | 3686 |
| 企業名 | ディー・エル・イー |
| URL | http://www.dle.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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