1. 企業情報
日本フエルトは、紙・パルプ用フェルトで国内2強の一角を占める企業です。工業用フェルトや、耐熱ベルト、集塵フィルターなどの工業用繊維製品も手掛けています。1917年創業と歴史があり、フェルト事業と不動産賃貸事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
紙・パルプ用フェルトの国内市場では、イチカワと2強を形成しています。競争優位性としては、長年の実績と技術力、安定した顧客基盤が挙げられます。課題としては、国内の紙需要の減少による市場縮小の影響を受けやすい点が挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
中期経営計画（2023年度～2025年度）に基づき、フェルト事業の製品ラインナップ拡充、国内シェアアップ、アジア市場での売上増加、インドでの拡販を推進しています。不動産賃貸事業では、安定した収益確保と収益増を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
主な収益源である紙・パルプ用フェルトは、国内需要の減少という構造的な課題に直面しています。しかし、工業用フェルトや海外展開による収益の多様化を図っており、市場ニーズの変化への適応を目指しています。
5. 技術革新と主力製品
紙・パルプ用フェルト、工業用フェルト、耐熱ベルト、集塵フィルターなど、幅広い製品を提供しています。技術開発においては、顧客ニーズに合わせた製品開発や、省エネ・高効率化に貢献する製品の開発が重要となります。
6. 株価の評価
- 株価: 453.0円（2025年5月20日終値）
- PER（会社予想）: 20.08倍
- PBR（実績）: 0.40倍
- EPS（会社予想）: 22.56円
- BPS（実績）: 1,141.65円
PERは業界平均（12.6倍）と比較してやや割高ですが、PBRは業界平均（0.5倍）を下回っており、割安感があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は、453円～474円の範囲で推移しており、50日移動平均線（468.44円）と200日移動平均線（478.25円）を下回っています。年初来高値（507円）からは下落傾向にあり、安値圏での推移を示唆しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期は100.8億円、2025年3月期は96.99億円と減収。
- 営業利益: 2024年3月期は2億円、2025年3月期は2億円と低水準。
- 経常利益: 2024年3月期は4.68億円。
- 当期純利益: 2024年3月期は4.29億円。
- ROE（実績）: 2.14%
- 自己資本比率（実績）: 80.1%
売上高の減少、利益の低迷が続いており、収益性の改善が課題です。自己資本比率は高く、財務基盤は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.42%
- 1株配当（会社予想）: 20.00円
- 配当性向: 74.49%
高い配当利回りは魅力ですが、業績の悪化により、今後の配当維持には注意が必要です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下落傾向にあり、モメンタムは弱いです。5月15日に発表された決算短信の内容から、業績の悪化が嫌気され、株価が下落した可能性があります。
11. 総評
日本フエルトは、紙・パルプ用フェルトで国内シェアを持つ老舗企業ですが、国内の紙需要減少という構造的な課題に直面しています。2025年3月期の決算では減収減益となり、業績は低迷しています。高い配当利回りは魅力的ですが、今後の業績動向と配当維持には注意が必要です。株価は割安感があるものの、テクニカル的にも下落トレンドであり、今後の株価の動向には注意が必要です。投資判断は、これらの点を総合的に考慮し、ご自身の投資判断に基づいて行う必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 3512 |
| 企業名 | 日本フエルト |
| URL | http://www.felt.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
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