1. 企業情報
概要
九州フィナンシャルグループ（KFG）は、熊本県を本拠とする地方銀行グループで、肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合により2015年に設立されました。主な事業は銀行業とリース業で、預金・貸出・証券投資・為替・各種代理業務、国債や投資信託、保険商品の窓口販売、クレジットカード、DXソリューション、信用保証、ECモール運営など多岐にわたります。地域密着型金融機関として、九州エリアを中心に中小企業や個人向け融資を主力としています。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
KFGは、九州地方における大手地銀グループであり、総資産規模は地銀上位に位置します。肥後銀行・鹿児島銀行の統合による営業シナジーや財務健全性の高さが特徴です。
競争優位性・課題
- 地域密着の強みと広範な顧客基盤
- 地銀再編の流れの中で、他行との競争や人口減少・低金利環境への対応が課題
- DX推進や新規サービス開発による収益多様化が進行中
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 「地域社会の持続的発展への貢献」を掲げ、地域経済活性化と顧客本位のサービスを重視
- 中期経営計画では、デジタル化推進、非金利収益の拡大、グループシナジーの最大化、コスト構造改革などを重点施策として掲げています
具体的施策
- DX（デジタルトランスフォーメーション）による業務効率化・顧客サービス向上
- 地域企業へのコンサルティング、事業承継、M&A支援
- リース事業や保証業務など、銀行以外の収益源強化
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 主力は預貸業務（資金調達・貸出）、中小企業向け融資が約64%、住宅・消費者向けが約31%
- 非金利収益（手数料、リース、保証、投資信託等）の拡大にも注力
市場ニーズ適応力
- 地域経済の変化や人口減少に対応するため、デジタルサービスや新規事業開発を推進
- 地域密着型のビジネスモデルが強みだが、今後の人口動態や産業構造変化への対応が持続性の鍵
5. 技術革新と主力製品
技術開発・独自性
- DX推進による業務効率化、顧客利便性向上に取り組み
- 地域企業向けのデジタルサービスや、ECモール事業など新規分野開拓
主力商品・サービス
- 中小企業向け融資、住宅ローン、各種リース商品、投資信託・保険販売
- クレジットカード、保証業務、デジタルバンキングサービス
6. 株価の評価
指標比較
- 株価：724.3円
- 予想EPS：77.43円
- 予想PER：9.35倍（業界平均10.7倍よりやや割安）
- 実績BPS：1,626.60円
- 実績PBR：0.45倍（業界平均0.4倍よりやや高いが依然低水準）
評価
- 業界平均と比較してPERは割安水準、PBRも低くバリュー株の特徴が見られる
7. テクニカル分析
- 年初来高値：807円、年初来安値：520円
- 直近株価（724.3円）は年初来高値からやや下落した水準、50日移動平均（694.39円）より上、200日移動平均（723.42円）とほぼ同水準
- 直近10日間の株価は700円台前半で推移し、ややもみ合い傾向
- 信用買残は高水準（信用倍率13.5倍）で、やや需給の偏りが見られる
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移（過去4年）
- 総収益は増加傾向（2021年162,963百万円→2024年186,503百万円）
- 純利益も増加（2021年15,012百万円→2024年26,394百万円）
- EPSも上昇傾向（2021年34.12円→2024年61.01円）
収益性・効率性
- ROE：4.28%（業界平均並み～やや低め）
- ROA：0.23%（地銀として標準的）
- 営業利益率・経常利益率ともに10%超と安定
財務安全性
- 自己資本比率：5.3%（地銀としては標準的～やや低め）
キャッシュフロー
- 営業キャッシュフローはマイナスだが、金融業特有の資金運用による変動要因
9. 株主還元と配当方針
- 年間配当：26.00円（予想配当利回り3.59%）
- 配当性向：29.92%（適正水準）
- 記念配当（創立10周年）も実施予定
- 自己株式保有比率も高く、安定した株主還元姿勢
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価は700円台前半で安定推移、やや上昇モメンタムは鈍化
- 信用買い残が高く、短期的な需給面での注意が必要
- 配当利回りの高さやバリュー株としての注目度は維持
11. 総評
九州フィナンシャルグループは、九州地盤の大手地銀グループとして、安定した収益基盤と地域密着型の強みを持っています。近年はデジタル化や非金利収益の拡大に注力し、収益・利益ともに堅調な推移を示しています。株価指標は業界平均と比較して割安感があり、配当利回りも高水準です。一方で、信用買残の高さや人口減少などの構造的課題には引き続き注視が必要です。今後は、DX推進や新規事業展開による収益多様化、地域経済との共生が成長の鍵となります。
※本レポートは情報提供を目的としており、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 7180 |
| 企業名 | 九州フィナンシャルグループ |
| URL | https://www.kyushu-fg.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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