1. 企業情報
- 企業名：株式会社アイ・アールジャパンホールディングス
- 事業内容：上場企業向けにIR（投資家向け広報）・SR（株主対応）コンサルティングを主軸とし、株主判明調査、議決権行使支援、M&Aや企業防衛（敵対的買収対応）、プロキシーアドバイザリー（議決権争奪戦略立案）など、資本市場における専門的サービスを提供。独立系として国内トップシェアを有する。
- 設立：2015年2月2日（創業1984年）
- 本社：東京都千代田区霞が関
- 従業員数：176人（平均年齢46.4歳、平均年収1,270万円）
- 市場区分：東証プライム
- 事業構成（2024.3実績）：
- IR・SRコンサルティング：94%
- ディスクロージャーコンサルティング：4%
- データベース他：2%
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：株主判明調査や議決権行使支援分野で国内トップシェアを誇る。独立系であり、アクティビスト対応や企業防衛、M&A対応などの有事案件で強みを持つ。
- 競争優位性：専門性の高いコンサルタント集団と独自のデータベース、議決権行使ノウハウを有する点が強み。アクティビスト活動や資本効率改善要請の高まりを追い風とする。
- 課題：プライム市場の上場維持基準（流通株式時価総額）に未適合。業績予想の算定が困難な市況環境。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン：「議決権の力を軸に資本市場の健全な発展に貢献」
- 重点分野：
- 独立系プロキシー・アドバイザリーとしての地位強化
- 上場企業の持続的成長・企業価値向上支援
- 人材投資（新卒初任給引き上げ等）
- 中期計画：具体的な数値目標や施策は未開示。配当性向50%を目安とした株主還元を継続。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：コンサルティングフィー（案件ベース、リテイナー型等）、株主判明調査や議決権行使支援サービスの提供。
- 市場ニーズ適応力：アクティビスト活動や資本効率改善の潮流に対応。平時・有事双方の案件増加により、安定した需要が見込まれる。
- リスク：市場環境や規制変更、上場維持基準への対応が課題。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向：独自の株主判明調査・議決権シミュレーションシステムを有する。
- 主力サービス：IR・SRコンサルティング、プロキシーアドバイザリー、M&A・企業防衛関連のフィナンシャルアドバイザリー。
- 独自性：アクティビスト対応や敵対的買収防衛のノウハウ、独立系としての中立性。
6. 株価の評価
- 株価：654円（2025/5/27時点）
- BPS（実績）：316.04円
- PBR（実績）：2.07倍（業界平均1.8倍よりやや高い）
- EPS（実績）：39.35円
- PER：16.6倍程度（EPS実績ベース、業界平均17.0倍と同水準）
- 時価総額：116.7億円
7. テクニカル分析
- 年初来高値：938円
- 年初来安値：557円
- 直近株価推移：5/22に急落（904円→654円）、直近10日間で高値圏から大幅下落。現在は年初来安値圏に近い水準。
- 移動平均：50日線（705.54円）、200日線（783.14円）を大きく下回る。
- 出来高：5/26に急増（135万株）、直近で売買が活発化。
8. 財務諸表分析
- 売上高：57.8億円（2025年3月期、前年同期比+2.1%）
- 営業利益：10.0億円（前年同期比△6.2%）
- 純利益：7.0億円（前年同期比△8.4%）
- 営業利益率：17.4%
- ROE：12.71%
- ROA：9.35%
- 自己資本比率：81.4%（財務健全性高い）
- キャッシュフロー：営業CF 7.7億円、フリーCF 4.4億円
- 傾向：売上は微増だが、利益は減少傾向。コスト増が影響。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績：年間20円（中間10円、期末10円）
- 配当性向：50.8%
- 配当利回り：3.06%（株価654円基準）
- 自社株買い：自己株式保有あり（76,327株、発行済の0.43%）
- 方針：連結配当性向50%を目安に決定予定。2026年3月期配当は未定。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向：5/22以降急落、年初来安値圏。直近出来高急増。
- 信用取引：買残28.4万株、売残7.6万株、信用倍率3.74倍。信用取引の動き活発。
- 投資家関心：出来高増、株価急落で短期的な注目度上昇。
- 影響要因：上場維持基準未達、業績予想非開示などが不透明感を強めている可能性。
11. 総評
アイ・アールジャパンホールディングスは、IR・SRコンサルティング分野で国内トップシェアを持つ独立系コンサルティング会社です。アクティビスト対応や企業価値向上支援など、資本市場の変化に応じた専門サービスを展開しています。財務基盤は堅固で、自己資本比率やキャッシュフローも良好ですが、近年はコスト増により利益率がやや低下しています。株価は直近急落し、年初来安値圏で推移。配当利回りは3%台と高水準ですが、上場維持基準への対応や業績予想の不透明感がリスク要因となっています。今後は、プライム市場維持への施策や収益性改善の動向が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6035 |
| 企業名 | アイ・アールジャパンホールディングス |
| URL | http://www.irjapan.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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