1. 企業情報
概要
セブン銀行は、主にATMサービスを全国展開する銀行で、セブン‐イレブン店舗を中心にATMを設置しています。ATM利用手数料収入が主な収益源であり、個人・法人向けに預金、ローン、デビットカード、送金、インターネットバンキングなど多様な金融サービスも提供。近年はキャッシュレス化の流れに対応し、非銀行業者や海外展開も強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
- セブン銀行はコンビニATM市場で圧倒的なシェアを持ち、全国のセブン‐イレブン店舗を活用したATM網により高い利便性を提供しています。
- 競合はローソン銀行、イーネット（ファミリーマート等）など。
- キャッシュレス化の進展によりATM利用件数の伸び鈍化が懸念される一方、ATMをサービスプラットフォーム化する戦略で差別化を図っています。
課題
- 現金取引の減少によるATM手数料収入の減少リスク
- キャッシュレス決済の普及による市場環境の変化
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略
- 「ATMの社会的価値を現金プラットフォームからサービスプラットフォームへ進化させる」ことを掲げ、ATMを単なる現金引き出し機能から多機能端末へと転換。
- キャッシュレス決済やデジタルサービスとの連携強化、海外ATM事業の拡大に注力。
中期経営計画の施策
- ATMネットワークの拡充と新型ATMへの更新
- クレジットカード・電子マネー事業（nanaco等）の強化
- 海外展開（米国、東南アジア等）の推進
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- ATM利用手数料が収益の柱。金融機関や利用者からの手数料収入が安定的。
- クレジットカード・電子マネー事業、海外ATM事業など新規分野も成長中。
市場ニーズへの適応力
- キャッシュレス化進展への対応として、ATMの多機能化やデジタルサービス連携を推進。
- 海外展開により新たな収益源を模索。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 新型ATMの導入により、現金取引以外のサービス（本人確認、各種支払い、送金等）を提供。
- セキュリティ強化や利便性向上に向けた技術開発を継続。
主力製品・サービス
- ATMサービス（国内・海外）
- クレジットカード「セブンカード」、電子マネー「nanaco」
- 法人向けバックオフィス支援サービス
6. 株価の評価
- 株価: 275.3円
- EPS（会社予想）: 13.68円
- BPS（実績）: 236.93円
- PER（会社予想）: 20.12倍（業界平均: 10.7倍）
- PBR（実績）: 1.16倍（業界平均: 0.4倍）
評価
- 業界平均と比較してPER・PBRともに高い水準。
- 株価はBPSに対して約1.16倍、利益水準に対してはやや割高感が見られる。
7. テクニカル分析
- 直近株価推移: 5月20日に急騰（254円→277円）、その後は270円台で推移。
- 年初来高値: 313円、年初来安値: 233円
- 50日移動平均: 263.56円、200日移動平均: 295.08円
- 現状: 直近は50日移動平均を上回るが、200日移動平均は下回る水準。年初来高値からはやや下落した位置。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移
- 売上高（2025/3期）: 214,408百万円（前年比8.3%増）
- 経常利益: 30,289百万円（前年比△0.7%）
- 純利益: 18,221百万円（前年比△43.0%）
※前期は特別利益（負ののれん発生益）による増益の反動減
キャッシュフロー・効率性
- 営業CF: 34,510百万円（安定的）
- ROE: 6.65%、ROA: 1.14%（銀行業としては標準的）
財務安全性
- 自己資本比率: 18.5%（良好）
9. 株主還元と配当方針
- 年間配当: 11.00円（予想配当利回り約4.0%）
- 配当性向: 約70.65%（高水準）
- 自社株買い: 自己株式保有割合は0.33%と限定的
- 過去5年平均配当利回り: 4.14%（安定的な配当政策）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価動向: 5月20日に大商いで急騰後、270円台で安定推移。
- 信用取引動向: 信用買残増加（+3,309,100株）、信用倍率2.19倍とやや買い優勢。
- 出来高: 直近10日間で高水準、投資家の関心が高まっている状況。
11. 総評
セブン銀行は、全国のセブン‐イレブン店舗を中心としたATM網を強みとし、安定したATM手数料収入を得ている銀行です。キャッシュレス化の進展という業界構造変化に対し、ATMの多機能化やデジタルサービス連携、海外展開など新たな成長戦略を推進しています。財務基盤は堅固で、配当利回りも高水準を維持。直近の株価は急騰後、やや落ち着いた推移となっており、投資家の注目度も高い状況です。一方で、PER・PBRは業界平均より高めであり、今後の成長性や事業モデルの持続性が引き続き注視されます。
企業情報
| 銘柄コード | 8410 |
| 企業名 | セブン銀行 |
| URL | http://www.sevenbank.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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