1. 企業情報
概要
シンフォニアテクノロジー株式会社は、1917年創業の重電系企業で、現在は搬送装置や制御機器、パワーエレクトロニクス機器、クリーン搬送システム、エンジニアリング&サービスの4事業を展開しています。半導体製造装置向けの搬送システムや航空宇宙関連の電装品、上下水道やインフラ向けの電気設備、工場向けの設備工事など幅広い分野に事業を持ちます。神鋼系から独立し、現在は多角的な事業展開が特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
- 「電機・精密」分野に属し、特に半導体製造装置搬送や航空宇宙関連のニッチ分野で強みを持っています。
- 主要競合としては、同じく産業用機器や搬送システムを手掛ける大手・中堅メーカーが挙げられますが、シンフォニアは特定分野（クリーン搬送や航空宇宙等）で独自性を発揮しています。
競争優位性・課題
- 防衛・航空宇宙や半導体製造装置分野での技術力が競争優位性。
- 一方で、地政学的リスクや原材料調達リスク（米中摩擦、レアアース規制等）が課題。
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 2030年に向けた長期ビジョン「社会・顧客・自らに響く挑戦と成長企業への変革」を掲げ、技術オリエンテッドで事業領域拡大を目指しています。
中期経営計画（2025年度～3ヵ年）
- 事業規模拡大と持続的成長を重視。
- クリーン搬送システム：半導体製造装置需要の回復を取り込む。
- モーション機器：防衛・航空宇宙分野の需要増加を活かす。
- パワーエレクトロニクス機器：インフラ関連需要の取り込み。
- エンジニアリング&サービス：海外（特に台湾）での半導体工場向け設備工事の強化。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源が分散しており、特定分野の市況変動リスクを分散。
- 半導体や防衛・航空宇宙分野など成長市場に対応。
- 市場ニーズの変化（AI半導体・インフラ投資増加等）に柔軟に対応する体制を構築。
5. 技術革新と主力製品
- クリーン搬送システム（半導体製造装置向け搬送機器）が主力で、AI・半導体需要増加の恩恵を享受。
- 航空宇宙・防衛分野向けの電装品やサーボアクチュエータ、パワーエレクトロニクス機器も強み。
- 技術開発力を活かした新製品投入や、エンジニアリング分野でのシステム構築力が特徴。
6. 株価の評価
- 株価：7,920円
- 予想EPS：400.53円
- 予想PER：19.65倍（業界平均24.2倍より低い）
- 実績BPS：2,840.25円
- 実績PBR：2.77倍（業界平均1.6倍より高い）
- ROE（実績）：15.65%（高水準）
評価
- PERは業界平均より割安水準、PBRはやや高め。
- ROEが高く、収益性の高さが株価に織り込まれていると考えられます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：7,980円（直近高値7,950円）
- 年初来安値：4,260円
- 50日移動平均：6,137.5円、200日移動平均：5,792.65円
- 現在株価は年初来高値圏に位置し、直近10日間で急騰。
現状
- 高値圏にあり、短期的には過熱感も見られます。
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移（年度別）
- 売上高：87,312百万円（2021年）→94,585百万円（2022年）→108,808百万円（2023年）→119,150百万円（2024年）
- 営業利益：4,891百万円→7,515百万円→11,625百万円→15,734百万円
- 当期純利益：3,677百万円→5,593百万円→8,098百万円→12,097百万円
収益性・効率性
- 営業利益率：13.2%
- ROE：15.65%、ROA：7.19%
財務安全性
- 自己資本比率：58.7%
- 有利子負債比率：低水準（Total Debt/Equity 18.64%）
- 流動比率：2.01（健全）
キャッシュフロー
- 営業CF：11,373百万円
- フリーCF：8,030百万円（十分な水準）
9. 株主還元と配当方針
- 年間配当予想：120円（配当利回り1.52%）
- 配当性向：20.89%（安定的・余力あり）
- 自己株式保有：4.79%
- 特別配当や自社株買いの有無：特に記載なし
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間で大幅上昇、出来高も増加傾向
- 年初来で株価は2倍以上に上昇（52週変化率121.9%）
- 信用買残はやや減少、信用倍率2.96倍（やや買い長）
- インサイダー保有25.51%、機関投資家保有31.21%（安定株主構成）
要因
- 半導体・防衛分野の需要増加、好調な決算、成長期待が株価を押し上げたと考えられます。
11. 総評
シンフォニアテクノロジーは、半導体・航空宇宙・インフラ分野での技術力と多角化を強みとし、直近数年で大幅な業績成長を実現しています。財務体質も良好で、ROEや利益率など収益性指標も高い水準です。現在の株価は年初来高値圏にあり、業績拡大や成長期待が強く株価に反映されています。配当性向も低めで、今後の成長余力や株主還元余地も残されています。市場環境や地政学的リスクには引き続き注意が必要ですが、事業モデルの持続性や技術革新力が評価されている状況です。
企業情報
| 銘柄コード | 6507 |
| 企業名 | シンフォニアテクノロジー |
| URL | http://www.sinfo-t.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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