1. 企業情報
- 概要
住友重機械工業は、住友グループに属する総合重機メーカーで、1888年創業、1934年設立。本社は東京都品川区。主要事業は変減速機、射出成形機、建設機械、タービン、半導体製造装置、がん治療装置など多岐にわたる。世界60カ国以上で事業展開し、従業員数は約25,000人。
– 事業構成（2024年度）
– メカトロニクス（19%）：変減速機、モーションコントロール等
– インダストリアルマシナリー（27%）：射出成形機、半導体装置等
– ロジスティックス＆コンストラクション（37%）：建設機械、物流システム等
– エネルギー＆ライフライン他（18%）：ボイラー、タービン、水処理等
– 海外売上比率：60%
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
国内外の総合重機メーカー大手として、変減速機、射出成形機、建設機械分野で高いシェアを持つ。特に変減速機はグローバルでトップクラス。
– 競争優位性・課題
強みは多角化と技術力。がん治療装置など高付加価値分野にも展開。一方で、建設機械や産業機械分野はコマツ、日立建機、三菱重工など国内外大手との競争が激しい。中国・欧州の市況低迷やコスト増、為替影響も課題。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「中期経営計画2026」に基づき、社会課題解決型の製品・サービスを通じた持続的な企業価値向上を目指す。
– 重点施策
– 収益性の高い製品・サービスへのシフト
– セグメント間シナジー強化、事業組替え
– 海外市場（特に米国・アジア）の深耕
– 環境・エネルギー分野への投資拡大
– DX推進・デジタルサービス拡大
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
多角化による安定収益基盤。産業用機械から医療、エネルギーまで幅広い分野で収益源を確保。
– 市場ニーズ変化への適応力
環境規制強化やデジタル化、ヘルスケア需要の高まりに対応した新製品開発、サービス型ビジネス拡大に注力。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向・独自性
変減速機や精密制御技術、がん治療装置（陽子線治療装置）、省エネ型機械等で独自技術を保有。
– 主力製品・サービス
– 変減速機（グローバルシェア上位）
– 射出成形機（自動車・家電向け）
– 建設機械（油圧ショベル等）
– 半導体製造装置
– 医療機器（陽子線治療装置）
6. 株価の評価
- PER（予想）：13.03倍（業界平均16.6倍より低位）
- PBR（実績）：0.58倍（業界平均1.4倍より大幅に低位）
- EPS（予想）：232.98円
- BPS（実績）：5,188.19円
- 株価：3,035円
- 株価÷BPS＝0.58倍、株価÷EPS＝13.03倍
- 業界平均と比較し割安な水準
7. テクニカル分析
- 直近株価推移
- 直近10日間は2,900～3,050円で推移し、やや上昇傾向
- 年初来高値：3,342円、年初来安値：2,574円
- 50日移動平均：2,972円、200日移動平均：3,186円
- 現在値は50日線上、200日線下
- 直近は安値圏から反発傾向だが、長期的には調整局面
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移（過去5年）
- 売上高：2021年8490億円→2024年1兆711億円（増加傾向）
- 営業利益：2021年513億円→2024年551億円（増加傾向だが直近減益）
- 純利益：2021年267億円→2024年77億円（直近大幅減益）
- 営業利益率：2024年4.6%（前年6.9%から低下）
- ROE：1.23%（前年7.2%から大幅低下）
- ROA：2.39%
- 自己資本比率：50.8%（健全）
- キャッシュフロー
- 営業CF：307億円（プラス）
- フリーCF：-90億円（投資増加等でマイナス）
- 傾向
- 売上は堅調だが、利益率・純利益は直近大きく減少
- キャッシュフローは投資負担増もありやや厳しい
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.12%（高水準）
- 1株配当（予想）：125円
- 配当性向：1,846.38%（直近利益減少による一時的な高水準）
- 自社株買い：自己株式保有あり（2.16%）
- 方針：安定配当を重視。特別配当なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム
- 直近は反発傾向だが、1年で約30%下落
- 信用買い残増加、信用倍率高め（15.87倍）
- 投資家関心
- 機関投資家の保有比率高い（53.78%）
- 配当利回りの高さや割安感から一定の関心
- 影響要因
- 業績回復への期待
- 建機・半導体・エネルギー分野の市況
- 為替・原材料コスト動向
11. 総評
住友重機械工業は、多角化と技術力を強みに、国内外で幅広い産業機械・建設機械・エネルギー・医療分野を展開する総合重機メーカーです。直近では利益率・純利益の大幅減少が見られるものの、売上は堅調。財務基盤は健全で、配当利回りも高水準。株価指標は業界平均と比べて割安です。今後は中期経営計画に基づく収益性改善、海外市場の深耕、環境・医療分野の成長が注目されます。業績動向や市況変化、財務健全性の維持が今後のポイントとなります。
本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 6302 |
| 企業名 | 住友重機械工業 |
| URL | http://www.shi.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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