1. 企業情報
- 事業内容: アイルは、独立系のシステム開発会社であり、主に中小企業向けのシステムソリューションを提供しています。具体的には、販売・在庫管理システム、ネットショップと実店舗の統合管理システム、BtoB向けWeb受発注システム、顧客管理システム、人事・労務管理システムなどを開発・提供しています。
- 特徴: 中堅・中小企業向けのシステムに強みを持ち、実店舗とネットショップの連携を支援するソリューションに注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界: 情報通信・サービスその他、情報・通信業に属し、ソフトウェア・インフラストラクチャ分野で事業を展開しています。
- 競争優位性: 中小企業向けのシステムソリューションに特化しており、特定の顧客ニーズに対応した製品・サービスを提供することで、一定の競争優位性を築いています。実店舗とネットショップの統合管理という、近年需要の高まっている分野に注力している点も強みです。
- 課題: 競争が激しいIT業界において、大手企業との差別化を図り、中小企業向け市場でのシェアを拡大していく必要があります。技術革新への対応や、人材確保も重要な課題です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 顧客の企業力強化を支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略を推進しています。「リアル」と「Web」それぞれの商材を複合的に提案し、製販一体体制を強化することで利益体質の改善を目指しています。
- 中期経営計画: 2025年7月期の中間決算短信によると、継続的な大型案件の受注とストック売上高の積み上げによる売上高の増加を目指しています。
- 重点分野:
- 中小企業向けシステムソリューションの拡充
- 実店舗とネットショップの統合管理システムの強化
- 「CROSS MALL」などのWebソリューションの成長
- 製販一体体制の強化による利益率向上
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: システム開発、販売、保守・運用サービスなど、多角的な収益源を持っています。ストック型ビジネスである保守・運用サービスの安定的な収益が、事業の持続可能性を支えています。
- 市場ニーズへの適応力: 中小企業のDX推進を支援するソリューションを提供することで、市場ニーズの変化に対応しています。実店舗とネットショップの連携など、変化する顧客ニーズに合わせたサービス提供が重要です。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向: クラウド技術を活用したサービスの提供や、AIなどの最新技術を取り入れた製品開発が期待されます。
- 主力製品:
- 販売・在庫管理システム
- ネットショップ一元管理クラウドサービス「CROSS MALL」
- 顧客管理システム
- 人事・労務管理システム
6. 株価の評価
- EPS: 131.87円（会社予想）
- PER: 19.94倍（会社予想）
- BPS: 305.81円（実績）
- PBR: 8.60倍（実績）
- 評価:
- PERは業界平均（23.2倍）を下回っており、割安感があります。
- PBRは業界平均（2.3倍）を大きく上回っており、割高感があります。
- ROE（33.15%）は非常に高く、効率的な経営が行われていることを示唆しています。
- 現在の株価2630円は、EPSとBPSから見ると、割高な水準にある可能性があります。
7. テクニカル分析
- 株価推移:
- 直近10日間の株価は、2558円から2644円の間を変動しており、2600円台で推移しています。
- 年初来高値は2797円、年初来安値は1885円です。
- 50日移動平均線は2321.24円、200日移動平均線は2682.80円です。
- 200日移動平均線を下回っていることから、中期的なトレンドは下降傾向にあると見られます。
- 直近の株価は、200日移動平均線に近づいており、高値圏にある可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去12ヶ月で175億円と、堅調に推移しています。
- 利益:
- 営業利益は42.6億円、経常利益は40.5億円と、高い水準を維持しています。
- 当期純利益も28.8億円と、高い収益性を維持しています。
- 売上高、利益ともに増加傾向にあり、成長を続けています。
- ROE: 33.15%と非常に高く、資本効率の良い経営が行われています。
- 自己資本比率: 68.4%と高く、財務基盤は安定しています。
- キャッシュフロー: 営業キャッシュフローは31億円と、安定したキャッシュを生み出しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 1.79%（会社予想）
- 1株配当: 47.00円（会社予想）
- 配当性向: 38.10%
- 株主還元策: 配当による株主還元を実施しています。
- その他: 2025年7月期の年間配当は47円（中間配当20円、期末配当27円）を予定しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の変動: 直近10日間の株価は、やや上昇傾向にあります。
- 出来高: 出来高は、平均70,550株と、活発な取引が行われています。
- 信用取引: 信用買残は123,400株と多く、信用倍率は205.67倍と高い水準です。
- 株価への影響要因:
- 業績動向
- IT業界全体の動向
- 中小企業向けIT投資の動向
- 新製品・サービスの発表
- M&Aなどの戦略的な動き
11. 総評
- 総合評価: アイルは、中小企業向けのシステムソリューションに強みを持つ、成長性の高い企業です。高い収益性とROE、安定した財務基盤が魅力です。
- ポジティブな点:
- 中小企業向けIT市場の成長を取り込める可能性
- 高い収益性とROE
- 安定した財務基盤
- 配当による株主還元
- 懸念点:
- 株価は割高感がある
- IT業界の競争激化
- 200日移動平均線を下回っている
- 現在の株価は割高感があるものの、高い成長性と収益性、安定した財務基盤を考慮すると、長期的な視点での投資を検討する価値はあります。
- ただし、テクニカル面では、200日移動平均線を超えてからの投資が望ましいと考えられます。
- 今後の業績動向や、IT業界全体の動向を注視し、慎重に投資判断を行う必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 3854 |
| 企業名 | アイル |
| URL | http://www.ill.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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