1. 企業情報
概要
東海カーボン株式会社は、炭素製品の大手メーカーであり、主に以下の事業を展開しています。
– カーボンブラック：主にタイヤ用などのゴム補強材や黒色顔料として使用される。
– 黒鉛電極：電気炉向けの主要部材。
– ファインカーボン：半導体や太陽電池製造装置向けの高機能炭素材料。
– スメルティング&ライニング：非鉄金属製錬用のカソードや炉材。
– 工業炉関連：加熱用部材や工業炉設備。
– 摩擦材・負極材：自動車・産業機械用摩擦材、リチウムイオン電池向け負極材など。
本社は東京都港区。1918年創業、従業員数は約4,600人。
2. 業界のポジションと市場シェア
- カーボンブラック分野で国内首位級。タイヤメーカーとの取引が多い。
- 黒鉛電極分野は世界的な競争が激化しており、鉄鋼市況低迷の影響を受けやすい。
- ファインカーボン分野では、半導体・電子部品関連の需要に対応。
- 摩擦材・負極材は新エネルギー車やESS（蓄電池システム）向けの需要増が期待される。
競争優位性
多角的な炭素材料ポートフォリオ、長年の技術蓄積、グローバル展開力が強み。
課題
鉄鋼・自動車・半導体など市況の影響を受けやすく、原材料価格やエネルギーコストの変動もリスク。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画（2030年目標）
- 売上高5,000億円
- EBITDAマージン20%
- ROIC12%
- 「抜本的な構造改革」「成長市場へのコミット」「サステナブルな価値創出」の3本柱
- 重点分野
- 成長分野（半導体、EV、蓄電池）への投資拡大
- 既存事業の収益性改善と構造改革
- サステナビリティ経営の推進
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- タイヤ、鉄鋼、半導体など幅広い産業向けに素材を供給し、多様な収益源を持つ。
- 市場ニーズへの適応
- EV、再生可能エネルギー、半導体分野の成長に合わせて製品ラインナップを拡充。
- 市況変動や原材料コスト上昇への対応力が今後の課題。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発
- 高純度・高機能カーボン材料の開発に注力。
- 半導体・電池材料向けの高付加価値製品を強化。
- 主力製品
- タイヤ用カーボンブラック
- 電炉用黒鉛電極
- 半導体・太陽電池向けファインカーボン
- リチウムイオン電池用負極材
6. 株価の評価
- 株価：1,037円（2025/5/30終値）
- BPS（1株当たり純資産）：1,281.09円
- EPS（1株当たり利益）：-259.35円（過去12か月）
- PBR（株価純資産倍率）：
1,037円 ÷ 1,281.09円 ≒ 0.81倍
→ 業界平均（1.4倍）より低い水準
– PER（株価収益率）：
EPSがマイナスのため算出不可
7. テクニカル分析
- 直近10日間の株価推移
- 直近高値：1,057円（5/30）
- 直近安値：959.1円（5/23）
- 50日移動平均：924.17円
- 200日移動平均：904.95円
- 52週高値：1,057円、52週安値：741.5円
- 現在値（1,037円）は直近高値圏で推移
- 50日・200日移動平均を大きく上回っており、モメンタムは強い状況。
8. 財務諸表分析
- 売上高：350,114百万円（2024年12月期）
- 営業利益：19,387百万円（2024年12月期、前年は38,729百万円）
- 純利益：-56,736百万円（2024年12月期、前年は25,468百万円）
- ROE・ROA：算出不可（純利益マイナスのため）
- 自己資本比率：44.3%（2025年3月末）
- キャッシュフロー：現預金80,460百万円、総負債202,980百万円、流動比率1.83
- 過去数年の傾向
- 2023年までは黒字、2024年は減損等により大幅赤字転落。
- 2025年1Qは営業利益・純利益ともに前年同期比で大幅増加し、収益回復傾向。
9. 株主還元と配当方針
- 年間配当：30円（2024年・2025年予想ともに据え置き）
- 配当利回り：約2.9～3.0%
- 配当性向：72.74%
- 自社株買い：自己株式保有比率5.1%
- 配当方針：安定配当を重視
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：
- 直近1か月で上昇傾向、出来高も増加。
- 52週高値を更新しており、投資家の関心が高まっている。
- 要因：
- 2025年1Qでの利益回復、減損処理後の収益性改善への期待感。
- EV・半導体関連の需要拡大、構造改革進展への注目。
11. 総評
東海カーボンは、カーボンブラック、黒鉛電極、ファインカーボンなど幅広い炭素材料事業を展開し、国内外で高いシェアを持つ企業です。2024年は減損等の影響で大幅赤字となりましたが、2025年1Qでは営業利益・純利益ともに回復傾向が見られます。株価は直近高値圏で推移しており、モメンタムも強い状況です。配当は安定しており、自己資本比率も高水準を維持しています。今後は成長分野へのシフトと構造改革の成果が注目されます。
※本レポートは公開情報に基づき作成しており、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 5301 |
| 企業名 | 東海カーボン |
| URL | http://www.tokaicarbon.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – ガラス・土石製品 |
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