1. 企業情報
株式会社TBKは、トラック・バス用ブレーキで国内首位の自動車部品メーカーです。ブレーキ、オイルポンプ、エンジン部品などを製造・販売しており、トラック・バス向けに加え、ポンプ類やエンジン部品、建機向けにも製品を提供しています。グローバル展開も行っており、タイ、中国などにも生産拠点を有しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
TBKは、トラック・バス用ブレーキにおいて国内首位の地位を確立しています。この分野での高い市場シェアは、長年の実績と技術力、顧客からの信頼の証です。
競争優位性:
- トラック・バス用ブレーキにおける高い国内シェア
- 幅広い製品ラインナップ（ブレーキ、ポンプ、エンジン部品など）
- グローバルな生産・販売体制
課題:
- 自動車業界全体の動向（EVシフトなど）による影響
- 原材料価格の高騰
- 中国経済の減速
3. 経営戦略と重点分野
TBKは、2025年5月14日に第16次中期経営計画（2025年4月～2028年3月）を発表し、「イノベーションで未来を切り拓く」をテーマに掲げています。
中期経営計画の主な戦略:
- 技術革新: 新規製品の開発、既存製品の改良
- グローバル展開: 海外市場での事業拡大
- コスト削減: 生産効率の向上、コスト構造の見直し
- 収益性向上: 付加価値の高い製品へのシフト
重点分野:
- トラック・バス用ブレーキ事業の強化
- 電動化に対応した製品の開発
- 海外市場での事業拡大（特にアジア地域）
4. 事業モデルの持続可能性
TBKの事業モデルは、自動車部品という安定した需要が見込める分野に基盤を置いています。トラック・バス用ブレーキは、インフラ整備や物流需要に支えられ、安定した需要が見込めます。
持続可能性への課題と対応:
- EVシフトへの対応: 電動化に対応したブレーキシステムや関連部品の開発が不可欠です。
- 市場ニーズの変化への対応: 環境規制への対応、燃費性能の向上など、顧客ニーズの変化に対応した製品開発が求められます。
- グローバル競争の激化: 海外メーカーとの競争激化に対応するため、コスト競争力の強化や差別化戦略が必要です。
5. 技術革新と主力製品
TBKは、ブレーキ技術を中心に、高い技術力を有しています。
主力製品:
- トラック・バス用ブレーキ（ドラムブレーキ、ディスクブレーキ）
- オイルポンプ
- エンジン部品
- 電動ポンプ
技術開発の動向:
- 電動化に対応したブレーキシステムの開発
- 軽量化、高耐久性、高性能化を目指した製品開発
- 環境負荷低減に貢献する製品の開発
6. 株価の評価
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価 | 287.0円 |
| PER（会社予想） | 13.63倍 |
| PBR（実績） | 0.29倍 |
| EPS（会社予想） | 21.06円 |
| BPS（実績） | 991.52円 |
| 配当利回り | 2.79% |
評価のポイント:
- PER: 13.63倍は、業界平均PER7.3と比較すると、やや割高と判断できます。
- PBR: 0.29倍は、業界平均PBR0.5を下回っており、割安と判断できます。
- EPS: 21.06円のEPSを基に計算すると、現在の株価は適正水準に近いと考えられます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は280円～287円の間で推移しており、200日移動平均線（284.02円）を上回っています。年初来高値（325円）からは下落していますが、50日移動平均線（286.24円）付近で推移しており、底堅さも見られます。
8. 財務諸表分析
売上高:
- 2025年3月期は544.15億円で、前期比4.0%減と減収。
利益:
- 2025年3月期の営業利益は9.41億円で、前期比4.2%増。
- 経常利益は3.09億円で、前期比63.3%減。
- 当期純損失は12.04億円。
その他の指標:
- ROE（実績）: -4.24%
- 自己資本比率（実績）: 53.2%
分析:
- 2025年3月期は減収減益。
- 営業利益は増益となったものの、経常利益、当期純利益は悪化。
- TBK America, Inc. の解散及び清算に伴う損失計上が影響。
- 自己資本比率は53.2%と安定。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 2.79%
- 1株配当（会社予想）: 8.00円
- 配当性向: 85.62%
TBKは、安定的な配当を重視する方針です。2025年3月期の年間配当は8.00円を予定しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動: 株価は280円～287円のレンジで推移しており、方向感に欠ける状況です。
- 出来高: 1日の平均出来高は41,910株と、活発とは言えません。
- 信用取引: 信用買残は447,800株、信用売残は3,500株で、信用倍率は127.94倍と、やや買われ過ぎの状況です。
株価への影響要因:
- 自動車業界全体の動向（EVシフト、半導体不足など）
- 原材料価格の変動
- 為替レートの変動
- 中期経営計画の進捗状況
11. 総評
TBKは、トラック・バス用ブレーキで国内首位の自動車部品メーカーであり、安定した事業基盤を持っています。しかし、2025年3月期は減収減益となり、業績は低迷しています。中期経営計画では、技術革新、グローバル展開、コスト削減などを推進し、収益性の向上を目指しています。
* 割安感: PBRは割安ですが、PERはやや割高です。
* 業績の回復: 今後の業績回復が重要です。中期経営計画の進捗状況に注目する必要があります。
* EVシフトへの対応: 電動化に対応した製品開発が重要です。
* 株価の動向: テクニカル的には、200日移動平均線を上回っていますが、方向感に欠ける状況です。
総合的な見解:
TBKは、安定した事業基盤を持つものの、業績の回復とEVシフトへの対応が課題です。今後の業績動向、中期経営計画の進捗、株価の動向などを注視し、慎重に投資判断を行う必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 7277 |
| 企業名 | TBK |
| URL | http://www.tbk-jp.com/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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