1. 企業情報

事業内容

日精樹脂工業は、主に射出成形機の開発・製造・販売を行う国内最大手企業です。射出成形機とは、プラスチックなどの材料を加熱・溶融し、金型に射出して成形する産業機械で、自動車部品、家電、医療機器など幅広い分野で利用されています。
同社は、金型や周辺機器、部品の提供も手掛け、専用機は内製、汎用機は外注という体制をとっています。製品は約80カ国に輸出されており、グローバル展開を強化しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

競争優位性・課題

  • 国内射出成形機市場で最大手の地位を確立。
  • 専用機開発力や周辺機器との一体提案が強み。
  • 海外売上比率が高く、グローバル展開を推進中。
  • 競合には住友重機械工業、ファナック、東芝機械など大手が存在。
  • 市場全体は設備投資需要の低迷や中国経済の減速、原材料高騰等の逆風に直面。

3. 経営戦略と重点分野

ビジョン・戦略

  • 「グローバル市場での競争力強化」と「高付加価値製品の開発」を掲げる。
  • 海外販売網の強化、現地生産・現地調達の推進。
  • 省エネ・高効率な電動・ハイブリッド成形機の開発。

中期経営計画の重点施策

  • アジア市場(特に中国・東南アジア)でのシェア拡大。
  • IoT対応の品質・生産管理システムの拡販。
  • 付加価値の高い専用機・二色成形機のラインナップ強化。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 射出成形機の需要は自動車・家電・医療など幅広い産業に支えられている。
  • 省エネ・高精度化・自動化ニーズの高まりに対応し、IoTやAI技術の導入も進む。
  • 市場環境の変化(設備投資抑制や原材料高騰)への柔軟な対応が課題。

5. 技術革新と主力製品

  • 主力は電動・ハイブリッド型射出成形機。
  • 独自の二色成形機、コンパクト成形機、品質管理システムなどを展開。
  • IoTを活用した生産管理・データ分析システムを強化中。
  • 環境対応型・高効率機種の開発に注力。

6. 株価の評価

  • 現在株価:829円
  • 会社予想EPS:31.30円
  • 会社予想PER:26.49倍(業界平均PER:16.6倍)
  • 実績BPS:2,077.37円
  • 実績PBR:0.40倍(業界平均PBR:1.4倍)

評価のポイント

  • PERは業界平均より高く、利益成長期待が株価に織り込まれている可能性。
  • PBRは業界平均を大きく下回り、資産価値に対して割安な水準。
  • EPS・BPSの観点からは、利益水準が低下しているためPERが高めに出ている。

7. テクニカル分析

  • 直近株価は800円台前半で推移し、年初来安値(704円)からは反発傾向。
  • 年初来高値(1,010円)には届かず、200日移動平均線(907.57円)を下回る。
  • 50日移動平均線(816.88円)付近で推移しており、安値圏からやや持ち直しの局面。

8. 財務諸表分析

売上・利益

  • 売上高は2022年3月期以降、やや減少傾向(2023年3月期:522億円→2024年3月期:470億円)。
  • 営業利益・純利益は大きく減少(営業利益:26.8億円→17.2億円、純利益:18.4億円→3.8億円)。
  • 2025年3月期も減収減益予想。

キャッシュフロー・安全性

  • 自己資本比率は44.7~46.1%と良好。
  • 流動比率1.83、現金保有額も十分。
  • 有利子負債比率はやや高め(Debt/Equity: 74.92%)。

収益性指標

  • ROE(実績):0.95%(低水準)
  • ROA(過去12か月):0.66%
  • 営業利益率:2.43%(低下傾向)

9. 株主還元と配当方針

  • 年間配当:35円(予想)、配当利回り4.22%(実績4.31%)
  • 配当性向:518.52%(利益水準が低いため高水準)
  • 自己株式保有比率13.63%、自社株買いも実施歴あり。
  • 5年平均配当利回り2.82%と比べ、現状は高い。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間の株価は800円台前半で安定、出来高はやや増加傾向。
  • 52週高値からは下落基調、52週安値からは反発局面。
  • 信用買残は増加傾向、信用倍率4.3倍と買い優勢。
  • 業績低迷や市況悪化が株価の重石となる一方、配当利回りの高さが下支え材料。

11. 総評

日精樹脂工業は、射出成形機分野で国内最大手としての地位を維持し、海外展開や高付加価値機種の開発に注力しています。直近では、設備投資需要の低迷や原材料高騰、中国経済減速などの影響で減収減益となっています。財務安全性は高いものの、収益性の低下が課題です。
株価は安値圏からやや持ち直しつつあり、配当利回りの高さが目立ちますが、業績回復の見通しや市場環境の変化が今後の注目点となります。
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(本レポートは、公開情報に基づき事実を整理したものであり、投資判断の参考資料ではありません。)


企業情報

銘柄コード 6293
企業名 日精樹脂工業
URL http://www.nisseijushi.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

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By シャーロット

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