1. 企業情報
日揮ホールディングス（証券コード: 1963）は、国内外でプラント建設を中心に事業を展開する大手エンジニアリング会社です。石油・ガス、石油化学、発電などの分野で、設計、調達、建設、試運転までを手掛けています。また、機能材料製造事業も行っており、触媒やファインセラミックスなどの製品を提供しています。国内の総合エンジニアリング分野では首位を誇り、海外でもLNG（液化天然ガス）プラント建設などで実績があります。近年は、再生可能エネルギーや水素関連分野にも注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日揮ホールディングスは、国内の総合エンジニアリング業界でトップクラスの地位を確立しています。海外でも、特にLNGプラント建設分野で高い競争力を持っています。
競争優位性:
- 豊富な実績と高度な技術力
- グローバルな事業展開能力
- 多様な顧客ニーズに対応できる総合力
課題:
- プラント建設プロジェクトは、大規模かつ長期にわたるため、リスク管理が重要
- 資源価格や地政学リスク、為替変動の影響を受けやすい
- 競争激化による価格競争
3. 経営戦略と重点分野
日揮ホールディングスの経営陣は、以下のビジョンを掲げています。
* エネルギーソリューションズ分野、サステナブルソリューションズ分野、ファシリティソリューションズ分野における受注活動
中期経営計画の重点分野:
- 脱炭素化関連事業への注力: 再生可能エネルギー、水素関連分野への投資を強化
- 既存事業の強化: LNGプラント建設などの強みを生かし、収益基盤を安定化
- 技術革新: デジタル技術を活用した効率的なプロジェクト遂行
4. 事業モデルの持続可能性
日揮ホールディングスの事業モデルは、世界的なエネルギー需要やインフラ投資に支えられています。
収益モデル:
- プラント建設プロジェクトの受注・遂行による収益
- 機能材料製造事業からの収益
市場ニーズの変化への適応力:
- 脱炭素化の流れに対応し、再生可能エネルギーや水素関連分野への投資を強化
- デジタル技術を活用し、プロジェクトの効率化を図る
5. 技術革新と主力製品
日揮ホールディングスは、プラント建設における高度な技術力と、機能材料製造における独自の技術を有しています。
技術開発の動向:
- デジタルツイン技術を活用したプラント設計・運用
- 再生可能エネルギー、水素関連技術の開発
収益を牽引している製品やサービス:
- LNGプラント建設
- 石油・ガス、石油化学プラント建設
- 触媒、ファインセラミックスなどの機能材料
6. 株価の評価
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 1,252.0円 |
| PER（会社予想） | 20.17倍 |
| PBR（実績） | 0.77倍 |
| EPS（会社予想） | 62.07円 |
| BPS（実績） | 1,616.43円 |
| 配当利回り | 3.19% |
| 業界平均PER | 14.0 |
| 業界平均PBR | 1.1 |
分析:
- PERは20.17倍であり、業界平均の14.0と比較するとやや割高な水準です。
- PBRは0.77倍であり、割安な水準です。
- 配当利回りは3.19%と、一定のインカムゲインが期待できます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、株価は上昇傾向にあります。50日移動平均線（1138.67円）を上回っており、200日移動平均線（1239.35円）に近づいています。
8. 財務諸表分析
売上高:
- 2025年3月期: 858,082百万円（前年比+3.1%）
営業利益:
- 2025年3月期: -11,474百万円（営業損失）
経常利益:
- 2025年3月期: 11,320百万円
当期純利益:
- 2025年3月期: -398百万円（当期純損失）
ROE（実績）:
- 過去12か月: -0.10%
ROA（過去12か月）:
- -0.91%
自己資本比率（実績）:
- 49.8%
分析:
- 売上高は増加していますが、営業利益は損失を計上しています。これは、一部の海外プラント建設プロジェクトにおける工事採算の悪化が主な要因です。
- 経常利益はプラスを維持していますが、当期純利益は赤字となっています。
- ROE、ROAはマイナスであり、収益性の改善が課題です。
- 自己資本比率は49.8%と、財務基盤は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 3.19%
- 1株配当（会社予想）: 40.00円
- 配当性向: 49.31%
- 2026年3月期（予想）：40.00円
日揮ホールディングスは、安定した配当を維持する方針です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動: 上昇傾向
- 信用取引: 買い残が減少し、売り残が増加。信用倍率は6.17倍と、やや高め。
- 株価への影響要因:
- プラント建設プロジェクトの進捗状況
- 資源価格や地政学リスク、為替変動
- 脱炭素化関連事業への投資
- 半導体関連市場の動向
11. 総評
日揮ホールディングスは、国内トップクラスのエンジニアリング会社であり、グローバルな事業展開と高い技術力を有しています。しかし、直近の業績は、一部のプロジェクトの採算悪化により、営業損失を計上しています。脱炭素化関連事業への注力や、安定した配当は評価できますが、今後の収益性改善が課題です。株価は、PERが業界平均より高く、PBRは割安な水準です。投資を検討する際には、今後の業績動向、特にプラント建設プロジェクトの進捗状況や、脱炭素化関連事業の成長性に注目する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 1963 |
| 企業名 | 日揮ホールディングス |
| URL | https://www.jgc.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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