1. 企業情報
事業内容
日揮ホールディングス株式会社（JGC Holdings Corporation）は、エンジニアリング（EPC: 設計・調達・建設）を主軸とし、主に石油、石油精製、石油化学、ガス、発電、LNG（液化天然ガス）関連プラントの建設を国内外で展開しています。加えて、触媒やファインセラミックスなどの機能材製造事業も手掛けています。事業は「総合エンジニアリング」と「機能材製造」の2セグメントで構成され、海外売上比率が高いのが特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内でのポジション
日揮ホールディングスは、国内エンジニアリング業界で首位級の規模を誇ります。LNGプラント建設では世界的な実績を持ち、アジア・中東・アフリカなどグローバルに事業を展開しています。
競争優位性と課題
- 優位性：長年の実績・技術力、グローバルネットワーク、LNG・石油化学分野での専門性。
- 課題：海外大型案件の採算悪化リスク、建設費用・資材高騰、為替変動、地政学リスク。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン・戦略
- エネルギー分野（LNG、石油・ガス、再生可能エネルギー、水素など）での受注拡大
- サステナブルソリューション（低・脱炭素化、環境対応型事業）への注力
- 半導体関連や医薬品プラントなど新規分野への進出
中期経営計画の重点施策
- エネルギー転換・脱炭素化への対応
- 高付加価値機能材の開発・拡販
- グローバル人材・デジタル技術の活用
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- プラントEPC事業は大型案件の受注・遂行による売上計上が中心。プロジェクトごとの採算管理が重要。
- 機能材事業は半導体や自動車、化学産業向けに安定した収益基盤を持つ。
市場ニーズへの適応力
- LNG・再エネ・水素など次世代エネルギー分野へのシフトを進めている。
- 半導体関連需要の回復や新規材料開発で事業多角化を図る。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- LNGプラント建設の高度なEPC技術
- 触媒・ファインセラミックスなどの高機能材料技術
- 環境・脱炭素技術（CO2回収、水素製造など）
主力製品・サービス
- 総合エンジニアリング：LNG・石油化学・発電プラント
- 機能材：FCC触媒、ファインケミカル、ファインセラミックス（半導体・自動車向け）
6. 株価の評価
バリュエーション指標
- 株価：1,252円
- 予想EPS：62.07円
- 予想PER：20.17倍（業界平均PER: 14.0倍）
- 実績BPS：1,616.43円
- 実績PBR：0.77倍（業界平均PBR: 1.1倍）
評価
- PBRは業界平均を下回り、純資産と比較して割安感が見られる一方、PERは業界平均より高め。
- 直近の赤字決算を受けて利益水準が低下しているため、PERは一時的に高くなっている。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,422円、年初来安値：941円
- 直近10日間で株価は1,150円台から1,250円台へ上昇傾向
- 50日移動平均：1,138.67円、200日移動平均：1,239.35円
- 現在株価は200日移動平均線付近に位置し、短期的には高値圏に差し掛かっている。
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移
- 売上高は2021年以降増加傾向（2025年3月期：858,082百万円、前年比+3.1%）
- 営業利益は2025年3月期にマイナス（-11,474百万円）、純利益も赤字（-398百万円）
- 機能材製造事業は黒字だが、総合エンジニアリング事業で損失
キャッシュフロー・財務健全性
- 営業CFはプラス（46,761百万円）、フリーCFもプラス
- 自己資本比率は49.8%と高水準
- 有利子負債比率は低く、財務安全性は良好
収益性指標
- ROE：-0.10%、ROA：-0.91%（直近は赤字のため低下）
9. 株主還元と配当方針
- 1株配当：40.00円（2024年～2026年予想まで据置）
- 予想配当利回り：約3.2%（直近株価ベース）
- 配当性向：約49.3%
- 自社株買い実績あり（自己株式保有比率6.91%）
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間で株価は上昇基調
- 信用買残は減少傾向（投資家のポジション整理が進行）
- 出来高は平均1百万株超で流動性は高い
- インスティテューショナルホルダー比率も高く、安定株主が多い
11. 総評
日揮ホールディングスは、国内外で高い実績を持つ総合エンジニアリング企業であり、LNGや石油化学分野での技術力とグローバルネットワークが強みです。近年はエネルギー転換やサステナブル分野へのシフトを進めており、機能材事業も堅調です。ただし、海外大型案件の採算悪化により直近は赤字決算となっています。財務基盤は安定しており、配当も維持されています。株価は直近で上昇傾向にあり、PBRは割安水準ですが、PERは業界平均を上回っています。今後はエネルギー転換や新規事業の成長、海外プロジェクトの収益改善が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 1963 |
| 企業名 | 日揮ホールディングス |
| URL | https://www.jgc.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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