1. 企業情報
- 事業内容
群栄化学工業は、合成樹脂・繊維の製造販売を主力とする化学メーカーです。主力の化学品事業（売上比率82%）では、フェノール樹脂や高機能繊維、電子材料用途の樹脂（レジスト用等）、高純度ビスフェノールFなどを展開。世界有数のフェノール樹脂メーカーであり、タイやインドにも生産拠点を持ちます。
食品事業（売上比率17%）では異性化糖や穀物シロップを飲料向け中心に供給。不動産活用事業（売上比率1%）も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション
フェノール樹脂分野で世界有数のシェアを持ち、電子材料向け樹脂や高機能繊維など、付加価値の高い製品で競争力を維持しています。
– 競争優位性・課題
強みは技術開発力・高品質な製品・海外生産拠点。課題は原材料価格の高騰、環境対応、グローバル競争の激化など。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「Green Chemical Industry」への進化を掲げ、事業ポートフォリオの変革を推進中。
– 中期経営計画
– 財務目標は未達成だが、収益性向上と環境対応を強化。
– 化学品事業では原材料高騰に対し価格転嫁を継続。
– 食品事業は商品構成見直し・コスト削減を推進。
– サステナビリティや新規事業開発も重視。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
主力の化学品事業は電子材料や自動車、産業用途など多様な市場に対応。食品事業・不動産事業も収益安定化に寄与。
– 市場変化への適応力
原材料価格変動や環境規制に対し、製品ミックスやコスト管理で対応力を強化中。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向・独自性
電子材料用樹脂（レジスト用RESITOP等）や高機能フェノール樹脂、反応性ポリイミドなど、独自技術を活かした製品開発に注力。
– 主力製品・収益源
– フェノール樹脂（電子材料・工業用途）
– 高機能繊維（Kynol等）
– 異性化糖（飲料用）
6. 株価の評価
- PER（予想）: 11.21倍（業界平均20.4倍）
- PBR（実績）: 0.38倍（業界平均1.1倍）
- EPS（予想）: 256.29円
- BPS（実績）: 7,499.57円
- 株価: 2,872円
→ PER・PBRともに業界平均を大きく下回る水準。BPSに対し株価は低位。
7. テクニカル分析
- 株価推移
- 年初来高値: 3,555円
- 年初来安値: 2,561円
- 直近株価: 2,872円
- 50日移動平均: 3,007.86円
- 200日移動平均: 2,808.36円
- 評価
直近は下落傾向で、移動平均線を下回る水準。年初来安値圏に近い。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 30,545百万円（前年比0.8%増）
- 営業利益: 2,293百万円（前年比16.0%減）
- 純利益: 1,920百万円（前年比5.9%減）
- 営業利益率: 7.5%
- ROE: 3.91%（過去12か月4.03%）
- ROA: 2.31%
- 自己資本比率: 78.9%
- キャッシュフロー: 営業CF 4,330百万円、フリーCF 1,150百万円
- 傾向
売上は微増だが、利益は原材料高騰等で減少傾向。財務健全性は非常に高い。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 3.48%
- 1株配当（予想）: 100円
- 配当性向: 約40%
- 方針: 資本コストを意識し、安定配当を重視。自社株買いは自己株式比率が高く、機動的な実施が可能。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
直近は下落基調（年初来高値から下落、安値圏に接近）。出来高はやや低調。
– 信用取引動向
信用買残が増加傾向、信用倍率は高め（15.63倍）。
– 株価への影響要因
原材料価格、グローバル経済動向、電子材料需要、配当利回りの高さなど。
11. 総評
群栄化学工業は、フェノール樹脂を中心とした化学品事業で世界有数の地位を持つ老舗化学メーカーです。電子材料向けなど高付加価値分野で強みを発揮しつつ、食品・不動産事業も展開。財務健全性が非常に高く、安定配当方針を維持しています。
一方で、原材料価格高騰や利益率低下が直近の課題となっており、株価は業界平均指標と比較して割安水準に位置しています。今後は、環境対応や事業ポートフォリオの変革、新規事業開発の進展が注目点となります。
企業情報
| 銘柄コード | 4229 |
| 企業名 | 群栄化学工業 |
| URL | http://www.gunei-chemical.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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