1. 企業情報
概要
東陽テクニカは、電子計測器や研究開発用機器を中心に、欧米からの輸入販売を主力とする専門商社です。エレクトロニクス分野を中心に、企業や官公庁の研究開発用途に強みを持ち、ICT、メカトロニクス、物性・エネルギー、EMC・アンテナ、海洋・防衛、ソフトウェア品質・生産性、ライフサイエンス、セキュリティなど多岐にわたる分野で計測ソリューションを提供しています。コンサルティングや技術サポート、アフターサービスも展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
東陽テクニカは、電子計測器分野において国内有数の専門商社です。研究開発用機器の輸入販売に特化し、欧米の先進的な製品を国内市場に提供することで差別化を図っています。
競争優位性
- 欧米先進機器の輸入販売ノウハウ
- 研究開発用途に特化したソリューション提案力
- 官公庁・大手企業との取引実績
課題
- 為替や国際情勢の影響（米国政策等）
- 仕入先依存度の高さ
- 研究開発投資や新規事業への対応力
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
「TY2027」中期経営計画を掲げ、2027年9月期に売上高450億円、営業利益45億円、ROE11%を目標としています。
重点分野・施策
- 先進モビリティ（自動運転・ADAS関連）
- 脱炭素・エネルギー（二次電池、低温・磁気測定）
- 情報通信・セキュリティ（サイバーセキュリティ強化）
- ソフトウェア開発支援（ゲーム・車載向け）
- 海洋・防衛（防衛予算増加対応）
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 欧米先進機器の輸入・販売が中心
- 付加価値の高い技術サポート・コンサルティング
- アフターサービスによる継続収益
市場変化への適応力
- 新分野（脱炭素、モビリティ、セキュリティ等）への積極投資
- 受注高・受注残高は増加傾向で、今後の成長余地も見込まれる
5. 技術革新と主力製品
技術開発動向・独自性
- 振動騒音計測、電動化関連、AD/ADAS評価システムなど先端技術分野に注力
- サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発支援分野も強化
収益を牽引する主力製品・サービス
- 先進モビリティ向け評価システム
- 情報通信ネットワーク試験機器
- 海洋観測・防衛関連機器
- ソフトウェア品質向上ソリューション
6. 株価の評価
- 株価：1,464円（2025/6/6終値）
- EPS（会社予想）：81.37円
- PER（会社予想）：17.99倍（業界平均12.1倍より高い）
- BPS（実績）：1,305.31円
- PBR（実績）：1.12倍（業界平均1.0倍よりやや高い）
評価
- 業界平均と比較してPER・PBRともにやや割高な水準。
- 配当利回りは4.71%と高水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,494円
- 年初来安値：1,170円
- 直近10日間で高値圏（1,464円）に位置
- 50日移動平均（1,364.72円）を上回り、200日移動平均（1,467.21円）付近
- 出来高は増加傾向
位置づけ
- 年初来高値圏にあり、短期的な上昇トレンドが継続
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（年度別）
- 2021年：売上235億円、純利益17億円
- 2022年：売上264億円、純利益19億円
- 2023年：売上281億円、純利益15億円
- 2024年（予想）：売上330億円、純利益17.5億円
利益率・効率性
- 営業利益率：6.6%（2024年予想）
- ROE：8.97%（実績）、自己資本比率：71.6%（実績）
キャッシュフロー
- 営業CF：46.2億円（過去12か月）
- フリーCF：37.9億円
財務安全性
- 自己資本比率67.4%（直近）、有利子負債少なく財務健全
直近の業績動向
- 2025年3月期中間：売上前年同期比14.7%減、営業利益58.0%減、純利益65.2%減
- 受注高・受注残高は大幅増
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.71%（69円/株）
- 配当性向：172.25%（直近）、利益減少により一時的に高水準
- 自社株買い：自己株式比率17.42%と高い
- 過去5年平均配当利回り：3.88%
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間で株価は上昇基調、出来高も増加傾向
- 信用買残は減少傾向、信用倍率5.85倍
- 配当利回りの高さや受注残高増加が投資家の関心材料
- 52週変動幅は1,170円～1,494円
11. 総評
東陽テクニカは、電子計測器分野で高い専門性と欧米先進機器の輸入販売力を有する商社です。研究開発用機器を中心に、多様な産業分野へソリューションを提供し、近年は先進モビリティや脱炭素、情報セキュリティといった成長分野への取り組みも強化しています。
直近では売上・利益が減少したものの、受注高・受注残高は大幅に増加しており、今後の業績回復が期待されています。財務体質は健全で配当利回りも高い水準です。株価は年初来高値圏にあり、短期的な上昇モメンタムが見られますが、業界平均と比較してやや割高なバリュエーションとなっています。中期経営計画に基づく成長戦略や新分野への投資進捗が今後の注目ポイントです。
企業情報
| 銘柄コード | 8151 |
| 企業名 | 東陽テクニカ |
| URL | http://www.toyo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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