1. 企業情報
企業名：阪和興業株式会社
設立：1947年4月1日
本社所在地：大阪市中央区伏見町4-3-9
従業員数：5,903人
事業内容：
阪和興業は独立系の鉄鋼商社で、鉄鋼製品を中心に、非鉄金属、金属リサイクル、食品、エネルギー・生活資材、木材など幅広い分野で事業を展開しています。主力の鉄鋼事業では、建材・鋼板・パイプなど多様な鋼材を国内外で販売。非鉄金属やリサイクル事業も強化しており、近年は食品（主に水産物）、エネルギー（石油・LPG・バイオマス等）、木材・建材分野にも多角化しています。アジア市場に強みを持ち、中国や東南アジアでの展開も拡大中です。
2. 業界のポジションと市場シェア
阪和興業は大手総合商社とは異なり、独立系の専門商社として鉄鋼流通分野で高い存在感を持っています。鉄鋼流通では国内外の大手メーカーや建設業者、製造業向けに幅広い商品を供給し、取扱量・品種の多さで競争力を発揮。
非鉄金属やリサイクル、食品などの分野でも多角化を進める一方、総合商社と比べると事業規模や資本力では劣る面もあります。
課題としては、鉄鋼需要の景気変動リスクや、グローバルな市況変動、為替リスク、サプライチェーンの安定確保などが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画2025を推進中。
- 最終年度（2026年3月期）の目標は、経常利益700億円、ROE12%以上、DOE2.5%下限、Net DER1.0倍以下。
- 重点分野は、鉄鋼事業の収益力強化、非鉄・リサイクル・エネルギー分野の拡大、海外展開（特にアジア）強化、事業ポートフォリオの最適化。
- M&Aによる事業領域拡大（例：PT GARUDA YAMATO STEELへの出資、シンクス株式会社の子会社化、マルゴ福山水産のグループ化など）。
- 財務健全性の維持と株主還元の強化も重視。
4. 事業モデルの持続可能性
- 主力の鉄鋼流通は景気変動の影響を受けやすいが、多角化によりリスク分散を図っています。
- リサイクル事業やエネルギー（再生可能エネルギー含む）、食品など、安定需要や成長が見込まれる分野への展開も進行中。
- 市場ニーズの変化や脱炭素社会への対応、グローバル調達・販売網の強化により、長期的な持続可能性を意識した事業運営が行われています。
5. 技術革新と主力製品
- 鉄鋼・非鉄金属の調達・流通における情報システムや物流最適化、品質管理技術の高度化を推進。
- リサイクル金属のトレーサビリティや高効率化、バイオマス燃料等の新エネルギー素材の開発・調達にも注力。
- 収益を牽引しているのは鉄鋼事業ですが、リサイクル事業やエネルギー・生活資材事業の成長も目立ちます。
6. 株価の評価
- 株価：5,270円
- EPS（会社予想）：990.52円
- PER（会社予想）：5.32倍（業界平均：12.1倍）
- BPS（実績）：9,485.64円
- PBR（実績）：0.56倍（業界平均：1.0倍）
→ EPS・BPSからみて割安感が強い水準に位置しています。PER・PBRともに業界平均を大きく下回っています。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：5,360円
- 年初来安値：4,005円
- 直近株価は5,270円と高値圏に位置しています。
- 50日移動平均：4,859.60円、200日移動平均：4,927.20円と比較しても上回っており、モメンタムは強い状態です。
- 直近10日間でも5,200円台後半を中心に推移し、高値圏での揉み合いとなっています。
8. 財務諸表分析
- 売上高（2025/3期）：2兆5,545億円（前期比5%増）
- 営業利益：615億円（前期比24%増）
- 当期純利益：454億円（前期比18%増）
- ROE：12.39%
- ROA：3.30%
- 自己資本比率：32.9%
- 営業キャッシュフロー：101億円（過去12か月）
- フリーキャッシュフロー：-121億円（過去12か月）
→ 売上・利益ともに増加基調。ROEも高水準。自己資本比率も30%台で財務健全性は維持。ただし、フリーキャッシュフローはマイナスで投資活動が活発な様子。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.74%
- 1株配当（予想）：250円
- 配当性向：19.99%
- 5年平均配当利回り：3.09%
- 自社株買い：自己株式保有比率4.6%、取引先・社員持株会も一定割合保有
→ 配当利回りは高水準で、配当性向も20%未満と余裕があります。安定配当を維持しつつ、株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価は高値圏で推移し、出来高も安定。
- 信用買残が多く、信用倍率も高い（17.06倍）ため、個人投資家の関心が高い状況。
- 52週変動率は-15.5%と、1年前と比べると下落傾向だが、直近は持ち直し基調。
- 市場全体や鉄鋼市況、為替動向、配当政策などが株価に影響を与えやすい。
11. 総評
阪和興業は、鉄鋼を中心に多角的な事業展開を進める独立系商社で、鉄鋼流通分野で高い存在感を持っています。近年は非鉄金属、リサイクル、エネルギー、食品などへの多角化を進め、収益基盤の強化とリスク分散を図っています。財務体質は健全で、ROEや配当利回りも高水準。株価は業界平均と比較して割安感があり、直近は高値圏で推移しています。今後も中期経営計画に基づく成長戦略や株主還元策の動向、世界経済や鉄鋼市況の変化に注目が集まります。
企業情報
| 銘柄コード | 8078 |
| 企業名 | 阪和興業 |
| URL | http://www.hanwa.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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