1. 企業情報
関電工は、主に電気設備工事を手掛ける総合インフラ企業です。事業内容は、電気・空調・衛生設備の設計・施工・保守、ビルや工場、病院等のインフラ更新、通信インフラ(光ファイバー・携帯基地局)、再生可能エネルギー(太陽光・風力発電所の建設・運営)、防災・BCP関連設備の整備など多岐にわたります。東京電力グループ向けの売上が約3割を占めますが、一般顧客向けの事業も拡大しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
関電工は、電気設備工事分野で国内最大級の規模を誇ります。特に東京電力系の案件に強みを持ちつつ、再生可能エネルギーや防災インフラなど成長分野にも注力。競合はきんでん、九電工、東光電気工事など大手電気工事会社。業界内では安定した受注基盤と高い技術力が競争優位性となっていますが、電力会社依存度や建設投資動向の影響を受けやすい点が課題です。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「社会インフラの高度化・脱炭素社会への貢献」をビジョンに掲げています。中期経営計画では、以下の施策を重点分野としています。
– 再生可能エネルギー(太陽光・風力)関連のEPC(設計・調達・建設)事業の拡大
– 防災・BCP(事業継続計画)関連設備の受注強化
– 既存インフラのリニューアル・省エネ提案営業
– DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化・生産性向上
4. 事業モデルの持続可能性
主力の設備工事事業は、社会インフラの維持・更新需要や再生可能エネルギー分野の拡大により、今後も安定した需要が見込まれます。東京電力グループへの依存度は依然高いものの、一般向け事業の拡大や新分野への進出でリスク分散を図っています。市場ニーズの変化にも積極的に対応している点が特徴です。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発:再生可能エネルギー発電所の設計・施工、最新の通信インフラ構築技術、防災・BCP設備の高度化などで独自技術を展開。
- 主力製品・サービス:電気・空調・衛生設備工事、再生可能エネルギー発電所建設、通信インフラ構築、防災・省エネ関連設備。
6. 株価の評価
- EPS(1株当たり利益):207.31円(直近12か月)
- BPS(1株当たり純資産):1,799.73円
- PER(株価収益率):3022円 ÷ 207.31円 ≒ 14.58倍(業界平均14.0倍と同水準)
- PBR(株価純資産倍率):3022円 ÷ 1,799.73円 ≒ 1.68倍(業界平均1.1倍より高め)
7. テクニカル分析
- 株価推移:直近10日間で2,900円台後半から3,050円まで上昇し、直近高値圏(52週高値3,050円)に到達。
- 移動平均線:50日移動平均2,817円、200日移動平均2,459円を大きく上回り、上昇トレンドが継続中。
- 出来高:直近も高水準で推移し、投資家の関心が高い状況。
8. 財務諸表分析
- 売上高:671,888百万円(前年同期比+12.3%)
- 営業利益:58,326百万円(+42.5%)
- 当期純利益:42,380百万円(+55.0%)
- ROE:12.03%
- ROA:6.23%
- 自己資本比率:61.0%
- 営業CF:18,263百万円
- フリーCF:-2,260百万円(投資・財務活動による流出が大きい)
- 利益率:営業利益率8.7%、純利益率6.3%
- 財務健全性:自己資本比率高く、負債比率も低水準(Debt/Equity 7.12%)
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績:2025年3月期82円(記念配当含む)、2026年3月期予想90円
- 配当利回り:2.98%(予想ベース)
- 配当性向:38.58%(安定配当方針)
- 自社株買い:直近で大規模な自社株買いの実施は確認できず
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム:直近1年で約71%上昇し、52週高値圏。出来高も高く、投資家の関心が高い。
- 影響要因:好調な業績、増配、再生可能エネルギー・防災関連の成長期待、東電案件の安定性などが株価を支える要因。
11. 総評
関電工は、電気設備工事業界でトップクラスの規模と実績を持ち、東京電力グループ案件を基盤にしつつ、再生可能エネルギーや防災・BCP分野など成長領域にも積極展開しています。業績は直近で大幅増収増益を達成し、財務基盤も非常に健全です。株価は業界平均並みのPER水準ですが、PBRはやや高め。株主還元も強化傾向で、安定配当を維持しています。株価は高値圏にあり、投資家の関心も高い状況です。今後も社会インフラ需要や脱炭素化の流れを背景に、持続的な成長が期待される企業です。
企業情報
銘柄コード | 1942 |
企業名 | 関電工 |
URL | http://www.kandenko.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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