1. 企業情報
帝人株式会社は、繊維、フィルム・シート、複合材料、ヘルスケア、IT事業を展開する複合企業です。主な事業内容は以下の通りです。
* マテリアル事業: 炭素繊維、アラミド繊維、ポリカーボネート樹脂など、幅広い素材を提供しています。
* ヘルスケア事業: 医薬品、在宅医療機器、整形外科用インプラントなど、医療関連製品を提供しています。
* 繊維・製品事業: 合成繊維製品、衣料品などを製造・販売しています。
* IT事業: 以前はIT事業も行っていましたが、非継続事業に分類されました。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性: 炭素繊維分野で世界2位の地位を確立しており、高機能素材分野での技術力に強みを持っています。ヘルスケア事業においても、在宅医療機器などで一定のシェアを有しています。
- 課題: 原材料価格の変動や、グローバルな競争激化の影響を受けやすい事業構造です。また、ヘルスケア事業は薬価改定などの影響を受けやすい傾向があります。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 中期経営計画2024-2025において、「収益性改善の完遂による基礎収益力の回復」と「事業ポートフォリオ変革」を主要課題に掲げています。
- 重点分野:
- マテリアル事業領域での収益性改善
- 高機能素材分野での成長
- ヘルスケア事業の強化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 素材、ヘルスケア、繊維・製品と多角的な事業ポートフォリオを持つことで、特定の市場変動によるリスクを分散しています。
- 市場ニーズへの適応力: 環境変化への対応として、高機能素材の開発や、ヘルスケア分野でのニーズへの対応を進めています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発: 炭素繊維などの高機能素材、医薬品、医療機器など、幅広い分野で技術開発を行っています。
- 主力製品:
- 炭素繊維
- 医薬品
- 在宅医療機器
6. 株価の評価
- PER（会社予想）: 17.97倍 (業界平均: 21.7)
- PBR（実績）: 0.50倍 (業界平均: 1.0)
- EPS（会社予想）: 62.27円
- BPS（実績）: 2,238.40円
現在の株価1119.0円をEPS、BPSと比較すると、割安感があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は、1113.5円～1159.5円の範囲で変動しており、50日移動平均線、200日移動平均線を下回っています。年初来安値1076円から上昇していますが、高値圏にあるとは言えません。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2025年3月期は1兆55億円（前期比4.7%増）
- 営業利益: 2025年3月期は▲718億円（前期は▲49億円）
- 当期利益: 2025年3月期は283億円（前期は269億円）
- ROE（実績）: 6.7% (2025年3月期), -2.9% (2024年3月期)
- ROA（過去12か月）: 0.89%
- 自己資本比率（実績）: 40.6% (2025年3月期), 33.4% (2024年3月期)
2025年3月期は増収増益となりましたが、営業利益は赤字です。ROEは改善傾向にあります。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 4.47%
- 1株配当（会社予想）: 50.00円
- 配当性向: 44.99%
- 自社株買い: 実施されていません。
高い配当利回りは魅力的です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の変動: 直近10日間の株価は、1113.5円～1159.5円の範囲で変動しており、やや下落傾向です。
- 株価への影響要因: 業績、世界経済の動向、素材価格の変動、ヘルスケア事業の動向などが影響を与える可能性があります。
11. 総評
帝人株式会社は、多角的な事業展開と高い技術力を有する企業です。2025年3月期は増収増益となりましたが、営業利益は赤字であり、今後の収益性の改善が課題です。高い配当利回りは魅力的ですが、今後の業績動向を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 3401 |
| 企業名 | 帝人 |
| URL | http://www.teijin.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
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