1. 企業情報
企業概要
栄研化学株式会社は、臨床検査薬の製造・販売を主力とする医薬品メーカーです。主な製品は、便潜血検査試薬（FIT、国内シェア約7割）、微生物検査薬、尿検査薬、免疫血清検査薬、生化学検査薬、遺伝子検査関連試薬など。これらは病院やクリニック、検査センター等で疾病の診断・スクリーニングに広く利用されています。近年は食品・環境分野向けの検査薬や、核酸増幅法（遺伝子検査）にも注力しています。
– 設立：1939年2月20日
– 従業員数：757人
– 本社：東京都台東区
– 市場区分：東証プライム
2. 業界のポジションと市場シェア
- 便潜血検査試薬（FIT）で国内シェア約7割と圧倒的なポジションを有し、国内臨床検査薬業界のリーディングカンパニーの一角です。
- 微生物検査、尿検査、遺伝子検査分野でも着実にシェアを拡大。
- 競合他社としてはシスメックス、日水製薬、富士レビオなどが挙げられますが、便潜血検査分野では突出した強み。
- 課題としては、医療費抑制策や原材料価格高騰、円安など外部環境の変化に対する対応力が求められています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン：「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき、がん予防・治療、感染症対策、ヘルスケア製品・サービスの提供を3本柱に据えた中期経営計画を推進。
- 重点施策：
- 便潜血検査のリーダーシップ維持・強化
- 遺伝子検査（核酸増幅法）の拡販
- 海外展開の加速
- 新規診断分野（ヘルスケア領域）への進出
- 中期経営計画：2025年度以降も売上・利益成長を目指し、製品ポートフォリオの高度化とグローバル展開を強化。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：検査薬・機器の販売と消耗品ビジネスが主軸。定期的な需要が見込める医療分野であるため、安定性が高い。
- 市場環境変化への対応：医療費抑制や競争激化への対応として、高付加価値製品開発や海外市場開拓を進めています。
- 海外売上比率：25%（2024年3月期）、今後も拡大方針。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発：核酸増幅法（LAMP法）など独自技術を活用した遺伝子検査製品を展開。迅速・簡便な検査技術で差別化。
- 主力製品：便潜血検査試薬（FIT）、尿検査薬、微生物検査薬、遺伝子検査薬など。特にFITは国内外で高い評価。
- 研究開発：新型感染症対応やがん検診分野での新製品開発にも注力。
6. 株価の評価
- PER（予想）：18.60倍（業界平均27.8倍より低い）
- PBR（実績）：1.62倍（業界平均1.4倍よりやや高い）
- EPS（予想）：112.83円
- BPS（実績）：1,294.08円
- 株価：2,093円
- 理論株価（BPS×PBR）：1,294.08×1.62＝約2,097円（現在株価とほぼ一致）
- PER水準：業界平均より割安感がある一方、利益成長鈍化が影響
7. テクニカル分析
- 年初来高値：2,359円
- 年初来安値：1,972円
- 直近株価推移：2,000円前後で推移、直近はやや上昇傾向
- 50日移動平均：2,119円、200日移動平均：2,218.82円
- 現在株価は移動平均線を下回っており、安値圏に近い水準
- 出来高：平均並み、特段の急騰・急落は見られない
8. 財務諸表分析
- 売上高：40,539百万円（前期比+1.2%）
- 営業利益：2,999百万円（前期比-11.2%）
- 純利益：2,228百万円（前期比-15.4%）
- 営業利益率：7.4%（前年10.1%→減少傾向）
- ROE：5.02%（前年11.2%→低下）
- 自己資本比率：69.3%（財務健全）
- キャッシュフロー：営業CF 60億円台、フリーCFも黒字
- 利益率・収益性：高利益品目の売上構成変化等で減益傾向
- 成長性：海外売上増で売上高は増加傾向だが、利益面は課題
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：2.76%（5年平均2.47%を上回る）
- 配当性向：82.46%（利益減少により高水準）
- 自社株買い：自己株式保有比率10.14%、株主還元策として活用
- 安定配当方針：業績に応じた配当を実施
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：直近1週間で2,000円台前半から2,100円台へ上昇、やや買い優勢
- 信用取引動向：信用買残増加、信用倍率4.14倍で買い長
- 投資家構成：機関投資家・ファンドの保有比率が高い（上位10社で約55%）、自己株式も多い
- 出来高：直近10日平均で9万株前後、流動性は安定
11. 総評
栄研化学は、便潜血検査薬で国内トップシェアを誇る臨床検査薬メーカーであり、安定した収益基盤と高い財務健全性を持っています。医療費抑制や原材料高騰など外部環境の逆風を受け、直近では利益率が低下していますが、海外展開や新規診断分野の拡大を通じて成長を目指しています。株価は業界平均PERを下回る水準で推移し、配当利回りも高めです。今後は利益率回復や新規事業領域での成長が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 4549 |
| 企業名 | 栄研化学 |
| URL | http://www.eiken.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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