1. 企業情報
東亜建設工業は、1908年創業の老舗建設会社で、主に海上土木工事を得意としています。国内土木、国内建築、海外事業を展開し、特に港湾、埋め立て、浚渫（しゅんせつ）などの分野で強みを持っています。陸上土木や建築分野にも進出しており、海外ODA（政府開発援助）案件にも積極的に取り組んでいます。
2. 業界のポジションと市場シェア
東亜建設工業は、海上土木工事において高い技術力と豊富な実績を有し、業界内で一定の地位を確立しています。特に、旧浅野系の企業であり、歴史と信頼性も強みです。
競争優位性:
- 海上土木における高い技術力と豊富な実績
- 海外ODA案件への積極的な取り組み
- 安定した財務基盤
課題:
- 建設業界全体が抱える人手不足
- 資材価格の高騰
- 競争激化
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン:
決算短信からは、具体的なビジョンは明確に読み取れませんでしたが、中期経営計画（2023～2025年度）に基づき、事業戦略を推進しています。
中期経営計画の重点分野:
- 国内土木事業：海上土木分野を中心に、港湾・鉄道・道路などのインフラ整備に継続的に取り組む。
- 国内建築事業：物流施設を中心とした特命案件・企画提案案件・設計施工案件の受注拡大。
- 海外事業：東南アジアを中心に海上土木工事などに取り組む。
4. 事業モデルの持続可能性
東亜建設工業の事業モデルは、公共事業への依存度が高く、景気や政府の政策に影響を受けやすい側面があります。しかし、インフラ整備は社会にとって不可欠であり、安定した需要が見込めます。また、海外事業の拡大や、高付加価値案件への注力により、収益性の向上を図っています。
市場ニーズの変化への適応力:
- 防災・減災対策、防衛力強化といった政府の政策に合わせた事業展開
- 海外インフラ需要への対応
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向と独自性:
決算短信からは、具体的な技術革新に関する情報は得られませんでした。しかし、海上土木工事における高度な技術力は、同社の競争力の源泉となっています。
収益を牽引している製品やサービス:
- 国内土木事業（海上土木工事、陸上土木工事）
- 国内建築事業（物流施設、その他建築工事）
- 海外事業（東南アジアを中心とした海上土木工事）
6. 株価の評価
- 株価: 1,509.0円（2025年6月12日終値）
- PER（会社予想）: 9.58倍（業界平均：14.0）
- PBR（実績）: 1.12倍（業界平均：1.1）
- EPS（会社予想）: 157.53円
- BPS（実績）: 1,342.70円
- 配当利回り（会社予想）: 5.04%
PER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。また、配当利回りが5%を超えており、高い水準です。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年6月12日の終値は1,509円であり、年初来高値1,528円に迫る水準です。50日移動平均線（1,386.46円）を大きく上回っており、上昇トレンドにあると考えられます。
8. 財務諸表分析
売上高:
- 2025年3月期：330,472百万円（前年同期比16.4%増）
- 増収傾向にあり、好調な業績を示しています。
営業利益:
- 2025年3月期：20,621百万円（前年同期比19.7%増）
- 増益傾向にあり、収益性も向上しています。
当期純利益:
- 2025年3月期：14,908百万円（前年同期比41.8%増）
- 大幅な増益となっており、好調な業績を裏付けています。
ROE（実績）: 14.75%
自己資本比率（実績）: 35.6%
売上高、利益ともに増加しており、財務状況は良好です。ROEも高く、効率的な経営が行われていると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 5.04%
- 1株配当（会社予想）: 76.00円
- 配当性向: 40.44%
- 自社株買い: 2025年5月13日の取締役会にて、4,200,000株を上限とする自己株式取得を決議。
- 中間配当制度導入: 2025年6月27日開催予定の第135回定時株主総会にて、中間配当制度導入の定款変更議案を付議予定。
高い配当利回りに加え、自社株買いや中間配当制度の導入など、株主還元に積極的な姿勢を示しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価の直近の変動傾向:
直近10日間の株価は上昇傾向にあり、好調な業績を反映していると考えられます。
株価への影響を与える要因:
- 好調な業績（増収増益、高いROE）
- 高い配当利回り
- 自己株式取得
- 中間配当制度導入
- 今後の業績予想（2026年3月期は減益予想）
11. 総評
東亜建設工業は、海上土木工事を強みとする老舗建設会社であり、好調な業績と高い株主還元が魅力です。PER、PBRは割安感があり、配当利回りも高く、投資妙味があります。直近の株価は上昇基調にあり、今後の株価上昇も期待できます。
ただし、2026年3月期の業績予想は減益となっており、今後の動向には注意が必要です。また、建設業界特有のリスク（人手不足、資材価格高騰など）も考慮する必要があります。
総合的な見解:
買い
企業情報
| 銘柄コード | 1885 |
| 企業名 | 東亜建設工業 |
| URL | http://www.toa-const.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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