1. 企業情報
東邦化学工業は、界面活性剤を主力製品とし、合成ゴム助剤、特殊溶剤、樹脂、化成品など幅広い分野で事業を展開している化学メーカーです。特に、界面活性剤と特殊溶剤においては高い市場シェアを有しています。近年は、電子・情報産業向けの分野にも注力し、事業領域を拡大しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
東邦化学工業は、界面活性剤や特殊溶剤の分野で高い競争力を持っています。これらの製品は、様々な産業で利用されるため、安定した需要が見込めます。しかし、化学業界全体としては、競争が激しく、原料価格の変動や環境規制などの影響を受けやすいという課題があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン:
2025年度を初年度とする中期経営計画「TOHO Step Up Plan 2027」を策定し、売上高600億円、営業利益30億円、売上高営業利益率5.0%、純資産額230億円、自己資本比率32.0%、ROE8.0%、1株当たり配当額30円を目標としています。
中期経営計画の重点分野:
- 電子・情報産業向け製品の拡充
- 高付加価値製品の開発
- コスト削減と効率化の推進
4. 事業モデルの持続可能性
東邦化学工業の事業モデルは、幅広い用途に展開できる界面活性剤を主力としているため、市場ニーズの変化に比較的柔軟に対応できると考えられます。しかし、原料価格の変動や競合他社の動向によっては、収益性が変動する可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
東邦化学工業は、界面活性剤や特殊溶剤などの分野で長年の技術的ノウハウを蓄積しています。電子・情報産業向け製品の開発にも注力しており、今後の成長を牽引する可能性があります。
収益を牽引している製品:
- 界面活性剤
- 合成ゴム助剤
- 特殊溶剤
- 電子・情報産業向け製品
6. 株価の評価
- 株価: 731.0円
- PER（会社予想）: 13.37倍 (業界平均: 15.9)
- PBR（実績）: 0.73倍 (業界平均: 0.7)
- EPS（会社予想）: 54.69円
- BPS（実績）: 998.18円
PERは業界平均を下回っており、割安感があります。PBRは業界平均と同程度です。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、710円から734円の間を変動しており、年初来高値（734円）に迫っています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期は53,613百万円と、前期比6.0%増と増収。
- 営業利益: 2024年3月期は1,815百万円と、前期比135.4%増と大幅増益。
- 経常利益: 2024年3月期は1,753百万円と、前期比135.8%増と大幅増益。
- 当期純利益: 2024年3月期は1,543百万円と、前期比182.4%増と大幅増益。
- ROE（実績）: 7.70%
- 自己資本比率（実績）: 30.9%
2024年3月期は増収増益と好調な業績を示しています。自己資本比率も30%を超えており、財務基盤は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 3.01%
- 1株配当（会社予想）: 22.00円
- 2025年3月期の配当予想は22円と、前期の17円から増配を予定しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、好調な業績を反映していると考えられます。決算発表後、株価は上昇しており、投資家の関心も高まっていると推測されます。
11. 総評
東邦化学工業は、界面活性剤を主力とし、安定した需要が見込める事業を展開しています。2024年3月期は増収増益と好調な業績を上げており、中期経営計画に基づいた成長戦略も評価できます。株価はPERで割安感があり、配当利回りも魅力的です。ただし、化学業界特有の外部環境リスクや、今後の業績動向を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 4409 |
| 企業名 | 東邦化学工業 |
| URL | http://www.toho-chem.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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