1. 企業情報
ダイダンは、1903年創業の総合設備工事会社です。電気、空調、給排水衛生、防災設備などの設計・施工・監理を手掛けています。関西を地盤としつつ、首都圏への事業拡大を進めています。近年では、省エネや環境配慮型の技術開発にも注力しており、ZEB（ネット・ゼロ・エネルギー・ビル）関連のソリューション提供も行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ダイダンは、総合設備工事業界において、歴史と実績を持つ老舗企業です。特に、空調・衛生設備工事に強みを持っています。
競争優位性としては、長年の実績に基づく技術力と顧客からの信頼、および多様なニーズに対応できる総合的なソリューション提供能力が挙げられます。
課題としては、建設業界全体が抱える人手不足や、資材価格の高騰、競争激化などが考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
ダイダンは、中期経営計画「磨くステージ」において、海外事業を成長牽引する事業として位置付けています。
2025年3月期の決算短信からは、受注高の増加、売上高の大幅な増加、営業利益の大幅な増加、親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な増加と、好調な業績が伺えます。
今後は、省エネ・環境配慮型の技術をさらに強化し、ZEB関連事業やリニューアル工事など、高付加価値分野への注力も期待されます。
4. 事業モデルの持続可能性
ダイダンの収益モデルは、公共施設や民間施設の建設・改修工事が中心であり、景気変動の影響を受けやすい側面があります。
しかし、老朽化した設備の更新需要や、環境規制強化による省エネ化ニーズの高まりなど、安定的な需要が見込める分野も存在します。
技術革新への対応や、海外事業の拡大、高付加価値分野への注力など、変化への適応力を高めることで、事業の持続可能性を高めることが期待されます。
5. 技術革新と主力製品
ダイダンは、省エネ技術や環境配慮型の技術開発に積極的に取り組んでいます。
主な製品・サービスとしては、ZEB関連ソリューション、省エネ空調システム、空気清浄システムなどがあります。
これらの技術は、建物のライフサイクルコスト削減や、環境負荷低減に貢献し、顧客ニーズに応えるとともに、新たな収益源となる可能性があります。
6. 株価の評価
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 4,135円 |
| PER（会社予想） | 10.08倍 |
| PBR（実績） | 1.66倍 |
| 配当利回り | 3.99% |
| EPS（会社予想） | 410.39円 |
| BPS（実績） | 2,495.45円 |
現在の株価は、予想EPSから計算するとPER10.08倍であり、業界平均PER14.0と比較して割安感があります。
PBRは1.66倍であり、BPS2,495.45円と比較すると、割安とは言い切れません。
配当利回りは3.99%と、ある程度の水準を確保しています。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年6月2日から6月12日まで上昇基調でしたが、6月13日は下落しています。
年初来高値は4,450円、年初来安値は2,917円です。
50日移動平均線は3,988.90円、200日移動平均線は3,609.05円であり、現在の株価はこれらの移動平均線を上回っています。
全体的には、高値圏での推移と言えるでしょう。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月（百万円） | 2024/3期（百万円） | 2023/3期（百万円） | 2022/3期（百万円） | 2021/3期（百万円） |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 262,731 | 197,431 | 185,961 | 162,929 | 157,712 |
| 営業利益 | 23,037 | 10,878 | 8,429 | 7,585 | 8,755 |
| 経常利益 | 23,479 | – | – | – | – |
| 当期純利益（親会社帰属） | 17,443 | 9,087 | 6,626 | 5,778 | 6,318 |
| 売上高営業利益率 | 8.8% | – | – | – | – |
| ROE | 17.23% | – | – | – | – |
| ROA | 7.66% | – | – | – | – |
売上高、営業利益、当期純利益は、過去12ヶ月および2024年3月期において、大幅な増加を記録しています。
売上高営業利益率も改善しており、収益性の向上が見られます。
ROEは17.23%と高く、資本効率も良好です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 3.99%
- 1株配当（会社予想）: 165.00円
- 配当性向: 35.33%
ダイダンは、安定的な配当を実施しており、配当利回りも魅力的な水準です。
2026年3月期より「配当性向40%以上かつ純資産配当率(DOE) 4.8%を下限とすること」を新たな配当方針としており、株主還元への意欲が伺えます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、上昇トレンドから調整局面に入っているように見えます。
信用買残は減少し、信用売残は増加しており、需給はやや悪化している可能性があります。
2025年5月9日に発表された2025年3月期決算は好調であり、今後の業績への期待感は高いと考えられます。
機関投資家・アナリスト向けのWEB説明会が開催される予定であり、今後の情報発信にも注目です。
11. 総評
ダイダンは、総合設備工事会社として、安定した事業基盤と高い技術力を有しています。
好調な業績と、積極的な株主還元策は魅力的です。
株価は、割安感があり、テクニカル的にも高値圏ではあるものの、中期的な上昇トレンドを維持しています。
ただし、建設業界特有のリスクや、今後の業績動向を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 1980 |
| 企業名 | ダイダン |
| URL | http://www.daidan.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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