1. 企業情報
- 企業名：東急株式会社
- 設立：1922年9月2日
- 所在地：東京都渋谷区南平台町5-6
- 従業員数：24,385人
- 事業内容：
- 交通事業（鉄道・バス・空港運営等）
- 不動産事業（住宅・オフィス開発、賃貸、管理等）
- 生活サービス事業（百貨店、ショッピングセンター、クレジットカード、ケーブルテレビ等）
- ホテル・リゾート事業（ホテル、リゾート、ゴルフ場運営等）
- 特徴：東急グループの中核企業で、私鉄最大の乗客数を誇る。渋谷や南町田など沿線地域の都市再開発に注力。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：私鉄業界最大級の輸送人員を持ち、都市開発・不動産・生活サービスなど多角化経営を展開。
- 競争優位性：渋谷を中心とした沿線の強固なブランド力と都市再開発力。生活サービスや不動産の収益基盤が安定。
- 課題：鉄道事業の人口動態・少子高齢化による長期的な需要減リスク、インフラ維持コスト、競合他社との都市開発競争。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略：
- 「都市と暮らしの未来を創る」ことを掲げ、沿線価値の最大化と多角的な収益基盤の強化を目指す。
- 交通事業の安定運営に加え、都市開発・不動産・生活サービスの成長分野を拡大。
- 中期経営計画の施策：
- 渋谷・南町田等の大規模再開発推進
- インバウンド需要取り込みによるホテル・リゾート事業の拡大
- サステナビリティ対応（脱炭素、環境配慮型都市開発等）
- デジタル化推進によるサービス向上
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：交通、不動産、生活サービスの三本柱で構成。交通事業は安定収益、不動産・生活サービスで成長を狙う。
- 市場ニーズ変化への対応：都市開発やインバウンド需要、デジタル化等の新たな市場ニーズに積極対応。沿線人口減少リスクには多角化で対応。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向：
- 鉄道インフラの安全・効率化技術
- 都市開発におけるスマートシティ技術
- キャッシュレス・デジタルサービスの拡充
- 主力製品・サービス：
- 東急線（鉄道）、バス
- 渋谷スクランブルスクエア等の都市開発物件
- 東急百貨店、東急ストア等の商業施設
- 東急ホテルズ
6. 株価の評価
- 株価：1,719円（2025/6/14時点）
- EPS（会社予想）：139.23円
- BPS（実績）：1,441.00円
- PER（会社予想）：12.35倍（業界平均13.9倍よりやや割安）
- PBR（実績）：1.19倍（業界平均1.0倍よりやや高め）
- 配当利回り（会社予想）：1.63%
- 評価：PERは業界平均より低く、利益成長期待がやや抑制されている印象。PBRはやや高めで資産価値に対する株価の評価は標準的。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,807円
- 年初来安値：1,631円
- 直近株価推移：直近10日間で1,700～1,750円台を中心に推移し、やや下落傾向。50日移動平均（1,745.91円）、200日移動平均（1,768.54円）ともに下回っており、短期的には安値圏に位置。
- モメンタム：直近は下落基調で推移。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移：
- 売上高は2021年以降回復傾向。2025年3月期は1兆549億円（前年同期比1.7%増）。
- 営業利益は2025年3月期103,485百万円（同9.0%増）。
- 純利益は2025年3月期79,677百万円（同24.6%増）。
- 収益性指標：
- 営業利益率：約9.8%
- ROE：9.85%
- ROA：2.42%
- 財務安全性：
- 自己資本比率：30.7%
- 総資産：2,698,981百万円
- 有利子負債比率：高め（Debt/Equity 148.08%）、財務レバレッジは大きい
- 流動比率：0.64（短期的な資金繰りには注意が必要）
- キャッシュフロー：
- 営業CFは安定的にプラス（155,104百万円）
- フリーキャッシュフローはマイナス（-14,800百万円）で投資活動が活発
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想：
- 年間配当：28.00円（会社予想）
- 配当性向：35.53%
- 配当利回り：1.63%（5年平均1.12%より高水準）
- 自社株買い：
- 2025年5月に最大100億円、650万株の自社株買いを決議
- 方針：安定配当と機動的な自社株買いを実施
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近モメンタム：年初来高値からやや下落、直近10日間も下落基調。出来高は安定。
- 投資家構成：機関投資家の保有比率が高い（約47%）、自己株式も一定割合。
- 影響要因：業績予想の伸び悩み、鉄道事業の成長鈍化懸念、金利動向やインバウンド需要など外部要因の影響。
11. 総評
東急株式会社は、首都圏有数の交通インフラと都市開発力を持つ総合生活サービス企業です。鉄道・不動産・生活サービス・ホテル事業をバランスよく展開し、沿線価値の最大化と多角化を進めています。2025年3月期は増収増益を達成し、財務基盤も安定していますが、鉄道事業の成長鈍化や高い有利子負債比率、短期的な株価モメンタムの弱さなど課題も見られます。配当・自社株買いなど株主還元も意識されており、今後の都市開発やインバウンド需要の取り込みが注目されます。
（本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨・助言するものではありません。）
企業情報
| 銘柄コード | 9005 |
| 企業名 | 東急 |
| URL | https://www.tokyu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
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