1. 企業情報
概要
東洋建設株式会社は、海上土木工事を主力とする建設会社です。国内外で港湾、空港、鉄道、発電所、河川・ダム、水道・下水道、高速道路、廃棄物処理場などの土木工事を手掛けています。また、都市部を中心に建築事業も展開しており、商業施設や医療・福祉施設、スポーツ・レジャー施設、住宅、教育・文化施設、オフィス、工場など多岐にわたる建築案件を受注しています。海外では特にフィリピンやケニアでの工事に強みを持ち、洋上風力発電関連事業にも注力しています。1929年創業、本社は東京都千代田区。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
東洋建設は海上土木分野で大手に位置し、特にフィリピンを中心とした海外工事に強みがあります。国内では都市部の建築案件にも注力し、事業ポートフォリオの多様化を図っています。大株主に前田建設工業や任天堂創業家資産運用会社（YFO）が名を連ねている点も特徴的です。
競争優位性・課題
- 海上土木の専門性と海外案件の実績が競争優位性。
- 洋上風力関連など新分野への参入も進めている。
- 建設業界全体の人手不足や資材価格高騰、競争激化が課題。
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 海上土木の強みを活かしつつ、建築分野や海外事業の拡大を推進。
- 洋上風力発電など再生可能エネルギー関連分野への進出を強化。
- 安定的な受注と利益確保を重視し、リスク管理体制も強化。
中期経営計画の重点分野
- 国内外のインフラ需要に対応した受注拡大。
- 洋上風力発電関連工事の受注・施工体制強化。
- DX（デジタルトランスフォーメーション）による生産性向上。
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 主力は請負型の建設工事収益。
- 国内土木51%、国内建築34%、海外建設15%（2024年3月期）とバランス型。
- 不動産やその他事業の収益は限定的。
市場ニーズ変化への適応力
- 洋上風力など新分野への対応力あり。
- 海外建設の比率拡大により、国内需要変動のリスク分散を図る。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 海上土木分野での技術蓄積が強み。
- 洋上風力発電関連の技術開発・施工ノウハウを強化中。
収益を牽引する主力分野
- 港湾・空港・洋上風力などの大型インフラ工事。
- フィリピン等海外の土木プロジェクト。
6. 株価の評価
主要指標と株価水準
- 株価：1,470円
- EPS（直近12か月）：88.49円
- BPS（直近四半期）：820.46円
- PER：約16.6倍（1,470 ÷ 88.49）
- PBR：約1.79倍（1,470 ÷ 820.46）
業界平均との比較
- 業界平均PER: 14.0倍、PBR: 1.1倍
- 業界平均と比較してPER・PBRともやや高めの水準
7. テクニカル分析
株価推移と位置
- 直近10日間は1,434～1,499円で推移
- 50日移動平均：1,364.32円、200日移動平均：1,340.74円
- 現在値は移動平均線を上回り、52週高値（1,555円）にはやや届かず
- 高値圏に近いが、直近はやや横ばい～小幅調整傾向
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移
- 売上高は増加傾向（2021年: 1,729億円 → 2024年: 1,867億円）
- 営業利益も回復傾向（2023年: 89.9億円 → 2024年: 108.8億円）
- 純利益は2023年以降増加（2023年: 56.5億円 → 2024年: 70.1億円）
収益性・効率性指標
- ROE: 10.61%、ROA: 4.23%（過去12か月）
- 営業利益率: 10.51%、純利益率: 4.81%
- 営業キャッシュフローはプラス（28.2億円）、フリーキャッシュフローはマイナス（-99.7億円）
財務健全性
- 自己資本比率は不明だが、Debt/Equityは約30%で適度な水準
- 流動比率1.52と短期的な支払い能力も確保
9. 株主還元と配当方針
配当利回り・配当性向
- 予想年間配当：90円、配当利回り：約6.12%
- 配当性向：約99.45%（利益の大部分を配当に充当）
株主還元策
- 配当重視の方針がうかがえる
- 自社株買いの実施状況は不明
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価モメンタム
- 直近の株価は1,400円台後半で安定推移、出来高も安定
- 信用買残はやや減少傾向、信用倍率は7.74倍と高め
- 52週高値圏に近く、短期的な過熱感も一部見られる
投資家関心
- 配当利回りの高さや安定した業績推移から、インカムゲイン志向の投資家に注目されている
- 大株主に前田建設工業やYFOがいる点も特徴
11. 総評
東洋建設は、海上土木分野での高い専門性と海外案件の実績を武器に、安定した成長を続けている建設会社です。近年は洋上風力発電など新分野への取り組みも進めており、事業ポートフォリオの拡大とリスク分散を図っています。業績は増収増益基調で、配当利回りも高水準です。株価は業界平均と比べやや割高感があるものの、安定した財務基盤と高い株主還元策により、投資家からの関心も高い状況です。今後は、洋上風力など新規分野での受注拡大や、海外事業のさらなる成長が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 1890 |
| 企業名 | 東洋建設 |
| URL | http://www.toyo-const.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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