1. 企業情報

有沢製作所は、電子材料、光デバイス、電気絶縁材料、産業用構造材料、ディスプレイ材料などを製造・販売する企業です。主な製品は、プリント基板向けの材料(フレキシブルプリント基板材料、銅張積層板など)と液晶ディスプレイ向けのフィルムです。その他、航空機用ハニカムパネルや水処理用FRP製圧力容器なども手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

有沢製作所は、電子材料分野を中心に、特定のニッチ市場において一定のシェアを占めていると考えられます。特に、プリント基板材料やディスプレイ材料は、電子機器の需要に左右されやすく、競合他社との競争も激しい分野です。産業用構造材料や電気絶縁材料は、安定的な需要が見込める分野であり、事業ポートフォリオの安定化に貢献しています。

競争優位性:

  • 特定の分野における技術力と製品の多様性
  • 高配当利回り

課題:

  • 電子材料分野における価格競争の激化
  • 市況変動の影響を受けやすい事業構造

3. 経営戦略と重点分野

有沢製作所は、中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)を策定し、ROIC8.0%以上を目標としています。
2025年3月期の決算短信では、以下の点が強調されています。
* 売上高の増加: 電子材料分野での需要回復とディスプレイ材料の好調による
* 大幅な増益: 営業利益、経常利益、当期純利益が大幅に増加
* 配当の増額: 2025年3月期の年間配当を60円から96円に増額

重点分野:

  • 電子材料事業の強化
  • 産業用構造材料事業の拡大
  • ディスプレイ材料事業の成長

4. 事業モデルの持続可能性

有沢製作所の事業モデルは、電子機器市場や産業構造材市場の需要に依存しています。

収益モデル:

  • 電子材料、産業用構造材料、電気絶縁材料、ディスプレイ材料等の製造販売

市場ニーズの変化への適応力:

  • 技術革新への対応(新製品開発、品質向上)
  • 顧客ニーズへの対応(多様な製品ラインナップ、カスタマイズ対応)

5. 技術革新と主力製品

有沢製作所は、技術開発を通じて競争力を高めています。

技術開発の動向:

  • フレキシブルプリント基板材料、光学材料、産業用構造材料などの開発
  • 材料技術、加工技術、評価技術の向上

主力製品:

  • フレキシブルプリント基板材料
  • 液晶ディスプレイ用フィルム
  • 航空機用ハニカムパネル
  • 水処理用FRP製圧力容器

6. 株価の評価

指標 数値
株価 1,404.0円
PER(会社予想) 14.57倍
PBR(実績) 0.96倍
EPS(会社予想) 96.33円
BPS(実績) 1,461.64円
配当利回り 6.27%

PER、PBRの比較:

  • PERは業界平均20.4を下回っており、割安感があります。
  • PBRは1倍を下回っており、割安感があります。

7. テクニカル分析

直近10日間の株価は、1400円~1433円の範囲で推移しており、やや下落傾向にあります。
200日移動平均線は1414.33円であり、現在の株価はこれを下回っています。
年初来高値は1520円、年初来安値は1135円です。

8. 財務諸表分析

売上高:

  • 2025年3月期: 498億15百万円(前期比17.7%増)
  • 過去の傾向: 2024年3月期は421億14百万円

利益:

  • 営業利益: 48億93百万円(2025年3月期、前期比229.8%増)
  • 経常利益: 52億67百万円(2025年3月期、前期比253.8%増)
  • 当期純利益: 39億69百万円(2025年3月期、前期比142.1%増)

キャッシュフロー:

  • 営業CF: 45億48百万円(2025年3月期)
  • 投資CF: △20億76百万円(2025年3月期)
  • 財務CF: △40億86百万円(2025年3月期)

ROE:

  • 8.38%

ROA:

  • 4.33%

自己資本比率:

  • 67.7%

分析:

  • 2025年3月期は、売上高、利益ともに大幅に増加し、業績が好調です。
  • 自己資本比率が高く、財務体質は良好です。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 6.27%
  • 1株配当(会社予想): 88.00円
  • 配当性向: 80.41%
  • 2025年3月期の年間配当は96円(中間42円、期末54円)
  • 2026年3月期の年間配当予想は88円

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近の株価は、やや下落傾向にあります。
  • 信用倍率は35.09倍と高く、買われすぎの可能性があります。
  • 機関投資家による保有割合は25.07%です。
  • 配当利回りが高く、個人投資家の関心を集めやすいと考えられます。

11. 総評

有沢製作所は、電子材料、産業用構造材料などを手掛ける企業であり、2025年3月期は業績が好調に推移しています。高い配当利回りも魅力的です。
PER、PBRは割安感があり、財務体質も良好です。
ただし、株価は直近でやや下落傾向にあり、信用倍率も高いことから、今後の株価動向には注意が必要です。
また、事業は市況変動の影響を受けやすいため、今後の業績見通しを注視する必要があります。
中期経営計画の達成に向けた取り組みや、競合他社との差別化戦略にも注目していく必要があります。


企業情報

銘柄コード 5208
企業名 有沢製作所
URL http://www.arisawa.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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