1. 企業情報
事業内容
JSP株式会社は発泡プラスチック製品の大手メーカーであり、主に発泡ポリプロピレン（ARPRO）、発泡ポリスチレン（STYRODIA）、熱可塑性エラストマービーズ（ARGILIX）、および各種シート・ボード製品（MIRAMAT、CAPLONなど）を製造・販売しています。自動車部材、食品容器、住宅断熱材、産業包装材、建築・土木資材など幅広い用途に展開。グローバルにも事業を展開し、海外売上比率は約49%です。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
発泡樹脂分野で国内外ともに有力な大手企業。特に自動車部材や包装材分野で高いシェアを持ちます。三菱ガス化学系でしたが、現在は親会社から外れ独立色を強めています。
競争優位性・課題
- 幅広い用途・顧客基盤を持つ点が強み。
- 環境対応やサステナビリティ対応への業界全体の要求が高まっていることが課題。
- 原材料価格の変動、人件費高騰などコスト面のリスクも顕在化。
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略
新中期経営計画「Change for Growth 2026」を策定。
– グループ全体の収益力強化
– 発泡樹脂製品による社会貢献
– 経営基盤の強化
重点施策
- 資本収益性向上
- 成長分野（環境対応型製品・プラスチック資源循環など）への経営資源集中
- サステナビリティ経営の推進
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
多用途・多顧客を持つBtoB型の収益モデル。自動車・食品・建築など複数業界への分散がリスク低減に寄与。
市場ニーズへの適応力
環境対応型製品やリサイクル素材など新規分野への取り組みを強化。市場変化への適応力を高める方針を掲げています。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 発泡ポリプロピレン（ARPRO）は自動車の軽量化・安全性向上に寄与。
- 断熱性・耐衝撃性など高付加価値素材の開発に注力。
- 環境対応型素材やリサイクル技術の強化。
主力製品
- 自動車用バンパー・部材（ARPRO）
- 食品容器・包装材（STYRODIA等）
- 建築用断熱材・土木資材
6. 株価の評価
- PER（予想）: 9.43倍（業界平均20.4倍より割安）
- PBR（実績）: 0.47倍（業界平均1.1倍より割安）
- EPS（予想）: 190.79円
- BPS（実績）: 3,855.23円
- 株価: 1,800円
参考
- PBRが1倍を大きく下回り、PERも業界平均比で低水準。
- BPS比でも株価は大きくディスカウントされている状況。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 2,198円
- 年初来安値: 1,627円
- 直近株価: 1,800円
- 50日移動平均: 1,861.60円
- 200日移動平均: 1,998.94円
現状分析
- 株価は年初来安値圏よりは戻しているが、50日・200日移動平均を下回る水準。
- 直近10日間は1,800円前後で横ばい推移。
- モメンタムは弱含み。
8. 財務諸表分析
売上・利益
- 売上高は増加傾向（2021年102,668百万円 → 2025年142,250百万円）
- 営業利益・純利益は直近で減少（営業利益2024年7,565百万円→2025年6,888百万円、純利益2024年6,391百万円→2025年5,066百万円）
キャッシュフロー
- 営業CFは安定してプラス（2025年3月期: 8,896百万円）
- フリーCFは直近でマイナス（-1,510百万円）
ROE/ROA
- ROE: 5.16%（過去実績）、4.97%（直近12か月）
- ROA: 2.82%（直近12か月）
財務安全性
- 自己資本比率: 65.6%（健全）
- 有利子負債比率: 22.8%（低水準）
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 4.44%
- 1株配当（予想）: 80円
- 配当性向: 41.38%
- 5年平均配当利回り: 3.20%
- 自社株買い: 自己株式保有比率が高い（16.57%）
方針
安定配当を継続。配当性向も40%台で安定。特別配当はなし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: 直近1年で-18.52%と下落基調
- 信用倍率: 4.03倍（買い残やや多め）
- 出来高: 直近10日間は平均3万株台と流動性は標準的
- 投資家構成: インサイダー比率が高く、機関投資家の比率は低め
影響要因
- 業績伸び悩み、利益率低下、原材料高騰などが株価に影響
- 配当利回りの高さは一定の下支え要因
11. 総評
JSPは発泡樹脂分野で国内外に幅広い顧客基盤を持つ素材メーカーです。売上高は堅調に推移していますが、原材料高や人件費上昇などコスト増の影響で利益率が低下しています。株価は業界平均に比べて大きく割安水準にあり、財務基盤も堅固です。配当利回りも高く、株主還元姿勢は明確です。一方で、業績の成長性や利益回復、環境対応型製品の拡大などが今後の注目点となります。市場環境や原材料価格の動向、事業構造改革の進捗が今後の業績・株価に影響を与える可能性があります。
本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を推奨・助言するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 7942 |
| 企業名 | JSP |
| URL | https://www.co-jsp.co.jp |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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