1. 企業情報
鹿島建設株式会社は、日本を代表する総合建設会社（ゼネコン）であり、土木・建築・不動産開発・設計・エンジニアリングなど幅広い事業を国内外で展開しています。超高層ビル、耐震、原発関連の高い技術力を持ち、国内外の大型プロジェクトや不動産開発にも強みを持っています。設立は1930年（創業は1840年）、本社は東京都港区元赤坂。従業員数は約21,000人。
2. 業界のポジションと市場シェア
鹿島建設は、清水建設、大成建設、大林組などと並ぶ「スーパーゼネコン」の一角であり、業界最大手グループに位置します。国内外の大型案件やインフラ整備、不動産開発で高い実績を持ち、特に耐震・原発・超高層建築の分野で技術的な競争優位性があります。一方、建設業界全体では資材・労務費の高騰や人手不足、環境対応が課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
鹿島グループは「中期経営計画（2024～2026）」に基づき、建設事業と開発事業を中核としつつ、国内外での事業拡大を推進しています。重点施策は以下の通りです。
– 技術力の強化（耐震、環境、原発関連技術など）
– 海外事業の拡大（特に北米・アジア）
– 不動産開発事業の強化
– サステナビリティ（脱炭素、省エネ、再生可能エネルギー対応）
– DX（デジタルトランスフォーメーション）推進
2026年3月期までの業績目標として、売上高2兆9,500億円、営業利益1,590億円、純利益1,300億円を掲げています。
4. 事業モデルの持続可能性
鹿島建設は、建設請負（受注型）と不動産開発（ストック型）を組み合わせた事業モデルを採用しています。建設需要は公共投資や企業の設備投資に左右されますが、都市再開発やインフラ老朽化対応、海外インフラ需要などで安定した需要が見込まれます。不動産開発やビル管理などのストック型収益も安定化に寄与しています。市場ニーズの変化や環境規制への対応力も高いと評価されます。
5. 技術革新と主力製品
鹿島建設は、耐震・免震技術、原発関連技術、超高層ビル建設技術などで業界をリード。近年は脱炭素建築、BIM（Building Information Modeling）、AI・IoT活用、再生可能エネルギー関連施設の建設にも注力。主力収益源は大型土木・建築プロジェクト、不動産開発、海外建設事業です。
6. 株価の評価
- 株価：3,653円（2025/6/17時点）
- EPS（会社予想）：276.16円
- BPS（実績）：2,672.64円
- PER：13.21倍（業界平均14.0倍）
- PBR：1.36倍（業界平均1.1倍）
PERは業界平均並み、PBRはやや高めですが、ROEも10%超と高水準です。BPSに対する株価倍率も妥当な範囲とみられます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：3,765円
- 年初来安値：2,573円
- 直近株価：3,653円（高値圏に近い）
- 50日移動平均：3,417円、200日移動平均：2,956円
株価は年初来高値圏にあり、短期的にはやや過熱感も見られます。出来高も安定しており、流動性は高い状況です。
8. 財務諸表分析
- 売上高：2兆9,118億円（2025年3月期、前年比+9.3%）
- 営業利益：1,518億円（前年比+11.5%）
- 純利益：1,258億円（前年比+9.4%）
- ROE：10.19%
- ROA：2.87%
- 自己資本比率：36.4%
- 営業キャッシュフロー：306億円
- フリーキャッシュフロー：-910億円（投資活動による流出が大きい）
- 利益率：営業利益率5.2%、純利益率4.3%
売上・利益ともに増加基調。自己資本比率も十分な水準。フリーキャッシュフローはマイナスですが、これは大型投資の影響とみられます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：3.07%
- 1株配当（予想）：112円
- 配当性向：39.0%
- 自社株買い：実施実績あり（自己株式比率10.47%）
安定的な配当政策を維持しつつ、自己株式取得も積極的に行っています。配当利回りは業界水準を上回る水準です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価推移：直近1年で35.6%上昇
- モメンタム：年初来高値圏で推移、短期的にはやや調整局面
- 信用取引：信用買残減少・信用売残増加傾向（やや売り優勢）
株価は堅調に推移しており、投資家からの関心も高い状況が続いています。短期的には利益確定売りが出やすい局面。
11. 総評
鹿島建設は、スーパーゼネコンの中でも高い技術力と安定した収益基盤を持ち、国内外での事業拡大や不動産開発、サステナビリティ分野での取り組みも進んでいます。財務基盤は堅固で、配当や自社株買いによる株主還元も積極的です。株価は年初来高値圏にあり、業績・財務ともに堅調な推移を見せています。今後も国内外の建設需要や不動産開発、環境対応の進展が成長ドライバーとなる見通しです。
企業情報
| 銘柄コード | 1812 |
| 企業名 | 鹿島建設 |
| URL | http://www.kajima.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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