1. 企業情報

  • 事業内容: アジアパイルホールディングスは、基礎工事(主にコンクリートパイル=基礎杭)の製造・施工を主力とする企業です。設計から建設までを一貫して請け負う体制に強みを持ち、日本国内だけでなくベトナムなどアジア地域にも事業を展開しています。高強度・大径パイルや新工法「JP-Pile工法」など、技術力と施工力が特徴です。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内ポジション: 国内の基礎杭市場でトップクラスのシェアを有しています。建設需要の底堅さを背景に、安定した受注基盤を持つ一方、資材価格高騰や労働需給の逼迫といった課題にも直面しています。
  • 競争優位性: 一貫請負体制や大規模・大径工事への対応力、独自工法の開発力が競争優位性となっています。
  • 課題: 海外事業(特にベトナム)は競争が激しく、ミャンマー事業からは撤退。国内も利益率低下が課題です。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略: 「基礎建設業界を代表し、高い専門性を有するリーディングカンパニー」を掲げています。
  • 中期経営計画(2024~2028年度):
    • 大径・大規模工事へのシフト
    • 新工法「JP-Pile工法」などの拡販
    • 国内外事業の有機的融合
    • ミャンマー事業撤退による経営資源の再配分
  • 重点分野: 国内の高付加価値案件強化、海外事業の選択と集中

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: 建設需要に連動したBtoB型受注ビジネス。景気や公共投資動向の影響を受けやすいが、インフラ需要の底堅さや再開発案件などで安定感あり。
  • 市場ニーズへの適応力: 技術開発や新工法導入により、変化する建設現場のニーズに対応しています。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発動向: 高強度・大径パイルや新工法(JP-Pile工法)など独自技術の開発に注力。
  • 主力製品・サービス:
    • プレキャストコンクリートパイル
    • 鋼管杭
    • 場所打ち杭
    • 一貫請負型基礎工事サービス
  • 独自性: 設計から施工まで一貫したサービス提供力。

6. 株価の評価

  • PER(予想): 8.60倍(業界平均18.3倍)
  • PBR(実績): 0.79倍(業界平均1.4倍)
  • EPS(予想): 110.27円
  • BPS(実績): 1,200.62円
  • 株価(6/17終値): 946円
  • 評価: 業界平均と比較してPER・PBRともに割安圏。BPSに対しても株価は下回っており、資産面から見ても割安感が見られます。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値: 974円
  • 年初来安値: 758円
  • 直近株価推移: 900円台前半~950円台で推移。50日移動平均902.90円、200日移動平均854.65円を上回っており、やや高値圏。
  • モメンタム: 直近は900円台後半でのもみ合いが続いており、上値は年初来高値圏に近い。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益推移:
    • 売上高(2025/3期): 1,008億円(前年比2.3%減)
    • 営業利益: 43億円(同38.2%減)
    • 当期純利益: 23億円(同38.6%減)
    • 営業利益率: 4.3%
  • ROE(実績): 5.17%
  • ROA(実績): 2.81%
  • 自己資本比率: 47.0%
  • キャッシュフロー:
    • 営業CF: 46.7億円
    • フリーCF: 25.1億円
  • 傾向:
    • 2024/3期は減収減益。利益率も低下傾向。
    • 2025/3期は大幅増益予想(売上高1,110億円、営業利益73億円、純利益42億円)。
    • 財務健全性は高い水準を維持。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想): 5.06%
  • 1株配当(予想): 48円
  • 配当性向: 61.43%
  • 自社株買い: 直近では特記事項なし
  • 方針: 安定配当を基本とし、業績連動で配当額を決定。2025年度は増配予定。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価変動傾向: 直近1年間で高値圏(974円)に近づいているが、過去1年では一時的な下落も経験(安値758円)。出来高も増加傾向。
  • 信用取引動向: 信用買残が増加しており、信用倍率は非常に高い(811.60倍)。短期的には需給面の偏りに注意が必要。
  • 投資家関心: 配当利回りの高さや業績回復見通しを背景に、関心が高まっているとみられます。

11. 総評

アジアパイルホールディングスは、基礎杭分野で国内トップクラスのシェアと技術力を持つ企業です。2024年度は減収減益となりましたが、2025年度は大幅な業績回復を見込んでいます。株価は資産価値や業績予想に対して割安な水準にあり、高い配当利回りも特徴です。一方で、海外事業の損失や国内利益率の低下、信用取引の需給バランスなど、短期的なリスク要因も存在します。中長期的には、技術開発力と安定した財務基盤を活かし、持続的な成長が期待される企業です。


企業情報

銘柄コード 5288
企業名 アジアパイルホールディングス
URL http://www.asiapile-hd.com/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – ガラス・土石製品

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By シャーロット

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