1. 企業情報
概要：
三井松島ホールディングス株式会社は、1913年創業の老舗企業で、2023年度に石炭事業から撤退し、現在は事業投資会社として多角化経営を推進しています。主な事業は以下の通りです。
– 生活消費財事業（飲料用ストロー、食品容器、ペットフード等の製造・販売）
– 産業用製品事業（オフィス機器、産業用チェーン、マスクブランクス等の製造・販売）
– 金融その他事業（不動産貸付、株式投資）
– エネルギー事業（太陽光発電など再生可能エネルギー）
本社は福岡市、従業員数は1,741名、平均年齢44.7歳、平均年収1,079万円。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：
石炭事業撤退後は、ニッチな生活消費財や産業用製品分野にM&Aを通じて積極展開。大手総合商社や大手メーカーとは異なり、特定分野での独自性や専門性を活かした事業構成が特徴です。
– 競争優位性・課題：
ニッチ分野でのM&Aにより競争優位性を確保。一方で、事業多角化による経営資源の分散や、各事業の成長性確保が今後の課題。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略：
石炭事業からの完全撤退を機に「事業投資会社」への転換を明確化。M&Aによる成長分野の取り込みと、既存事業の収益力強化を両立。
– 中期経営計画・重点施策：
– 生活消費財・産業用製品事業の拡大
– 再生可能エネルギー分野の強化
– 投資先企業の経営支援・バリューアップ
– 財務健全性維持と株主還元強化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：
生活消費財・産業用製品の安定収益と、M&Aによる新規事業の収益化が柱。太陽光発電等の再エネ事業も収益源。
– 市場変化への適応力：
石炭依存からの脱却、再エネ・消費財・産業用製品へのシフトは環境変化への適応力を示す。M&Aによる事業ポートフォリオの柔軟性も強み。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向・独自性：
マスクブランクスなど精密部材、産業用チェーン、オフィス機器等で技術力を有する子会社を保有。再エネ分野では太陽光発電の運営ノウハウを蓄積。
– 収益牽引製品・サービス：
飲料ストロー、食品容器、ペットフード、オフィス機器、産業用チェーン等が主力。今後は再エネ事業の寄与も期待。
6. 株価の評価
- PER（予想）: 8.93倍（業界平均14.5倍）
- PBR（実績）: 0.79倍（業界平均1.3倍）
- EPS（予想）: 517.13円
- BPS（実績）: 5,825.49円
- 株価: 4,620円
評価：
PER・PBRともに業界平均を下回る水準。BPSと比較しても割安感が見られるが、これは石炭事業撤退後の利益水準の変化や、将来の成長性への懸念も織り込まれている可能性。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 5,480円
- 年初来安値: 3,275円
- 直近株価: 4,620円
- 50日移動平均: 4,393.40円
- 200日移動平均: 4,240.58円
現状：
直近は移動平均線を上回る水準で推移。年初来高値圏からはやや下落しているが、安値圏からは大きく回復。直近10日間は4,600円前後でのもみ合いが続く。
8. 財務諸表分析
- 売上: 60,574百万円（2025年3月期、前年比-24.8%）
- 営業利益: 7,615百万円（営業利益率12.6%）
- 純利益: 8,645百万円
- ROE: 13.43%
- ROA: 4.55%
- 自己資本比率: 55.5%
- 営業キャッシュフロー: 4,570百万円
- フリーキャッシュフロー: -31,090百万円（大型投資等によるマイナス）
傾向：
石炭事業撤退で売上は大きく減少したが、利益率は改善。ROE・自己資本比率ともに良好。フリーキャッシュフローは大型投資等でマイナス。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 4.98%
- 1株配当（予想）: 230円（分割前ベース）
- 配当性向: 21.0%
- 自社株買い: 自己株式保有比率10.11%、取得実績あり
方針：
安定配当と自己株式取得による株主還元を重視。配当性向は低めで、今後の業績動向に応じて柔軟な対応が可能。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近株価推移：
4,600円前後でのもみ合いが続き、出来高も安定。信用買残が増加傾向で、信用倍率は高水準。
– 影響要因：
石炭事業撤退後の新たな成長戦略への期待と、業績見通しの慎重さが混在。株式分割や自社株買いなどの株主還元策も注目材料。
11. 総評
三井松島ホールディングスは、石炭事業撤退を経て事業投資会社へと転換し、生活消費財や産業用製品、再生可能エネルギー分野に注力しています。財務基盤は堅固で、利益率・ROEも良好。株価指標は業界平均を下回り、割安感が見られます。一方で、事業構造転換期にあることから、今後の成長分野での収益拡大や、M&Aの成果が引き続き注目されます。株主還元策も積極的で、安定した配当が期待される状況です。
本レポートは、公開情報に基づき客観的に整理したものであり、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 1518 |
| 企業名 | 三井松島ホールディングス |
| URL | https://www.mitsui-matsushima.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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