1. 企業情報
企業概要
住友商事は住友グループの中核を担う総合商社で、鉄鋼・金属製品、自動車、輸送機・建機、都市開発、メディア・デジタル、ライフスタイル、資源、化学品・エレクトロニクス・農業、エネルギー・トランスフォーメーションなど多岐にわたる事業を展開しています。世界各地で事業投資・事業運営を行い、グローバルなネットワークと多様な事業ポートフォリオを活かして成長を目指しています。1919年設立、本社は東京都千代田区大手町。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
住友商事は「五大商社」の一角を占め、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・丸紅と並ぶ大手総合商社です。鉄鋼や油井管などの鋼管分野で強みを持ち、非鉄金属・CATV等のメディア事業も特徴的です。
競争優位性・課題
- 多様な事業ポートフォリオによるリスク分散
- 資源価格変動や為替リスク、地政学リスクへの対応が課題
- 非資源分野（デジタル、ヘルスケア、都市開発等）の拡大が成長ドライバー
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
中期経営計画「中期経営計画2026」にて、
– 資本効率の向上（ROE重視）
– 非資源ビジネスの強化
– デジタル・グリーン分野への投資
– 株主還元強化（総還元性向40%以上、累進配当）
重点施策
- 国内外の自動車流通・リース事業の拡大
- デジタル・ICT分野（ネットワンシステムズ等）の強化
- 都市開発・不動産・海外発電事業の推進
- 資源分野は非鉄金属を軸に安定収益を追求
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 資源・非資源のバランス型収益構造
- 事業投資・運営による安定収益とキャッシュフロー創出
- 市場ニーズの変化（脱炭素、デジタル化）への適応力を強化
持続可能性評価
- 非資源分野の拡大で資源価格変動リスクを緩和
- グリーン・デジタル投資で将来性に対応
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 5G・ICT基盤、スマートシティ、再生可能エネルギー等に注力
- ネットワンシステムズの連結によるデジタル分野強化
主力製品・サービス
- 油井管・鋼管（世界トップクラスのシェア）
- 自動車流通・リース
- 都市開発・不動産
- メディア・デジタルサービス
- 海外発電・再エネ事業
6. 株価の評価
バリュエーション指標
- 株価：3,671円
- 予想PER：7.79倍（業界平均12.1倍より割安水準）
- 実績PBR：0.96倍（業界平均1.0倍と同等）
- EPS（会社予想）：471.07円
- BPS（実績）：3,841.68円
評価
- 予想PER・PBRともに業界平均と比較して割安感がある
- ROEは12.36%と高水準
7. テクニカル分析
株価推移
- 年初来高値：3,785円、年初来安値：2,786円
- 直近株価（3,671円）は高値圏に近いが、年初来高値にはやや届かず
- 50日移動平均：3,534円、200日移動平均：3,373.8円 → 上昇トレンドを維持
- 直近10日間は3,600円台で安定推移
8. 財務諸表分析
売上・利益・キャッシュフロー等
- 売上高（2025/3期）：7,292,084百万円（前年比増加）
- 営業利益：695,567百万円（前年比増加）
- 親会社帰属当期利益：561,859百万円（前年比増加）
- 営業利益率：9.5%（前年7.6%から上昇）
- ROE：12.36%、ROA：2.23%
- 自己資本比率：40.0%（安定水準）
- 営業キャッシュフロー：612,280百万円（安定的にプラス）
- フリーキャッシュフロー：643,830百万円
過去数年の傾向
- 2021年は赤字だが、その後は回復基調
- 2024年、2025年ともに増収増益傾向
9. 株主還元と配当方針
配当利回り・配当性向
- 予想年間配当：140円（配当利回り3.82%）
- 配当性向：約28.06%
- 5年平均配当利回り：4.59%
- 中期経営計画で「累進配当」「総還元性向40%以上」を掲げている
自社株買い
- 2025年5月～2026年3月に最大800億円の自己株式取得予定
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価モメンタム
- 直近1年で高値圏を維持
- 直近10日間の株価は3,600円台で安定
- 信用買残は増加傾向、信用倍率は9.58倍と高め
投資家関心
- インスティテューショナル投資家の保有比率は約35.78%
- 自己株式取得や累進配当方針により株主還元姿勢が強い
11. 総評
住友商事は、総合商社として多様な事業ポートフォリオを持ち、資源・非資源双方で安定した収益基盤を有しています。近年は非資源分野やデジタル・グリーン分野への投資を強化し、資本効率や株主還元にも注力しています。財務基盤は安定しており、配当利回りも高水準です。株価は業界平均と比較して割安感があり、直近は高値圏で推移しています。今後も非資源分野の成長や株主還元策の進展が注目されますが、資源価格や世界経済の動向、地政学リスク等には引き続き注意が必要です。
（本レポートは情報提供を目的としており、投資判断を目的としたものではありません。）
企業情報
| 銘柄コード | 8053 |
| 企業名 | 住友商事 |
| URL | http://www.sumitomocorp.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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