1. 企業情報
企業名: 株式会社トプコン
設立: 1932年9月1日
本社所在地: 東京都板橋区蓮沼町75-1
代表者: 江藤 隆志
従業員数: 5,327人
事業内容:
トプコンは、測量機器（トータルステーション、GNSS/GPS）、建設・農業機械の自動化ソリューション、眼科医療機器（眼底カメラ、3D網膜画像診断装置など）をグローバルに展開。オプトエレクトロニクス技術に強みを持ち、測量・建機・農機自動化分野で世界的なシェアを有するほか、眼科検査装置でも高い競争力を持つ。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 測量・位置情報分野では、グローバル大手の一角。建機・農機の自動化（ICT施工・精密農業）分野でも世界首位級。眼科医療機器分野では、特に眼底撮像装置等で高い評価を得ている。
- 競争優位性: 高精度な測量技術、光学・IT融合技術、グローバル販売網が強み。
- 課題: 建設・農業分野の投資サイクルや米国ICT施工市場の投資抑制、世界的な地政学リスク・為替変動・原材料コスト上昇など外部環境の影響を受けやすい。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「社会インフラと人々の健康を支えるソリューションカンパニー」を掲げ、ポジショニング（測量・建機・農機自動化）とアイケア（眼科医療機器）の2大事業を成長ドライバーと位置づけ。
- 中期経営計画の施策:
- ポジショニング事業：ICT施工・精密農業の拡大、ソフトウェア・サービス強化、グローバル展開深化
- アイケア事業：新興国市場開拓、AI・クラウド連携による医療DX推進、大型案件獲得
- 直近の動向: 2025年3月期は構造改革・固定費削減を実施。MBO（マネジメント・バイアウト）を発表し、今後は上場廃止予定。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 機器販売に加え、ソフトウェア・サービス・保守契約などストック型収益も拡大中。
- 市場ニーズ適応力: 建設・農業の自動化需要、医療DX・高齢化社会対応など、長期的な市場成長が見込まれる分野に注力。
一方、外部環境変化（投資サイクル、規制、為替等）への影響は大きい。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: GNSS/GPS、3D計測、AI画像診断、クラウド連携技術など、先端技術を積極導入。
- 主力製品・サービス:
- ポジショニング：自動追尾トータルステーション、ICT建機制御システム、精密農業向け自動運転システム
- アイケア：3D眼底撮像装置、網膜画像診断AI、手術用顕微鏡
- 独自性: ハード・ソフト一体型ソリューション、グローバル対応力が強み。
6. 株価の評価
- 株価: 3,265円（2025年6月18日終値）
- BPS（1株当たり純資産）: 980.39円
- PBR（株価純資産倍率）: 3.33倍（業界平均1.8倍より高い）
- PER: EPSが大幅減少のため算出不可（参考：2025年3月期EPS 3.96円）
- 業界平均PER: 21.1倍
- 評価: 直近の利益減少によりPER算出不可、PBRは業界平均より高い水準。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間は3,260円台で安定、年初来高値3,277円に接近。
- 移動平均線: 50日移動平均：3,232円、200日移動平均：2,527円
- 高値安値圏: 年初来高値圏にあり、過去1年で大きく上昇（52週変化率+84.5%）。
- 出来高: 直近も安定した出来高を維持。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2025年3月期：2,160億円（前年同期比-0.2%）
- 営業利益: 88.3億円（前年同期比-21.2%）
- 当期純利益:
- 2億円（前年同期比-91.5%）
- ROE:
- 39%（前年4.5%）、低下傾向
- ROA:
- 61%
- 自己資本比率: 41.5%（健全水準）
- キャッシュフロー: 営業CFは安定（94.3億円）、投資CFはマイナス（積極投資）、財務CFはプラス（資金調達）
- 傾向: 売上は横ばい、利益は減少傾向。アイケア事業は増収増益、ポジショニング事業は減収減益。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績: 2024年3月期：年間42円 → 2025年3月期：20円に減配
- 配当利回り: 2025年3月期実績：0.61%、2026年3月期予想：0円（配当未定）
- 配当性向: 505%（利益減少により高水準）
- 自社株買い: 自己株式保有あり（2.74%）
- 方針: 直近は減配傾向、MBOに伴い今後の配当は未定。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 直近1年で大幅上昇し高値圏で推移。直近10日間も安定した値動き。
- 投資家関心: 機関投資家・海外投資家の保有比率が高い。MBOによる上場廃止予定を受け、今後の流動性や株価動向に注目。
- 影響要因: MBO発表、業績動向、グローバル経済・為替・金利動向など。
11. 総評
トプコンは、測量・建設・農業自動化と眼科医療機器の2大事業をグローバルに展開し、高い技術力と市場シェアを有する企業です。近年はアイケア事業が成長を牽引する一方、ポジショニング事業は外部環境の影響で減収減益となっています。2025年3月期は特別損失計上や利益減少により、ROE・EPSが大きく低下し、配当も減配となりました。株価はMBO発表などを背景に年初来高値圏で推移しています。今後はMBOによる上場廃止予定があるため、株主還元や株価動向には注意が必要です。財務基盤は健全ですが、短期的な利益の落ち込みが見られます。
本レポートは情報提供を目的とし、投資助言を行うものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 7732 |
| 企業名 | トプコン |
| URL | https://www.topcon.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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