1. 企業情報

事業内容

日本精化株式会社は、1918年創業の老舗ファインケミカルメーカーです。主に化粧品や医薬品向けの原料、脂肪酸誘導体、機能性コーティング剤などの製造・販売を手掛けています。事業は「機能性製品」と「環境衛生製品」の2セグメントに大別され、化粧品原料や医薬中間体、防臭消毒剤など幅広い分野で高いシェアを有します。中国に生産子会社を持ち、グローバル展開も進めています。

2. 業界のポジションと市場シェア

競争優位性

  • 脂肪酸誘導体や樟脳製品で国内トップクラスのシェア。
  • 化粧品・医薬品原料分野で高い技術力と信頼性を持つ。
  • 機能性製品(売上高の約8割)は海外展開も進み、特に化粧品用機能性油剤や医薬品用リン脂質の販売が拡大。

課題

  • 市場全体としては競争が激化し、価格競争や原材料コスト上昇の影響を受けやすい。
  • 海外経済や地政学リスクの影響を受ける可能性。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣のビジョン・戦略

  • 高付加価値製品へのシフトとグローバル展開強化。
  • 化粧品・医薬品原料分野を重点成長領域と位置付け。
  • コスト構造改革や生産効率向上による収益力強化。

中期経営計画の施策

  • 2026年3月期の目標を見直し(売上高342億円、営業利益50億円、純利益40億円)。
  • 2030年に向けた長期ビジョンも見直し中。
  • 研究開発投資の継続、海外市場の開拓。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 主力の機能性製品は、化粧品・医薬品など安定した需要が見込める分野。
  • 環境衛生製品も一定の需要があり、リスク分散に寄与。
  • 高い自己資本比率(80.5%)と低い負債比率で財務基盤は堅固。
  • 市場ニーズの変化に対応するための研究開発体制も整備。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向・独自性

  • 脂肪酸誘導体やリン脂質など、高度な精製・合成技術を保有。
  • 化粧品原料や医薬品中間体の分野で独自性の高い製品群を展開。

収益を牽引する主力製品

  • 化粧品用機能性油剤、医薬品用リン脂質、ファインケミカル製品。
  • 機能性製品が売上・利益の大半を占める。

6. 株価の評価

  • PER(予想): 13.04倍(業界平均20.4倍より低い)
  • PBR(実績): 1.08倍(業界平均1.1倍と同水準)
  • EPS(予想): 177.79円
  • BPS(実績): 2,140.58円
  • 株価(2,319円)はBPSに対してやや割安感がある水準。
  • 配当利回り(予想)4.05%は、過去5年平均(2.48%)を大きく上回る。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値: 2,378円、年初来安値: 1,726円
  • 直近株価は2,319円と高値圏に位置。
  • 50日移動平均(2,171.8円)、200日移動平均(2,251.91円)を上回って推移。
  • 直近10日間も2300円台で安定、やや上昇基調。

8. 財務諸表分析

売上・利益の推移(過去3年)

  • 売上高: 2023年3月期 368億円 → 2024年3月期 335億円 → 2025年3月期 356億円
  • 営業利益: 2023年3月期 50億円 → 2024年3月期 42億円 → 2025年3月期 49億円
  • 純利益: 2023年3月期 41億円 → 2024年3月期 33億円 → 2025年3月期 39億円

利益率等

  • 営業利益率: 13.7%(2025年3月期、前年12.5%から改善)
  • ROE: 8.16%、ROA: 5.07%
  • 自己資本比率: 80.5%(非常に高い)

キャッシュフロー

  • 営業CFは減少傾向(2025年3月期 40.9億円、前年62.8億円)

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想): 4.05%(業界平均・過去平均を上回る)
  • 配当性向: 44.88%(安定的な水準)
  • 直近の年間配当予想: 94円(増配傾向)
  • 自己株式の保有比率も高く、自社株買いによる株主還元も実施。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間は2300円台で安定、出来高も安定的。
  • 年初来高値圏で推移しており、モメンタムは堅調。
  • 信用倍率は5.63倍とやや買い残が多い状況。
  • インサイダーの保有割合が高く、安定株主構成。

11. 総評

日本精化は、化粧品・医薬品原料を中心とした機能性化学品分野で高いシェアと技術力を持つ企業です。直近の業績は増収増益、営業利益率も改善し、財務基盤も非常に健全です。株価は業界平均と比較して割安感があり、配当利回りも高水準で推移しています。中期経営計画の見直しや海外展開の強化など、今後の成長戦略にも注目されます。地政学リスクや原材料高などの外部要因には注意が必要ですが、総じて安定した事業運営が特徴です。


企業情報

銘柄コード 4362
企業名 日本精化
URL http://www.nipponseika.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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