1. 企業情報
概要
パナソニック ホールディングス株式会社は、世界的な総合家電・電子機器メーカーです。事業は「くらし（家電・住設）」「オートモーティブ（車載関連）」「コネクト（B2Bソリューション・IT）」「インダストリー（電子部品・FA機器）」「エナジー（電池）」の5セグメントに分かれています。冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、エアコン、照明、電池、電子部品、車載電池、プロフェッショナル向けAV機器、サプライチェーン管理ソフトなど幅広い製品・サービスを展開しています。2022年度より持株会社体制へ移行し、グループ経営を強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
パナソニックは日本の総合家電業界で首位級の地位を維持しています。家電分野では日立、ソニー、シャープなどと競合し、車載電池分野ではグローバルでテスラ向けを中心に高いシェアを持ちます。B2B領域（コネクト、インダストリー）でも存在感を高めています。
競争優位性・課題
- 幅広い事業ポートフォリオとグローバル展開が強み
- 車載電池やB2Bソリューション分野での成長期待
- 一方で、家電市場の成熟化や中国勢との競争激化、為替・原材料コストの影響が課題
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略
2022年度からの中期経営計画では「持株会社体制によるグループ経営強化」「ROE向上」「成長分野への資本集中」を掲げています。
重点分野は以下の通りです。
– 車載電池（エナジー）への投資拡大
– B2Bソリューション（コネクト）の強化（Blue Yonder買収など）
– 家電・住設分野の収益性改善
– ROIC（投下資本利益率）を重視した事業管理
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル・適応力
- 家電、B2B、車載電池など複数の収益源を持つ分散型モデル
- 市場ニーズの変化に応じて事業ポートフォリオを柔軟に再編
- EV化や省エネ需要、DX（デジタル変革）など新潮流への対応力を強化中
5. 技術革新と主力製品
技術開発動向・独自性
- 車載向け円筒型リチウムイオン電池で世界トップクラスの技術力
- サプライチェーン管理ソフト「Blue Yonder」などIT・DX分野も強化
- 省エネ・環境対応家電、住宅設備、プロ用AV機器など独自技術を展開
収益牽引製品・サービス
- 車載電池（テスラ向け等）
- くらし（家電・住設機器）
- コネクト（B2Bソリューション、ITサービス）
6. 株価の評価
- PER（会社予想）：11.17倍（業界平均24.2倍より割安）
- PBR（実績）：0.74倍（業界平均1.6倍より割安）
- EPS（会社予想）：132.79円
- BPS（実績）：2,010.81円
- 現在株価（1,481.5円）はBPSの約74%水準で取引されており、指標面では割安感がみられます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：1,919円、年初来安値：1,364円
- 直近株価は1,480円台で、50日・200日移動平均線（1,590円、1,551円）を下回っています。
- 直近10日間は下落基調、安値圏に位置。
- 出来高は高水準で推移。
8. 財務諸表分析
売上・利益・キャッシュフロー
- 売上高（2025/3期）：8兆4,582億円（前年比0.5%減）
- 営業利益：4,265億円（前年比18%増）
- 当期純利益：3,662億円（前年比18%減）
- 営業CF：7,961億円（前年比減少）
- フリーCF：マイナス（投資活動による支出が大きい）
収益性・効率性
- ROE：7.93%（前年6.0%程度から上昇）
- ROA：2.71%
- 営業利益率：3.54%
- 自己資本比率：50.2%（財務健全性高い）
過去数年の傾向
- 売上は横ばい～微減、利益は増減あり
- 営業利益率・ROEは改善傾向
9. 株主還元と配当方針
- 年間配当：48円（配当性向30.6%）
- 予想配当利回り：約3.2%（直近株価ベース）
- 5年平均配当利回り：2.35%（現在はやや高水準）
- 自社株買い：自己株式保有比率4.88%、安定的な株主還元姿勢
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近は下落傾向、年初来高値から20%以上下落
- 信用買残増加、信用倍率3.18倍とやや買い長
- 出来高は高水準、流動性高い
- 配当利回り上昇や割安感から投資家の関心は継続
11. 総評
パナソニック ホールディングスは、家電・車載電池・B2Bソリューションなど多角的な事業を展開し、グローバルで高い競争力を有しています。近年は持株会社体制への移行、ROE向上、成長分野への資本集中など経営改革を進めており、財務の健全性も高い水準を維持しています。株価指標面では業界平均と比べ割安感があり、配当利回りも高い水準となっています。一方、直近の業績は横ばい～やや減収傾向、株価モメンタムも下落基調で推移している点には留意が必要です。今後は車載電池やB2B領域の成長、グループ経営の効率化が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6752 |
| 企業名 | パナソニック ホールディングス |
| URL | https://holdings.panasonic/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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