1. 企業情報
東京インキは、インキ、化成品、加工品、不動産賃貸を手掛ける企業です。特に、インキ事業ではオフセットインキやグラビアインキ、インクジェットインキなどを提供し、化成品事業では樹脂着色剤や機能性添加剤、3Dプリンター用材料などを展開しています。加工品事業では、土木資材や包装材などを製造しています。共同印刷系の企業であり、安定した事業基盤を持っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
東京インキは、インキ業界において中堅企業としての地位を確立しています。特に、化成品分野や加工品分野での技術力と、共同印刷との連携による安定した顧客基盤が強みです。
競争優位性:
- 技術力: 特殊インキや化成品分野における技術開発力。
- 事業の多角化: インキ、化成品、加工品と事業ポートフォリオが分散されており、リスク分散に繋がっている。
- 安定した顧客基盤: 共同印刷との関係性による安定した取引。
課題:
- 原材料価格変動: 原材料価格の高騰は、業績に影響を与える可能性がある。
- 競合激化: インキ業界は競争が激しく、価格競争に巻き込まれるリスクがある。
3. 経営戦略と重点分野
東京インキは、中期経営計画「TOKYOink 2027」を策定し、2025年4月より始動しています。
経営ビジョン:
- 詳細なビジョンは開示されていませんが、中期経営計画を通じて、持続的な成長を目指していると考えられます。
重点分野:
- インキ事業: オフセットインキの選択と集中、グラビアインキ・インクジェットインクでの機能性製品の伸長。
- 化成品事業: 国内事業領域の拡大、ASEAN地域での事業拡大。
- 加工品事業: ネトロンの水処理用資材への注力、一軸延伸フィルムの拡大、土木資材の成長。
4. 事業モデルの持続可能性
東京インキの事業モデルは、インキ、化成品、加工品の3本柱で構成されており、市場ニーズの変化に対応しやすい構造となっています。
収益モデル:
- インキ事業、化成品事業、加工品事業からの安定的な収益。
- 不動産賃貸事業による安定収入。
市場ニーズへの適応力:
- インクジェットインキや3Dプリンター用材料など、成長分野への注力。
- 土木資材など、社会インフラ需要に対応した製品展開。
5. 技術革新と主力製品
東京インキは、技術革新を通じて競争力を高めています。
技術開発の動向:
- インクジェットインキや機能性コーティング材料の開発。
- 3Dプリンター用材料の開発。
- 環境対応型製品の開発。
主力製品:
- オフセットインキ、グラビアインキ、インクジェットインキ
- 樹脂着色剤、機能性添加剤
- 土木資材
6. 株価の評価
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 4,050円 |
| PER（会社予想） | 8.11倍 |
| PBR（実績） | 0.36倍 |
| 配当利回り | 5.19% |
| EPS（会社予想） | 499.40円 |
| BPS（実績） | 11,382.68円 |
評価:
- PERは8.11倍と、業界平均15.9倍と比較して割安です。
- PBRは0.36倍と、業界平均0.7倍と比較して割安です。
- 配当利回りは5.19%と高く、魅力的な水準です。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は、4,040円から4,140円の間を変動しており、4,050円で取引されています。年初来高値4,380円、年初来安値3,220円から見ると、現在は高値圏に近い水準です。50日移動平均線3,999.90円、200日移動平均線3,541.50円を上回っており、上昇トレンドを示唆しています。
8. 財務諸表分析
売上高:
- 2025年3月期は468億6百万円と、前期比6.6%増。
利益:
- 営業利益は2025年3月期に13億9百万円と、前期比70.3%増と大幅増益。
- 経常利益は7億5百万円と、前期比28.5%減。
- 親会社株主に帰属する当期純利益は11億80百万円と、前期比33.9%増。
キャッシュフロー:
- 営業活動によるCFは22億80百万円。
- 投資活動によるCFは-11億78百万円。
- 財務活動によるCFは-12億54百万円。
ROE:
- 過去12か月で4.00%
ROA:
- 過去12か月で1.60%
自己資本比率:
- 58.3%と高い水準で、財務の安定性を示しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 5.19%
- 1株配当（会社予想）: 210.00円
- 2024年3月期の年間配当は100円（記念配当20円を含む）
- 2025年3月期の年間配当は190円
- 2026年3月期の年間配当予想は210円
東京インキは、高い配当利回りを維持しており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価は上昇傾向にあり、モメンタムは良好です。
- 信用買い残は増加傾向にあり、投資家の関心も高まっていると考えられます。
- 52週高値4,380円に近づいており、更なる上昇も期待できます。
- 平均出来高は3.23kと、流動性は平均的です。
11. 総評
東京インキは、インキ、化成品、加工品と事業の多角化が進み、安定した収益基盤を持つ企業です。高い配当利回り、割安なPER、PBRは魅力的です。直近の業績も好調であり、中期経営計画に基づいた成長戦略も期待できます。テクニカル面でも、株価は上昇トレンドにあり、投資家の関心も高まっています。ただし、原材料価格の変動や競合激化などのリスクも考慮する必要があります。総合的に見て、中長期的な投資対象として検討する価値があると考えられます。
企業情報
| 銘柄コード | 4635 |
| 企業名 | 東京インキ |
| URL | http://www.tokyoink.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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