1. 企業情報

  • 企業概要

日清紡ホールディングスは、無線・通信、マイクロデバイス、自動車ブレーキ、精密機器、化学品、繊維、不動産など多角的に事業を展開するコングロマリットです。1907年創業の綿紡績の老舗ですが、現在はブレーキ摩擦材(世界首位)、防災無線、半導体、安定収益源の不動産などに注力しています。M&Aにも積極的です。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内ポジション
    • ブレーキ摩擦材で世界首位のシェアを持ち、国内外の自動車メーカー向けに強み。
    • 無線・通信分野では防災無線やレーダーなど、官公庁・自治体向けに高い実績。
    • 不動産は安定収益源として機能。
  • 競争優位性と課題
    • 多角化によるリスク分散が強み。
    • 一部事業(マイクロデバイス、繊維等)は収益性に課題。
    • EV市場の停滞や繊維事業の縮小など、外部環境変化への対応が必要。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略
    • コア事業(無線・通信、ブレーキ、不動産)への選択と集中。
    • M&Aによる事業ポートフォリオ強化。
    • デジタル技術・防災インフラ分野の拡大。
  • 中期経営計画の重点施策
    • ブレーキ事業のグローバル展開強化。
    • 無線・通信分野での新規需要(防災・防衛)獲得。
    • 不動産の開発・販売強化。
    • マイクロデバイス事業の収益改善。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • 主力の無線・通信、ブレーキ、不動産が収益を牽引。
    • 不動産は景気変動の影響を受けにくく、安定収益源。
  • 市場ニーズへの適応力
    • 防災・防衛需要、EV化、IoT化などの新潮流に対応中。
    • 一部事業(繊維等)は市場縮小傾向。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発動向・独自性
    • 防災無線やレーダーなど、官公庁・自治体向けの高信頼性製品。
    • ブレーキ摩擦材で世界首位の技術力。
    • マイクロデバイスは車載・通信向け等の高機能半導体に注力。
  • 主力製品・サービス
    • 無線通信装置、防災システム、ブレーキ摩擦材、不動産開発・販売。

6. 株価の評価

  • PER(会社予想): 7.78倍(業界平均24.2倍)
  • PBR(実績): 0.52倍(業界平均1.6倍)
  • EPS(会社予想): 116.84円
  • BPS(実績): 1,738.71円
  • 現株価: 909.4円
    • PER、PBRともに業界平均を大きく下回る水準。
    • 株価/BPS(PBR)から見ても資産価値に対して割安な水準に位置。

7. テクニカル分析

  • 株価推移
    • 年初来高値:963円、年初来安値:732円
    • 直近株価(909.4円)は50日・200日移動平均線(879.68円/901.84円)をやや上回る。
    • 直近10日間は900円台前半でのもみ合いが続く。
    • 信用買残増加、信用倍率高め(15.37倍)でやや買い長傾向。
    • 52週高値(1137円)からは下落しているが、年初来安値(732円)からは回復。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益
    • 売上高(過去12か月):494,746百万円(前年比減)
    • 営業利益(過去12か月):16,581百万円(増益傾向)
    • 純利益(過去12か月):10,277百万円(黒字転換)
    • 営業利益率:14.09%、純利益率:3.43%
    • ROE(実績):3.95%、ROA(実績):2.73%
  • 財務安全性
    • 自己資本比率:39.6%(直近四半期は40.8%)
    • 流動比率:1.98
    • 有利子負債比率:67.63%
  • キャッシュ・フロー
    • 現金等:48,920百万円
  • 傾向
    • 2023年に一時的な損失(赤字)があったが、2024年以降は黒字回復。
    • 直近四半期は大幅な増益。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想): 3.96%
  • 1株配当(予想): 36.00円
  • 配当性向: 31.91%
  • 自社株買い: 自己株式保有7.14%
  • 方針
    • 安定配当を継続。配当性向は30%前後と健全な水準。
    • 自社株買いも実施し、株主還元に積極的。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価モメンタム
    • 直近は900円台でのもみ合いが続き、やや上昇傾向。
    • 出来高も安定しており、投資家の関心は維持されている。
    • 信用買残増加がやや目立つ。
  • 影響要因
    • 防災・防衛関連の受注増、ブレーキ事業の回復、不動産販売の好調が株価を下支え。
    • マイクロデバイスや繊維事業の収益性が今後の課題。

11. 総評

日清紡ホールディングスは、ブレーキ摩擦材や無線・通信、不動産など多角化による安定収益基盤を持つコングロマリットです。直近は防災・防衛関連や不動産販売の好調、ブレーキ事業の回復により業績は増益基調。一方、マイクロデバイスや繊維事業の収益性改善が今後の課題です。株価指標(PER・PBR)は業界平均を大きく下回り、配当利回りも高水準で、財務基盤も安定しています。株価は直近でやや上昇傾向ですが、全体としては安定した推移を見せています。


企業情報

銘柄コード 3105
企業名 日清紡ホールディングス
URL http://www.nisshinbo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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By シャーロット

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