1. 企業情報
日新商事は、ENEOS系の燃料商社であり、石油製品の販売を主力としています。具体的には、直営サービスステーション（SS）の運営、産業用燃料の販売が中心です。その他、再生可能エネルギー関連（太陽光発電など）、不動産賃貸事業も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日新商事は、ENEOS系の石油製品販売会社として、一定のシェアを占めています。石油製品販売業界は競争が激しく、大手元売会社系列の販売会社が多数存在します。競争優位性を保つためには、直営SSの効率的な運営、顧客ニーズへの対応、再生可能エネルギーなどへの事業多角化が重要となります。
課題:
- 石油製品の需要減少と、それに伴う収益性の低下リスク
- 再生可能エネルギー分野における競争激化
3. 経営戦略と重点分野
日新商事は、長期ビジョン「nissin Vision 2030」に基づき、企業価値向上経営とサステナビリティ経営を推進しています。2025年3月期からは中期経営計画のフェーズIIがスタートしており、具体的な施策として、事業ポートフォリオの見直し、収益性の向上、脱炭素化への対応などが考えられます。
重点分野:
- 石油製品販売事業の収益性改善
- 再生可能エネルギー関連事業の拡大
- 不動産事業の安定的な収益確保
4. 事業モデルの持続可能性
石油製品の需要は、長期的に減少傾向にあります。日新商事は、再生可能エネルギー関連事業や不動産事業への多角化を進めることで、事業モデルの持続可能性を高めようとしています。しかし、これらの事業が石油製品販売事業の減少をどこまで補えるかが課題となります。
市場ニーズの変化への適応力:
- 脱炭素化の流れに対応した、再生可能エネルギー関連事業の強化が重要
- SSにおけるカーケアサービスなど、石油製品以外の収益源の確保
5. 技術革新と主力製品
日新商事は、技術革新に関する具体的な情報は開示されていません。主力製品は、石油製品であり、直営SSでの販売、産業用燃料の販売が収益を牽引しています。
6. 株価の評価
- 株価: 1,006円
- PER（会社予想）: 22.39倍
- PBR（実績）: 0.29倍
- EPS（会社予想）: 44.93円
- BPS（実績）: 3,493.21円
- 配当利回り（会社予想）: 2.09%
PERは、業界平均（10.1倍）と比較して高めです。PBRは、業界平均（0.7倍）を下回っており、割安感があります。
EPSとBPSに基づくと、現在の株価は割安と判断できます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、1,000円近辺で推移しており、年初来高値（1,035円）には近づいていますが、高値圏にあるとまでは言えません。50日移動平均線（942.02円）と200日移動平均線（901.62円）を上回っており、上昇トレンドにあると判断できます。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 過去12か月 (2025.3) | 2024.3 | 2023.3 | 2022.3 | 2021.3 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 38,732百万円 | 38,732百万円 | 38,897百万円 | 36,466百万円 | 53,692百万円 |
| 営業利益 | 507百万円 | 507百万円 | 640百万円 | 428百万円 | 702百万円 |
| 経常利益 | 556百万円 | 556百万円 | 587百万円 | 796百万円 | 2,112百万円 |
| 親会社帰属純利益 | 615百万円 | 297百万円 | 287百万円 | 490百万円 | 1,333百万円 |
| ROE | 2.77% | – | – | – | – |
| ROA | 0.61% | – | – | – | – |
| 自己資本比率 | 57.8% | – | – | – | – |
- 売上高: 2021年3月期をピークに減少傾向にあります。
- 利益: 2025年3月期は、親会社帰属純利益が前期比で増加していますが、営業利益、経常利益は減少しています。
- ROE/ROA: 低い水準です。
- 自己資本比率: 57.8%と、財務体質は良好です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 2.09%
- 1株配当（会社予想）: 21.00円
- 配当性向: 517.24%
配当利回りは、平均的な水準です。配当性向は非常に高い水準であり、業績によっては減配のリスクがあります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、1,000円近辺で推移しており、方向感は定まっていません。信用買残は増加傾向にあり、個人投資家の関心は高まっている可能性があります。
株価への影響要因:
- 原油価格の変動
- 石油製品の需要動向
- 再生可能エネルギー関連事業の進捗
- 中期経営計画の達成状況
11. 総評
日新商事は、ENEOS系の石油製品販売会社として、安定した収益基盤を持っています。しかし、石油製品の需要減少という構造的な課題に直面しており、再生可能エネルギー関連事業や不動産事業への多角化を進めています。
ポジティブな点:
- PBRが低く、割安感がある
- 財務体質が良好
- 配当を実施している
ネガティブな点:
- PERが高く、割高感がある
- 石油製品の需要減少リスク
- ROE/ROAが低い
- 配当性向が高い
総合的な見解:
日新商事は、石油製品販売事業の安定性と、再生可能エネルギー関連事業などの成長性という二面性を持っています。今後の投資判断においては、中期経営計画の進捗、再生可能エネルギー関連事業の成長性、配当の安定性などを注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 7490 |
| 企業名 | 日新商事 |
| URL | http://www.nissin-shoji.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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