1. 企業情報
東京都競馬は、大井競馬場を運営する企業です。主な事業は、競馬場の賃貸、オートレース場の賃貸、遊園地「東京サマーランド」の運営、倉庫賃貸、IT投票システムなど多岐にわたります。特に、インターネット投票システム「SPAT4」からの収益が主力となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
東京都競馬は、競馬場運営というニッチな分野で事業を展開しており、大井競馬場の賃貸収入を基盤としています。また、インターネット投票システムの普及により、収益基盤を強化しています。
競争優位性:
- 大井競馬場という固定資産を保有し、安定した賃貸収入を得ている。
- インターネット投票システム「SPAT4」の利用促進による収益拡大。
- 遊園地や倉庫賃貸など、多角的な事業展開によるリスク分散。
課題:
- 公営競技への依存度が高く、法改正や社会情勢による影響を受けやすい。
- 遊園地事業は季節性や天候に左右されやすい。
- 新規事業への投資や、既存施設の老朽化対策が必要。
3. 経営戦略と重点分野
東京都競馬は、中期経営計画を公表していませんが、直近の決算短信から、以下の点が重点分野と考えられます。
* 公営競技事業の強化: SPAT4の機能性向上、会員数増加、馬場の改修など、競馬事業の競争力強化。
* 遊園地事業の活性化: イベント開催による集客力向上、地域との連携強化。
* 倉庫賃貸事業の安定運営: 安定した稼働率の維持、施設の機能維持。
* サービス事業の収益確保: 堅調な収益の確保。
4. 事業モデルの持続可能性
東京都競馬の事業モデルは、競馬という公営競技の需要に大きく依存しています。インターネット投票システムの普及により、収益基盤は強化されていますが、少子高齢化や若年層のギャンブル離れといった社会的な変化に対応していく必要があります。
収益モデルの変化への適応力:
- インターネット投票システムの拡充により、場所や時間に制約されない投票機会を提供。
- 遊園地事業や倉庫賃貸事業など、多角的な事業展開によるリスク分散。
- 顧客ニーズの変化に対応するため、サービスの改善や新規事業への挑戦が必要。
5. 技術革新と主力製品
東京都競馬は、IT投票システム「SPAT4」を主力としています。
技術開発の動向と独自性:
- SPAT4の機能性向上、利便性の向上、会員獲得のための施策。
- IT技術を活用した、顧客サービスの向上。
収益を牽引している製品やサービス:
- インターネット投票システム「SPAT4」
- 大井競馬場、伊勢崎オートレース場の賃貸収入
- 「東京サマーランド」
6. 株価の評価
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価 | 4,510.0円 |
| PER（会社予想） | 12.21倍 |
| PBR（実績） | 1.32倍 |
| 配当利回り | 2.44% |
| EPS（会社予想） | 369.46円 |
| BPS（実績） | 3,422.23円 |
PER、PBRの比較:
- PERは12.21倍であり、業界平均の17.0倍と比較して割安感があります。
- PBRは1.32倍であり、割安とは言えません。
7. テクニカル分析
- 直近10日間の株価は、4455円から4575円の間を変動しており、4500円近辺で推移しています。
- 年初来高値は4,880円、年初来安値は3,885円であり、現在の株価は高値圏に位置しています。
- 50日移動平均線は4349.60円、200日移動平均線は4349.70円であり、株価は両移動平均線を上回っています。
8. 財務諸表分析
売上高: 過去5年間で増加傾向にあり、2024年12月期には375億円を超えています。
利益: 営業利益、経常利益、当期純利益も増加傾向にあります。
ROE: 10.92%と、一定の収益性を示しています。
自己資本比率: 74.4%と高く、財務体質は良好です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回りは2.44%であり、ある程度の株主還元を行っています。
- 配当性向は28.88%です。
- 2024年12月期には年間113円の配当を実施し、記念配当5円を含んでいます。2025年12月期の年間配当は110円を予定しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間の株価は、高値圏で推移しており、上昇トレンドを示唆しています。
- 信用買残は減少し、信用売残は増加しており、需給はやや悪化しています。
- 株価への影響要因としては、公営競技事業の業績、遊園地事業の集客状況、インターネット投票システムの利用状況などが挙げられます。
11. 総評
東京都競馬は、大井競馬場を基盤とした安定的な収益基盤と、インターネット投票システムの成長による収益拡大を図っています。財務体質は良好で、株主還元も行っています。株価は高値圏に位置していますが、PERは割安感があります。今後の業績拡大のためには、公営競技事業の強化、遊園地事業の活性化、新規事業への挑戦などが重要となります。投資判断にあたっては、これらの要素を総合的に考慮する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 9672 |
| 企業名 | 東京都競馬 |
| URL | http://www.tokyotokeiba.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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