1. 企業情報
事業内容の説明
東京都競馬株式会社は、主に大井競馬場や伊勢崎オートレース場の賃貸・運営を中心とした「公営競技事業」、遊園地「東京サマーランド」の運営、倉庫や商業施設の賃貸、IT投票システム（SPAT4）による収益、施設管理・設備工事など多角的なサービスを展開しています。1949年設立、本社は東京都大田区。従業員数186名。
2. 業界のポジションと市場シェア
競争優位性・課題
- 大井競馬場の地主・運営者として、首都圏の公営競技市場で高い知名度と安定した収益基盤を持つ。
- IT投票システム「SPAT4」の拡大により、現地来場に依存しない収益モデルを確立。
- 遊園地や倉庫賃貸など、非競馬分野も展開しリスク分散。
- 公営競技市場は人口動態や娯楽の多様化により成長余地に限界もあるが、ネット投票拡大で新規顧客層の取り込みを図る。
- 競合には他の地方競馬場運営会社や、民間レジャー施設運営会社等が存在。
3. 経営戦略と重点分野
ビジョン・戦略
- 公営競技事業の安定成長とIT投票サービス（SPAT4）の機能強化・会員基盤拡大。
- 施設の老朽化対策や機能強化（例：馬場の排水機能強化工事）。
- 遊園地事業ではイベント開催や地域連携による集客力向上。
- 倉庫賃貸事業は安定稼働率の維持と施設機能維持。
- サービス事業は堅調な収益確保を目指す。
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル・市場適応力
- 公営競技の賃貸収入・ネット投票手数料収入が主力。安定した顧客基盤と高いリピート率。
- IT投票サービスの拡大により、現地来場減少リスクを補完。
- 遊園地や倉庫賃貸など複数事業による収益分散。
- 施設老朽化や人口減少、レジャー多様化への対応が今後の課題。
5. 技術革新と主力製品
技術開発・独自性・主力サービス
- SPAT4（ネット投票システム）の機能強化・利便性向上に注力。
- 施設面では馬場の排水機能強化など、競技運営の安定性向上。
- 遊園地「東京サマーランド」は新イベントや季節集客施策を展開。
- 倉庫賃貸は新規施設の稼働などで安定収益を確保。
6. 株価の評価
EPS・BPS等による評価
- 株価：4,510円
- 予想EPS：369.46円 → PER：約12.21倍（業界平均17.0倍より低い水準）
- 実績BPS：3,422.23円 → PBR：約1.32倍（業界平均1.8倍より低い水準）
- 配当利回り（予想）：2.44%（5年平均1.72%より高い）
7. テクニカル分析
- 年初来高値：4,880円、年初来安値：3,885円
- 直近株価は4,500円台で推移し、50日・200日移動平均線（4,349円前後）より上に位置。
- 直近10日間は4,450～4,575円でのレンジ相場。高値圏に近いが、年初来高値まではやや余裕あり。
- 出来高は平均的水準。
8. 財務諸表分析
売上・利益・キャッシュフロー・ROE/ROA等
- 売上高（2024年12月期）：40,443百万円（前年比約7.7%増）
- 営業利益：13,926百万円（前年比4.2%増）
- 純利益：9,706百万円（前年比14.8%増）
- ROE（実績）：10.92%、ROA：7.19%（収益性は高水準）
- 自己資本比率：74.4%（財務健全性高い）
- キャッシュ（直近）：18,370百万円、総負債：18,820百万円（Debt/Equity：20.57%）
- 直近四半期も増収増益基調。
- セグメント別では公営競技事業が利益の大半を占める。
9. 株主還元と配当方針
- 2025年12月期予想配当：110円（配当性向28.88%）
- 配当利回り：2.44%（過去5年平均1.72%を上回る水準）
- 2024年は記念配当（5円）あり。
- 自己株式保有比率7.21%と自社株買いも実施。
- 安定配当と機動的な株主還元姿勢。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週変動率：+12.61%（TOPIXやS&P500を上回る）
- 直近10日間は4,500円前後で安定推移、ボラティリティは低め。
- 信用買残はやや減少、信用売残は増加傾向（信用倍率1.73倍）。
- インサイダー保有比率42.97%、機関投資家比率17.61%と安定株主が多い。
11. 総評
東京都競馬株式会社は、大井競馬場の運営・賃貸を核とし、ネット投票システム（SPAT4）や遊園地、倉庫賃貸など多角化した安定収益モデルを構築しています。財務体質は極めて健全で、ROE・ROAも高水準。業界平均と比べてPER・PBRは割安水準にあり、配当利回りも過去平均を上回っています。直近はネット投票の拡大や施設の新設効果で業績好調が続いており、今後も安定成長が期待されます。一方で、人口動態やレジャー多様化といった構造的課題も存在するため、ITサービスや施設運営の強化による持続的成長が重要です。
（※本レポートは情報整理を目的とし、投資判断を示すものではありません。）
企業情報
| 銘柄コード | 9672 |
| 企業名 | 東京都競馬 |
| URL | http://www.tokyotokeiba.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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