1. 企業情報

事業内容の説明

中部飼料株式会社は、畜産・水産向け配合飼料の製造・販売を主力事業とする企業です。鶏・豚・牛・魚向けの飼料のほか、有機肥料や有機原料の製造・販売、畜産・水産物の販売、家畜保険の販売、衛生管理・病理検査などの畜産医療サポートも手がけています。名古屋を拠点とし、1949年設立の独立系大手です。

2. 業界のポジションと市場シェア

業界内での競争優位性や課題

  • 配合飼料業界において販売量で国内トップクラスの規模を持つ独立系企業。
  • 直系農場を持たず、需要家(顧客)直結の差別化商品に注力している点が特徴。
  • 競合は大手商社系や他の飼料メーカー(例:日本農産工業、フィード・ワン等)。
  • 伊藤忠商事との提携は見直し済み。
  • 課題としては、原材料価格の変動や鳥インフルエンザ等の感染症リスク、飼料価格安定基金負担金の増加が挙げられる。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣のビジョンや戦略

  • 「中期経営計画2024」を策定し、以下の3つを基本戦略に掲げる。
    • 飼料セグメントの収益力向上と規模拡大
    • その他セグメントの事業成長加速
    • サステナビリティ経営の推進(持続可能な収益基盤の構築)

具体的施策・重点分野

  • 差別化飼料の比率向上、製品ラインナップ刷新
  • 鶏卵の安定供給や高価格帯商品の強化
  • 新製品(堆肥入り配合肥料)の拡販、海外市場展開
  • 大型畜産用機器の販売強化

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益の大部分は飼料事業(売上高の約91%)に依存。
  • 家畜・水産業界の需要動向、原材料価格、為替変動等の外部要因に影響を受けやすい。
  • 差別化商品や有機肥料、新規事業分野への展開で市場変化への適応を図っている。
  • サステナビリティ経営の推進により、持続的成長を目指している。

5. 技術革新と主力製品

  • 差別化飼料・機能性飼料の開発に注力。
  • 有機肥料や堆肥入り配合肥料など、環境配慮型商品の拡充。
  • 畜産医療サポートや衛生管理技術の提供。
  • 収益を牽引するのは配合飼料事業(飼料販売量増加、差別化飼料比率向上)。

6. 株価の評価

  • 株価: 1,539円
  • EPS(会社予想): 138.65円
  • BPS(実績): 2,279.95円
  • PER(会社予想): 11.09倍(業界平均19.5倍)
  • PBR(実績): 0.67倍(業界平均1.3倍)

評価

  • 業界平均と比較してPER・PBRともに低水準。
  • BPSに対して株価は割安な水準に位置している。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値: 1,585円
  • 年初来安値: 1,191円
  • 直近株価: 1,539円(2025/6/23終値)
  • 50日移動平均: 1,480.20円
  • 200日移動平均: 1,382.90円

分析

  • 株価は年初来高値圏に近く、50日・200日移動平均を上回る水準。
  • 直近10日間は1,530~1,580円のレンジで推移し、やや高値圏。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 209,837百万円(前期比-10.4%)
  • 営業利益: 4,281百万円(前期比+8.9%)
  • 純利益: 3,503百万円(前期比+5.3%)
  • 営業利益率: 2.0%
  • ROE: 5.27%
  • ROA: 2.61%
  • 自己資本比率: 66.4%
  • 営業キャッシュフロー: 11,992百万円
  • 有利子負債比率: 14.63%
  • 利益成長: 前期大幅減益から今期は回復傾向

過去数年の傾向

  • 売上高は2023年をピークに減少傾向だが、利益率は回復。
  • 営業利益・純利益ともに2024年3月期で反転増加。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想): 3.90%
  • 1株配当(予想): 60.00円
  • 配当性向: 43.89%
  • 過去の配当実績: 2024年3月期 52円 → 2026年3月期予想 60円
  • 自己株式取得: 2025年5月8日~2026年3月31日、上限1,150,000株・15億円

分析

  • 配当は増配傾向、配当性向も適正水準。
  • 自己株式取得を実施し、株主還元強化の姿勢。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間の株価は概ね横ばい~やや下落基調。
  • 信用買残は高水準だが、前週比で減少傾向。
  • 株価は年初来高値圏にあり、出来高は安定。
  • 株主構成は機関投資家・事業会社・自己株式がバランス良く分布。

11. 総評

中部飼料は、配合飼料を中心とした安定した事業基盤と、差別化商品・サステナビリティ経営への取り組みが特徴です。直近では売上高が減少したものの、利益率の改善や増配、自己株式取得など株主還元にも積極的です。財務体質は堅固で、自己資本比率が高く、キャッシュフローも潤沢です。株価は業界平均に比べて割安水準にあり、年初来高値圏で推移しています。今後は原材料価格や市場環境の変動リスクに留意しつつ、中期経営計画の進捗や新規事業の成長が注目されます。
(本レポートは情報提供を目的とし、投資判断を目的としたものではありません。)


企業情報

銘柄コード 2053
企業名 中部飼料
URL http://www.chubushiryo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

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By シャーロット

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