1. 企業情報

事業内容

J-オイルミルズは、食用油を中心とした食品メーカーです。主力の油脂事業(売上の約9割)では、家庭用・業務用食用油、オリーブオイル、機能性油脂、調味油などを展開。業務用油脂の国内シェアは約4割と高く、業務用向けに強みがあります。スペシャリティフード事業ではマーガリンやショートニング、粉末油脂なども手掛けます。その他、油粕や飼料、肥料の製造販売、不動産賃貸も行っています。
設立は2002年ですが、前身企業の歴史は1826年に遡ります。味の素、ホーネン、吉原製油の統合で誕生し、東京都中央区に本社を構えています。

2. 業界のポジションと市場シェア

競争優位性・課題

国内食用油業界の大手であり、特に業務用油脂で国内トップクラスのシェア(約4割)を持ちます。業務用市場でのブランド力や安定した供給体制が強みです。一方、家庭用油脂では消費者の健康志向や食生活の変化、原材料高騰、為替変動など外部環境の影響を受けやすい点が課題です。海外展開(特にアジア)も強化中ですが、国内市場の成長余地は限定的です。

3. 経営戦略と重点分野

ビジョン・戦略

中期経営計画では「高付加価値品の拡販」「海外事業の深耕」「研究開発の強化」を掲げています。特にアジア市場での事業拡大や、健康志向油脂・機能性油脂の開発・販売に注力。研究開発拠点の統合・新設も推進し、商品力・技術力の強化を図っています。業務用・家庭用双方で高付加価値化を進め、収益性向上を目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル・市場適応力

主力の油脂事業は安定した需要が見込まれる一方、原材料価格や為替の変動リスクが大きい業態です。高付加価値品や健康志向商品の拡充、海外市場への展開で収益源の多角化を図っています。BtoB(業務用)とBtoC(家庭用)の両輪で需要変動リスクを分散しています。

5. 技術革新と主力製品

技術開発・独自性

健康機能を持つ油脂(AJINOMOTO Kenko Plus等)や、風味・調理性に優れたプロ向け油脂(J-OILPROシリーズ)など、独自性ある商品開発に注力。研究開発拠点の再編で、より効率的な新製品開発体制を構築中です。業務用油脂の品質・安定供給体制も強みです。

6. 株価の評価

  • 株価:1,921円(2025/6/24終値)
  • EPS(会社予想):211.63円
  • PER(会社予想):9.08倍(業界平均19.5倍)
  • BPS(実績):3,199円
  • PBR(実績):0.60倍(業界平均1.3倍)

評価

PER・PBRともに業界平均を大きく下回っており、割安感が見られます。収益性や資産価値に対して株価は抑えられている状況です。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値:2,177円
  • 年初来安値:1,830円
  • 50日移動平均:1,986.8円
  • 200日移動平均:2,048.91円
  • 直近終値:1,921円

分析

株価は移動平均線を下回り、年初来安値圏に近い水準。直近10日間も1,920円台で推移し、短期的には弱含みの展開です。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:230,783百万円(前年比-5.5%)
  • 営業利益:8,572百万円(前年比+18.3%)
  • 純利益:6,996百万円(前年比+609.8%)
  • 営業CF:18,294百万円
  • ROE:6.75%
  • ROA:3.08%
  • 自己資本比率:62.2%
  • 有利子負債比率:23.6%
  • 営業利益率:3.7%

傾向

売上高は減少傾向ですが、利益率改善・コストコントロールで営業利益・純利益は大幅増。財務安全性も高く、キャッシュフローも安定しています。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想):3.64%
  • 1株配当(予想):70円(記念配当10円含む)
  • 配当性向:28.6%
  • 自己株式保有:0.51%
  • 過去5年平均配当利回り:2.57%

分析

安定した配当を維持しつつ、利益水準に応じて増配や記念配当も実施。配当性向も無理のない範囲です。自社株買いの実績は限定的です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間は1,920円台で小幅な値動き
  • 信用買残増加、売残減少で買い優勢
  • 株価は年初来安値圏で推移
  • インサイダー保有比率が高く、機関投資家の保有は限定的

分析

短期的には下落基調が続いており、投資家の関心はやや低調。信用取引では買い残が増加傾向にあります。

11. 総評

J-オイルミルズは、業務用油脂で高いシェアを持つ国内大手の油脂メーカーです。直近の業績では売上高が減少したものの、収益性・財務体質の改善が進んでいます。株価指標は業界平均と比較して割安であり、安定した配当も魅力です。一方、株価は年初来安値圏で推移しており、短期的なモメンタムは弱めです。今後は高付加価値品の拡販や海外展開、研究開発の強化による成長戦略の進捗が注目されます。


企業情報

銘柄コード 2613
企業名 J-オイルミルズ
URL http://www.j-oil.com/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

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By シャーロット

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