1. 企業情報

天馬株式会社は、1949年設立の総合プラスチック製品メーカーです。主力の「Fits」ブランドをはじめとする収納用品や家庭用プラスチック製品、産業用樹脂成形品(OA・電子機器部品、家電・自動車部品、住宅関連部品など)の製造・販売を国内外で展開しています。受託製造(OEM)にも強みを持ち、物流・農業・水産・食品分野向けの工業製品も手掛けています。2025年4月よりFHLホールディングスの子会社となり、MBO成立に伴い上場廃止予定です。

2. 業界のポジションと市場シェア

天馬は国内プラスチック成形業界の中堅に位置し、家庭用収納用品で高いブランド認知を持つ一方、産業用樹脂成形の受託製造が売上の大半を占めています(工業品合成樹脂関連81%、ハウスウエア16%)。競争優位性は、幅広い製品ラインナップと海外生産拠点(特に東南アジア)によるコスト競争力にあります。課題としては、原材料価格の変動や中国経済の減速、グローバルな需給バランスの変化が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

第4次中期経営計画(2027年3月期最終年度)に基づき、「サステナブル経営推進による企業価値向上」を基本方針としています。重点施策は以下の通りです。
– 海外(特に東南アジア)での生産・販売体制強化
– 産業用受託製造の拡大
– 環境配慮型製品の開発・展開
– 収益性向上のためのコスト管理・生産効率化

また、MBO(経営陣による自社買収)により、短期的な株主利益よりも中長期的な企業価値向上を重視する経営体制へ移行しています。

4. 事業モデルの持続可能性

天馬の事業モデルは、家庭用・産業用の両輪で安定した収益基盤を持ち、OEM/ODMによる受託生産体制や海外展開で市場変化に柔軟に対応しています。環境対応やサステナビリティへの取り組みも進めており、今後も一定の持続可能性が見込まれます。

5. 技術革新と主力製品

独自の樹脂成形技術や金型設計力を活かし、家庭用収納用品(Fitsシリーズ等)や産業向け精密部品の製造で高い評価を得ています。近年では、環境配慮型素材の活用や、IoT対応製品の開発にも取り組んでいます。収益面では、東南アジアでの工業用受託生産が成長を牽引しています。

6. 株価の評価

  • 株価:3,570円
  • 実績BPS:4,237.46円
  • 実績PBR:0.84倍(業界平均1.1倍より割安)
  • 実績EPS:182.67円
  • 予想PER:算出不可(会社予想非開示)
  • 業界平均PER:20.4倍

PBRは業界平均を下回り、株価はBPSよりやや低い水準です。PERは会社予想非開示のため算出不可ですが、実績EPSベースでは概算PERは約19.5倍となります(3,570円÷182.67円)。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値:3,690円
  • 年初来安値:2,534円
  • 直近株価は3,560~3,570円で推移し、年初来高値圏に位置しています。
  • 50日移動平均:3,569.60円、200日移動平均:3,072.01円
  • ボラティリティは低く、出来高も限定的です。
  • MBOによる上場廃止予定のため、株価は安定推移しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:104,835百万円(前年比+12.8%)
  • 営業利益:2,213百万円(前年比+62.5%)
  • 純利益:3,710百万円(前年比+20.0%)
  • 営業CF:7,764百万円(前年比+31.6%)
  • 自己資本比率:76.3%(高水準)
  • ROE:4.48%、ROA:1.29%
  • 営業利益率:2.1%(改善傾向だが依然低水準)
  • セグメント別では、東南アジアが最大の利益貢献
  • 財務安全性・流動性ともに良好(現金32,920百万円、総負債2,440百万円、Current Ratio 3.32)

9. 株主還元と配当方針

  • 2024年3月期:年間配当40円(実績)
  • 2025年3月期:配当なし(MBOに伴い期末配当見送り)
  • 過去の配当性向:21.9%
  • 5年平均配当利回り:3.42%
  • 自己株式保有比率も高く、自社株買いによる還元も実施歴あり
  • 今後の配当方針は未定

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近1年間で株価は32%上昇
  • 直近10日間は3,560~3,570円で横ばい推移
  • MBO成立・親会社化により、流動性・出来高ともに低下傾向
  • インサイダー保有比率が高く(75.74%)、浮動株比率は低い
  • 投資家関心はMBO・上場廃止を背景に限定的

11. 総評

天馬株式会社は、家庭用収納用品と産業用樹脂成形の両輪で安定した事業基盤を持ち、特に東南アジアでの受託生産拡大が成長を牽引しています。直近の業績は増収増益・財務も健全ですが、営業利益率は低水準です。MBO成立により上場廃止が予定されており、株主還元策(配当)は停止されています。株価は年初来高値圏で安定推移し、今後は上場廃止に向けた動きが中心となる見通しです。
> ※本レポートは公開情報に基づき、投資判断を目的としたものではありません。最新のIR資料等もご参照ください。


企業情報

銘柄コード 7958
企業名 天馬
URL http://www.tenmacorp.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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