1. 企業情報
企業概要
アズビル株式会社は、制御・自動化機器の大手企業であり、主に3つの事業セグメントを展開しています。
– ビルディングオートメーション（BA）事業: オフィスビル、工場、病院、学校などの建物向けに、空調・セキュリティ制御システムや関連サービスを提供。
– アドバンスオートメーション（AA）事業: 石油化学、電力、鉄鋼、食品、自動車、半導体など産業分野向けに、工場自動化制御システムやセンサー、エンジニアリングサービスを提供。
– ライフオートメーション（LA）事業: ガスメーターや住宅用空調システム、医薬・医療分野向けの製造・環境機器を提供。
1906年創業、1949年設立。東京都千代田区に本社を置き、従業員数は約8,900人。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 国内の制御・自動化機器分野で高いシェアを持ち、特にビルディングオートメーション（BA）分野で強み。
- 競争優位性: エネルギー管理サービス（BEMS）や、建物の省エネ・環境対応ソリューションが特徴。都市再開発や脱炭素化、DX推進による需要増が追い風。
- 課題: 海外展開の強化が進む一方、グローバルでの地政学リスクやコスト上昇、国内市場の成熟化が課題。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略: 「人を中心としたオートメーション」を掲げ、建物・産業・ライフライン分野で持続的成長を目指す。
- 中期経営計画（2025～2027年度）:
- オートメーションの役割拡大による新規事業機会の創出
- DX推進による現場力・効率化強化
- 海外事業の拡大
- 事業ポートフォリオの最適化
- 重点分野:
- BA事業：都市再開発・大型建物向け制御システム、サービス事業の拡大
- AA事業：海外市場での成長、新規オートメーション分野の開拓
- LA事業：ライフライン分野の安定需要と事業再構築
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 製品販売に加え、メンテナンス・サービス契約によるストック型収益が安定。大型建物や工場の改修・保守需要も堅調。
- 市場ニーズ適応力: 脱炭素化・省エネ・DXなどの新たな社会課題に対応した製品・サービスを展開し、持続可能性が高い。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: IoT、AI、クラウド技術を活用したビル・工場のスマート化、エネルギー最適化技術に注力。
- 主力製品・サービス:
- BEMS（ビルエネルギー管理システム）
- 空調・セキュリティ制御システム
- 産業用制御機器・センサー
- ガスメーター、医薬・医療向け製造装置
6. 株価の評価
- EPS（1株当たり利益）: 77.96円（2025年3月期実績）
- BPS（1株当たり純資産）: 459.00円
- PER（株価収益率）:
- 現在株価1,328.5円 ÷ EPS77.96円 ≒ 17.04倍（業界平均24.2倍）
- PBR（株価純資産倍率）:
- 現在株価1,328.5円 ÷ BPS459.0円 ≒ 2.89倍（業界平均1.6倍）
7. テクニカル分析
- 株価推移:
- 直近10日間で1,270円台から1,330円台まで上昇し、52週高値（1,334.5円）に接近。
- 50日移動平均：1,254.23円、200日移動平均：1,207.42円
- 現在株価は高値圏に位置。
- 信用取引動向:
- 信用倍率0.49倍（売り長）、信用売残が多い状況。
8. 財務諸表分析
- 売上高・利益推移:
- 売上高：2022年256,551百万円 → 2025年300,378百万円（年平均成長率5.4%程度）
- 営業利益：2022年28,231百万円 → 2025年41,486百万円
- 純利益：2022年20,784百万円 → 2025年40,955百万円
- 収益性指標:
- 営業利益率：13.8%
- ROE：17.89%、ROA：8.25%
- 財務安全性:
- 自己資本比率：75.3%
- 流動比率：3.40
- 有利子負債比率：2.28%（非常に低い）
- キャッシュフロー:
- 営業CF：43,953百万円（安定的）
- フリーCFもプラス
- 成長性:
- 2025年度は純利益が一時的に増加（子会社売却益含む）、2026年度は減益予想。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績:
- 2024年3月期：76円（年間、株式分割調整前）
- 2025年3月期：76円（年間、株式分割調整後）
- 2026年3月期予想：26円（年間、株式分割調整後）
- 配当利回り:
- 直近：1.82%（実績）、予想：1.97%
- 配当性向:
- 30.79%（安定的）
- その他還元策:
- 自己株式取得、従業員持株インセンティブ・プラン導入
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム:
- 直近10日間で上昇トレンド、52週高値圏に到達
- 出来高も増加傾向
- 投資家関心:
- 機関投資家による保有比率が高い（約57%）
- 信用売残が多く、ショートカバーの可能性も
11. 総評
アズビルは、制御・自動化機器の大手企業として、ビル・産業・ライフラインの各分野で高いシェアと技術力を有しています。近年は、BA事業の好調や大型サービス契約の更改、DX推進などによる収益力強化が進み、財務基盤も非常に健全です。株価は直近で高値圏にあり、業界平均PERより割安感が見られる一方、PBRは高めです。配当政策も安定しており、株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。今後は、海外展開の強化や新たな社会課題（脱炭素・省エネ・DX）への対応力が持続的成長のカギとなります。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
企業情報
| 銘柄コード | 6845 |
| 企業名 | アズビル |
| URL | http://www.azbil.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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