1. 企業情報

  • 企業名: 大平洋金属株式会社(Pacific Metals Co., Ltd.)
  • 設立: 1949年12月1日
  • 本社所在地: 東京都千代田区大手町1-6-1
  • 従業員数: 441人
  • 事業内容:
    • 主力のニッケル事業でフェロニッケル(ステンレス原料)を製造・販売。国内首位、世界でも上位のシェア。
    • フェロニッケルスラグ(副産物)は土木資材などに展開。
    • ガス事業(酸素・窒素ガスの製造販売)、廃棄物リサイクル、運輸・不動産事業も展開。
    • 日本製鉄系企業。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内ポジション:
    • 国内フェロニッケル製錬でトップシェア。世界的にも上位。
    • ステンレス鋼業界向けの原料供給で重要な役割を担う。
  • 競争優位性・課題:
    • ニッケル価格の変動に業績が大きく左右されやすい。
    • ステンレス鋼需要の低迷や価格競争激化が収益圧迫要因。
    • リサイクル事業や新規事業開発で収益源多様化を模索中。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営ビジョン:
    • 「PAMCOvision2031」に基づき、事業ポートフォリオの再構築とサステナビリティ課題への対応を推進。
  • 重点施策:
    • 収益性重視の販売体制再構築。
    • 海底資源からの電池用金属材料製造、ベリリウム事業、LIB(リチウムイオン電池)関連開発等の新規事業開発。
    • サステナブル経営の強化。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:
    • フェロニッケルの販売が主軸だが、価格変動リスクが高い。
    • ガス事業やリサイクル事業で安定収益化を目指す。
  • 市場ニーズ対応:
    • ステンレス需要の変動、電池材料用途など新たな市場ニーズへの対応を進める。
    • 脱炭素・循環型社会への対応も課題。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発動向:
    • フェロニッケル製錬技術で国内トップクラス。
    • 海底資源や新素材(金属材料・ベリリウム等)の開発に着手。
  • 主力製品・サービス:
    • フェロニッケル、フェロニッケルスラグ、酸素・窒素ガス。
    • 新規分野として電池材料の開発にも注力。

6. 株価の評価

  • EPS(会社予想): -75.28円(赤字)
  • BPS(実績): 3,455.68円
  • PER: 赤字のため算出不可
  • PBR: 0.50倍(業界平均0.6倍より割安水準)
  • 株価: 1,744円
  • 評価:
    • 業績赤字のためPER評価は不可。PBRは業界平均より低い。
    • 純資産価値に対して株価は割安な水準。

7. テクニカル分析

  • 株価推移:
    • 直近10日間で1,600円台~1,750円台を推移。出来高も多め。
    • 年初来高値1,949円、安値1,437円。現在は高値圏と安値圏の中間付近。
    • 50日移動平均1,722円、200日移動平均1,572.85円を上回る水準。
  • 現状:
    • 直近はやや上昇傾向。高値圏ではないが、安値圏からは反発。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益動向:
    • 2022年3月期以降、売上・利益とも大幅減少。
    • 2025年3月期:売上高13,175百万円、営業損失△7,368百万円、純損失△1,667百万円。
    • 過去最高益(2022年3月期)から大きく悪化。
  • キャッシュフロー:
    • 営業活動によるキャッシュフローは黒字(3,011百万円)。
  • ROE/ROA:
    • ROE:-2.45%、ROA:-6.35%(いずれもマイナス)
  • 財務安全性:
    • 自己資本比率93.9%と非常に高い。財務基盤は堅固。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り: 6.88%(会社予想)
  • 1株配当: 120円(会社予想)
  • 配当性向: 赤字のため算出不可
  • 自社株買い: 自己株式保有は約0.39%
  • 配当方針: 2025年3月期は減配なし。2026年3月期は60円予想で減配見込み。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価変動傾向:
    • 直近1年で33.49%上昇(52週安値1,150円→現在1,744円)。
    • 信用買残が多く、信用倍率は29.56倍と高水準。
    • 出来高も比較的多く、投資家の関心は高い。
  • 影響要因:
    • ニッケル価格やステンレス需要、世界経済動向、原材料コストなど外部要因の影響が大きい。

11. 総評

  • 大平洋金属は国内フェロニッケル製錬でトップシェアを持つが、主力事業の業績はニッケル価格や需要の影響を強く受けやすい状況です。2025年3月期は大幅な赤字となり、売上・利益ともに大きく減少しています。一方で、自己資本比率は非常に高く、財務基盤は安定しています。
  • 株価は純資産価値に対して割安感があり、高い配当利回りも特徴ですが、業績赤字の継続や配当の持続性には注意が必要です。今後は新規事業やサステナビリティ対応による収益多様化と、主力事業の回復が課題となります。

企業情報

銘柄コード 5541
企業名 大平洋金属
URL http://www.pacific-metals.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼

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By シャーロット

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