1. 企業情報
- 企業名：株式会社三陽商会
- 設立：1943年5月11日
- 本社所在地：東京都新宿区四谷本塩町6-14
- 代表者：大江 伸治
- 従業員数：1,149人（平均年齢43.0歳、平均年収551万円）
- 事業内容：紳士服・婦人服・服飾品の製造・販売。百貨店を中心に、「ポール・スチュアート」「マッキントッシュロンドン」などのブランドを展開。婦人向けの強化にも注力。
- 市場区分：東証プライム（繊維製品セクター）
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：国内アパレル大手。百貨店チャネルを主戦場とし、基幹7ブランドを展開。
- 競争優位性：高級志向のブランド展開と百貨店販路に強み。長年のブランド力と安定した顧客基盤を有する。
- 課題：百貨店依存度が高く、消費動向や天候変動の影響を受けやすい。ECシフトや若年層取り込み、コスト構造改革が今後の課題。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン：ブランド価値向上と収益性の強化。
- 中期経営計画（2023～2025年2月期）：
- 売上高1,000億円、営業利益率10%、ROE10%を長期目標に掲げる。
- 商品力・販売力の抜本強化、ブランドポートフォリオの最適化、EC・デジタル強化。
- 2026年2月期は売上高625億円、営業利益33億円、純利益41億円を予想。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：百貨店、直営店、専門店を通じたブランド衣料・服飾品の販売が主力。高級路線により一定の価格競争力を維持。
- 市場ニーズへの適応力：近年は婦人服強化やEC対応、ブランド再編に取り組む。消費者の嗜好変化やデジタル化への対応が進行中。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発・独自性：伝統的なテーラリング技術と高品質素材の活用が強み。ブランドごとに独自のデザイン・素材開発を実施。
- 主力ブランド・製品：「マッキントッシュロンドン」「ポール・スチュアート」などが収益を牽引。
6. 株価の評価
- PER（予想）：7.73倍（業界平均21.7倍）
- PBR（実績）：0.81倍（業界平均1.0倍）
- EPS（予想）：384.27円
- BPS（実績）：3,681.79円
- 株価：2,969円
- 評価：PER・PBRともに業界平均を下回る水準。利益水準や資産価値に対して株価は割安感がある。
7. テクニカル分析
- 年初来高値：3,150円
- 年初来安値：2,405円
- 50日移動平均：2,816円
- 200日移動平均：2,779円
- 直近株価推移：6月中旬以降は2,800円台後半から2,900円台後半へ上昇。現在は高値圏に近い水準。
- モメンタム：直近10日で上昇傾向が継続。
8. 財務諸表分析
- 売上高：60,526百万円（前期比1.3%減）
- 営業利益：2,715百万円（前期比10.9%減）
- 当期純利益：4,007百万円（前期比43.7%増）
- 営業利益率：4.5%（前期5.0%）
- ROE：9.95%
- ROA：2.93%
- 自己資本比率：68.9%
- 営業CF：2,681百万円（前期4,419百万円）
- 財務の特徴：安定した自己資本比率とキャッシュポジション。売上・営業利益はやや減少だが、純利益は大幅増（特別利益要因の可能性）。営業CFは減少傾向。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.68%
- 1株配当（予想）：139円
- 配当性向：36.7%
- 配当方針：DOE4%を目安に段階的な増配を継続。2025年2月期は129円、2026年2月期は139円を予定。
- 自社株買い：自己株式保有比率が高く、資本効率改善を意識した政策が継続。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向：直近1年で23.16%上昇、S&P500（12.46%）を上回る。
- 信用倍率：4.39倍（買い残優勢）
- 出来高：直近10日間は安定して推移。
- 投資家関心：配当利回りの高さやPBR改善方針、安定した財務が注目材料。
11. 総評
三陽商会は、百貨店チャネルを中心に高級ブランドを展開するアパレル大手です。近年は婦人服強化やEC対応、ブランド再編などに取り組み、安定した財務基盤と高い自己資本比率を維持しています。2025年2月期は売上・営業利益が減少したものの、純利益は大幅増となりました。株価指標（PER・PBR）は業界平均を下回り、配当利回りも高水準です。株価は直近で高値圏にあり、投資家の関心も高い状況がうかがえます。今後は中期経営計画の達成度や、消費動向・デジタル化対応の進展が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 8011 |
| 企業名 | 三陽商会 |
| URL | http://www.sanyo-shokai.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
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