1. 企業情報
東北特殊鋼は、特殊鋼製品の製造・加工・販売を主な事業とする企業です。主な製品は、自動車エンジンバルブ鋼で高いシェアを誇ります。その他、電磁ステンレス鋼、耐熱鋼、磁性材料、精密加工品なども手掛けています。大同特殊鋼の子会社であり、開発力とオーダーメイドへの対応力に強みを持っています。また、不動産賃貸事業も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 特殊鋼業界に属し、特に自動車エンジンバルブ鋼で高い市場シェアを持っています。
- 競争優位性: エンジンバルブ鋼などのニッチ分野での高い技術力と、顧客ニーズに合わせた開発・オーダーメイドへの対応力が強みです。
- 課題: 自動車産業の変革（電動化、ハイブリッド化）による特殊鋼需要の減少リスク、半導体製造装置向け特殊鋼鋼材の需要変動リスクがあります。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 決算短信からは具体的な経営ビジョンは明確に読み取れませんでした。
- 中期経営計画: 2026中期経営計画において、売上高、営業利益、ROS、ROEの目標未達となっています。
- 重点分野:
- 特殊鋼事業における原価低減活動の推進。
- 不動産賃貸事業における収益性向上。
- 自動車業界の電動化、ハイブリッド化に対応した製品開発。
- 半導体製造装置向け特殊鋼鋼材の需要獲得。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 特殊鋼製品の販売と不動産賃貸収入が主な収益源です。
- 市場ニーズへの適応力: 自動車の電動化、ハイブリッド化への対応が重要です。半導体製造装置向け特殊鋼鋼材の需要獲得も重要です。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向: 顧客ニーズに合わせた特殊鋼の開発に注力しています。
- 主力製品: エンジンバルブ鋼、電磁ステンレス鋼が収益を牽引しています。
6. 株価の評価
- PER（会社予想）: 17.62倍
- PBR（実績）: 0.54倍
- EPS（会社予想）: 114.44円
- BPS（実績）: 3,758.95円
考察:
PERは業界平均（8.7倍）と比較して高めです。PBRは業界平均（0.5倍）と同程度です。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間の株価は2000円台で推移しており、2017円で取引されています。年初来高値は2,241円、年初来安値は1,761円です。
- 移動平均線: 50日移動平均線は2024.86円、200日移動平均線は2034.93円です。
考察:
直近の株価は、年初来高値と安値の中間に位置しています。移動平均線はやや下落傾向にあります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去12ヶ月で211.78億円。2024年3月期は213.37億円、2023年3月期は215.58億円と、減少傾向にあります。
- 営業利益: 過去12ヶ月で12.50億円。2024年3月期は12.64億円、2023年3月期は12.97億円と、減少傾向にあります。
- 当期純利益: 過去12ヶ月で10.08億円。2024年3月期は9.75億円、2023年3月期は11.18億円。
- ROE（実績）: 3.63%
- ROA（過去12か月）: 2.27%
- 自己資本比率（実績）: 82.0%
考察:
売上高と営業利益は減少傾向にあります。当期純利益は、2024年3月期から増加しています。自己資本比率は高く、財務体質は安定しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 1.74%
- 1株配当（会社予想）: 35.00円
- 配当性向: 29.81%
- 自社株買い: 情報なし
考察:
配当利回りは平均的です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の変動: 直近10日間の株価は2000円台で小幅な変動にとどまっています。
- 株価への影響要因: 自動車産業の動向、半導体製造装置産業の動向、特殊鋼需要の変動、原価低減活動の進捗などが影響を与える可能性があります。
11. 総評
東北特殊鋼は、特殊鋼分野で高い技術力とシェアを持つ企業です。財務体質は安定していますが、売上高と営業利益の減少傾向、自動車業界の変革による影響、半導体製造装置向け特殊鋼鋼材の需要変動リスクなど、課題も存在します。
現時点では、株価は割安感があるとは言えません。今後の業績動向、特に自動車業界と半導体製造装置産業の動向、中期経営計画の進捗状況を注視する必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 5484 |
| 企業名 | 東北特殊鋼 |
| URL | http://www.tohokusteel.com/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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