1. 企業情報
概要
太平電業は、発電所（火力・原子力・地熱・バイオマス・太陽光・燃料電池など）や製鉄・石油化学・セメント・廃棄物処理・リサイクル施設、テーマパーク等のプラント建設・補修・メンテナンスを手掛ける総合エンジニアリング企業です。機械・電気・計装設計、施工計画、技術開発、現場エンジニアリング、設備据付、保守、解体まで幅広く対応。特に原発補修・解体や吊り上げ技術に強みを持ち、関西・中部地方の原発案件に強い実績があります。近年はエンジニアリング会社への転換も模索しています。
事業構成（2025年3月期）
- 建設工事部門：31%
- 補修工事部門：69%
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
- 原子力発電所の補修・解体工事における技術力と実績
- 大型プラントの施工・メンテナンスにおける高い信頼性
- 国内外の多様なエネルギー施設への対応力
- 課題
- 国内市場の成熟化・人口減少による新設案件の減少
- 脱炭素化・再生可能エネルギー拡大による事業構造転換の必要性
- 物価上昇や国際情勢の影響
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略
- 「中期経営計画（2023年度スタート）」を推進
- 原子力発電所の再稼働工事対応、施工エリアの拡大
- 海外事業本部の新設によるグローバル展開強化
- グリーンプロジェクト推進による地域循環型社会への貢献
- 具体的施策
- 再生可能エネルギー分野の拡大
- 既存プラントの補修・メンテナンス事業強化
- 新技術・新事業領域への投資
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 建設工事と補修工事の2本柱。特に補修工事が売上・利益の大部分を占める。
- 定期的なメンテナンス需要により、安定した収益基盤を有する。
- 市場ニーズへの適応
- 原子力再稼働や再生可能エネルギー拡大に対応
- 新技術・新分野へのシフトによるリスク分散
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向
- 原子力発電所の補修・解体技術、吊り上げ技術に独自性
- 再生可能エネルギー関連（バイオマス・太陽光等）への対応力強化
- 主力サービス
- 発電所補修・メンテナンス、設備据付
- プラント建設（火力・原子力・再生可能エネルギー）
- 環境保全・リサイクル施設等の工事
6. 株価の評価
- PER（予想）：10.70倍（業界平均14.0倍）
- PBR（実績）：1.00倍（業界平均1.1倍）
- EPS（予想）：508.52円
- BPS（実績）：5,452.67円
- 株価：5,440円
評価
- PER・PBRともに業界平均よりやや割安圏
- 株価はBPSとほぼ同水準
- EPSに対する株価水準も妥当な範囲
7. テクニカル分析
- 年初来高値：5,520円
- 年初来安値：4,055円
- 直近株価：5,440円（高値圏）
- 50日移動平均：5,035.8円
- 200日移動平均：4,967.52円
推移
- 直近1週間で高値圏を維持し、年初来高値付近で推移
- 直近10日間で5,200円台から5,400円台へ上昇
- 出来高も安定
8. 財務諸表分析
- 売上高：125,670百万円（2025年3月期、前年比減少）
- 営業利益：13,037百万円（前年比増加）
- 純利益：9,753百万円（前年比増加）
- 営業利益率：10.4%
- ROE：9.16%
- ROA：5.24%
- 自己資本比率：73.3%（財務安全性高い）
- 営業キャッシュフロー：-2,525百万円（マイナス）
- フリーキャッシュフロー：-4,330百万円（マイナス）
傾向
- 売上は微減だが、利益率・純利益は改善
- 財務基盤は堅固
- 営業キャッシュフローがマイナスである点は注視が必要
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：3.68%
- 1株配当（予想）：200円
- 配当性向：36.37%
- 自社株買い：自己株式保有あり（2.83%）
方針
- 安定配当を基本とし、業績連動で増配傾向
- 配当性向も適正水準
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム：直近で上昇傾向、年初来高値圏
- 信用倍率：6.60倍（信用買い残減少、売り残やや増加）
- 出来高：安定
- 投資家構成：機関投資家・事業会社・社員持株会・自己株式等バランス良い
影響要因
- 原発再稼働、再生可能エネルギー政策、物価動向、国際情勢
11. 総評
太平電業は、発電所を中心としたプラント建設・補修に強みを持ち、特に原子力発電所関連で高い技術力と実績を有しています。近年は再生可能エネルギー分野や海外展開にも注力し、事業モデルの持続性を高めています。財務基盤は堅固で、利益率・ROEも業界平均を上回る水準。株価は年初来高値圏にあり、配当利回りも高めで安定した株主還元が期待されます。一方、営業キャッシュフローのマイナスや、国内市場の成熟化、外部環境リスクには注意が必要です。
本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 1968 |
| 企業名 | 太平電業 |
| URL | http://www.taihei-dengyo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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